ハードバピッシュ&アレグロな日々

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リヒャルト・シュトラウス/ブルレスケ、二重小協奏曲、ヴァイオリン協奏曲

2020-03-07 20:57:51 | クラシック(協奏曲)

本日はリヒャルト・シュトラウスの協奏的作品集をご紹介します。チャンドス・レーベルから発売されているもので、「ピアノと管弦楽のためのブルレスケ」、「クラリネットとファゴットのための二重小協奏曲」、「クラリネットと管弦楽のためのロマンツェ」、「ヴァイオリン協奏曲」の4曲が収録されています。演奏はBBC交響楽団で、指揮者兼ソリストがクラリネット奏者のマイケル・コリンズ、その他ブルレスケでマイケル・マクヘイル、二重小協奏曲のファゴットでジュリー・プライス、ヴァイオリン協奏曲でタスミン・リトルがそれぞれソリストを務めています。

まずは「ブルレスケ」から。シュトラウス21歳の時に発表した単一楽章20分ほどの作品です。彼はいわゆるピアノ協奏曲を書いていませんので、これが唯一のピアノとオーケストラのための楽曲です。タイトルのブルレスケとはイタリア語起源で「おどけた」とか「ひょうきんな」とか言う意味です。シュトラウスがなぜこの題名を付けたのかはわかりませんが、別におちゃらけた内容ではありません。序盤からピアノが縦横無尽に駆け巡るかなり賑やかな曲で、それでいて随所に夢見るような美しい旋律もあり聴いていて楽しい曲です。

続く「二重小協奏曲」は1947年、シュトラウス83歳の時に書かれた作品です。小協奏曲と言うだけあって伴奏は弦楽器とハープのみで室内楽風の小ぢんまりした曲す。以前オーボエ協奏曲を取り上げた際も書いたように、晩年の彼は老いの境地に達したのか、古典的かつシンプルな作風へと変化しており、本作もまるでモーツァルトを思い起こさせるような天国的な美しさに満ちています。続く「ロマンツェ」はなんと15歳の時に書かれた曲。クラリネットが美しい旋律を奏でる愛らしい小品です。二重小協奏曲とは70年近い時間の開きがありますが、一周回って意外と作風が似ているのが面白いですね。

 最後にヴァイオリン協奏曲。この曲はリヒャルト・シュトラウスが18歳の時に書かれた作品で、一般的には若き日のシュトラウスが書いた未成熟な作品と見られています。従って多くのヴァイオリニストはレパートリーに入れていませんし、シュトラウスの代表作にもカウントされません。ただ、個人的にはなかなかの名曲と思います。後年の交響詩やオペラのような後期ロマン派的なサウンドではなく、シューマンやブルッフのヴァイオリン協奏曲にも通じる正統的なドイツ・ロマン派の協奏曲ですが、これはこれでいい。特に第1楽章が素晴らしく、冒頭からヴァイオリンが情熱的な旋律を歌い上げ、オーケストラが華やかに盛り立てていきます。哀調たっぷりの第2楽章、軽快なロンド形式の第3楽章も悪くない。スルーしている人も多いかと思いますが、もっと評価されても良い曲だと思います。

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