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ブルッフ/交響曲第3番

2020-03-17 21:38:14 | クラシック(交響曲)

本日はマックス・ブルッフの交響曲第3番をご紹介します。世間一般ではヴァイオリン協奏曲第1番のみの一発屋扱いされがちなブルッフですが、他にも多くの隠れた名曲を残しており、当ブログでは交響曲第1番&第2番ヴァイオリン協奏曲第2番&第3番、さらにチェロと管弦楽のための「コル・ニドライ」などの名曲を取り上げてきました。この交響曲第3番は1887年に発表されたもので、彼にとって最後の交響曲です。ブルッフの他の作品と同様にドイツ・ロマン派の王道を行くもので、個人的には文句なしの傑作と思いますが、他の交響曲と同様に全くと言っていいほど取り上げられることはありません。ほぼ同世代のブラームスに比べてなぜブルッフがこれほどの過小評価を受けているのかは本当に謎ですね。CDもほとんどなく、一時ジェイムズ・コンロンの交響曲全集が発売されたのを除けば今日ご紹介するナクソス盤ぐらいですね。演奏はハンガリー国立交響楽団、指揮はマンフレート・ホーネックです。ホーネックと言えば現ピッツバーグ交響楽団音楽監督で今や世界を代表する指揮者の1人と言って良いぐらいですが、この曲が録音された1987年はまだ29歳で、指揮者としてはほんの駆け出しの頃です。

曲は伝統的な4楽章形式で書かれています。特に標題のようなものはありませんが、生まれ故郷であるラインラント地方への郷愁が反映されていると言われ、「ライン」の副題を付ける予定もあったそうです。第1楽章はライン川の夜明けを思わせる静かで厳かな雰囲気で始まり、そこからこれぞドイツ・ロマン派!と言った格調高い旋律へと移行します。 第2楽章はアダージョ。やや暗めの曲で中盤までは地味ですが、終盤に弦楽合奏がドラマチックな盛り上がりを見せます。第3楽章は生き生きとしたスケルツォ。中間部は民俗舞踊を思わせるような活気溢れる曲です。第4楽章はフィナーレにふさわしい壮麗な旋律で感動的に締めくくります。以上、ブルッフならではの旋律の親しみやすさに加え、交響曲ならではの重厚感も兼ね備えており、シューマンやブラームスの交響曲群と比べても決して劣らないと思います。

なお、CDにはカップリングとして「ロシアの主題による組曲」が収録されています。これはイスラメイの作者でもあるバラキレフが収集したロシア民謡集にブルッフがオーケストレーションを施したものです。ドイツ人のブルッフがなぜにロシア民謡?と思うかもしれませんが、他にも「スコットランド幻想曲」や「スウェーデン舞曲」等も作曲しているので、純粋に色々な国の民族音楽が好きだったみたいです。ブルッフらしいロマンチックな旋律の合間に、いかにも民謡と言った素朴なメロディが次々と現れる楽しい曲です。

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