広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

そば駅弁

2009-02-23 22:25:03 | 各地お土産・食べ物
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今は駅弁大会や空弁のように駅以外で駅弁が買えたり、駅でコンビニ弁当的なものを買えたり、駅弁の定義づけが難しくなっている。国鉄時代は、“弁当”である以上、ご飯が入っていないと駅弁とは認めないという、いかにも国鉄らしい決まりがあったらしい。今回ご紹介するのは、そんな駅弁になれなかった駅弁。

場所は函館本線の長万部(おしゃまんべ)駅。札幌行き特急で函館を出て約1時間、北海道らしい地名で、北へ向かっている期待が高まる。
長万部の駅弁は「かなやのかにめし」が有名(別記事で紹介します)だが、別の業者が出しているのが「長万部名物特製もりそば」。蕎麦の弁当(?)なのです。

札幌-函館間の特急「スーパー北斗」、「北斗」の車内販売の弁当予約サービスで、両社とも入手できる。ただし、かにめしは夜遅い列車と長万部通過列車以外全てで対応しているのに対し、もりそばは昼前後の時間帯のみで、業者の定休日もあるので注意。
函館発の場合、函館発車20分後の大沼公園停車前までには予約しないと締め切られる。
車内販売のメニュー

長万部を発車すると客室乗務員が席まで届けてくれる。600円。

紙箱を開けると、

めんつゆはボトル入りでそばちょこ代わりのカップがある。ネギ、わさび、唐辛子、海苔、うずら卵と薬味が一通り付いて、デザートのミカンの缶詰まである。
前回食べた時は、そばにつゆを掛けて食べたのだが、今回は本格的につけ麺で食べてみよう(どちらの方法で食べてもいいと説明が入っている)。

麺が取りにくい時は、つゆを少し掛けてほぐすといいそうだが、列車に合わせて茹でてくれたそば、全く絡まっていない。

でも、走行中の車内で卵を割って、麺を付けて食べるというのはかなり危険な行為。
今回乗った列車は、前の記事で紹介した「キハ283系」という、高速でカーブを通過する車両の中でも特にダイナミックな走行をするタイプ。ガタンガタンという揺れは少ないが、車体がかなり傾いている(仕様上は6度傾斜する)のがそばを食べることによって分かる。
隣に他人が座っているときに食べるのはやめた方がよさそうだし、おしぼりが付いていないので、事前にティッシュを1枚出しておいた方が安全。自信のない方は、つけ麺でなくつゆを掛けて食べることを強くお勧めします。

味は、特別においしいわけではないが、茹でたてだからおいしい。列車の中でそばを食べるという非日常体験も楽しい。量はやや少ないが値段が手頃なので、ちょっと小腹が空いた時などに最適だろう。
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JR北海道

2009-02-23 19:49:47 | 旅行記
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今回の旅の移動手段としてお世話になったのはJR北海道。
国鉄分割民営化後はどこも各社の個性が現れているが、JR北海道はいろいろ特徴がある。国鉄時代から海で隔てら独立した広大な土地、過酷な自然環境といった地域性が原因なのかもしれない。
ご旅行の際に役に立つかもしれないので、いくつか挙げてみたい。

【2013年10月3日追記】この記事は、2009年2月時点での事実に基づく感想です。
この後、JR北海道では2011年の「スーパーおおぞら」の火災、2013年に相次いだ車両や線路の不具合(原因は異常の放置、整備不良、社員が故意に壊す等、人為的な原因のものが多数)など、信じられないトラブルが頻発。
2013年秋時点でも、以下のようなJR北海道らしさは変わってはいないはずだが、「悪い意味でのJR北海道らしさ」がどうしても目についてしまう。2013年の気持ちとしては、積極的にJR北海道を利用しようとは思えないし、おすすめする気にはなれないのが、正直なところ。残念ですが。
どうしてもJR北海道を利用するなら、トラブルを見込んだ余裕ある計画を立て、トラブル発生に備えて時刻表、懐中電灯、食料と飲み物くらいは携行したほうがいいかもしれません。(以上追記)

1.個性的だけど統一感のある車両
スーパー白鳥の記事でも書いたけど、車両をデンマーク国鉄と共同設計するなど、なんとなく日本離れしたデザイン。電車・気動車(ディーゼルカー)とも統一感が保たれている。品があって北海道に来た! と思えて、好き。
スーパーおおぞらやスーパー北斗(一部)などに使われるキハ283系。このデザインでもディーゼルカー。
性能も優れていて、例えば、「スーパー北斗」はディーゼルカーながら札幌-函館間約300kmを3時間強で走るなど、在来線区間の「こまち」よりも速い。エンジン音は普段は静かで加速時にギュイーンと一気にスパートするのがカッコイイ。

バイクがカーブを傾いて走るのと同じく、車両を傾斜させて高速で走行する「振り子式車両」を積極的に採用しており、これもスピードアップに貢献している。

キハ283系とキハ261系。FURICO(振り子式)とTilt(傾斜・簡易振り子)を搭載している。
上の写真右のキハ261系車両導入により、札幌-稚内間約400kmの所要時間が約1時間短縮された。

ただ、全部の車両の更新はできておらず、札幌から函館、稚内方面の一部と網走方面の全列車は国鉄時代の車両が使われており、ガラガラゲラゲラうるさい上に一向に速度が上がらない。

2.車内販売が充実(買ったものをいくつか別記事で紹介します)
JR四国では車内販売を止めてしまったり、東北でも一部列車でなくなっているが、北海道は長距離・長時間のためか、多くの列車で充実した車内販売が行われている。座席にメニューがある(http://www.jrhokkaido.co.jp/network/syahan/index.html)ので分かりやすい。長距離でも稚内方面の「サロベツ」は車内販売がないので注意。

1)オリジナルメニュー
車内販売でしか買えない物も扱っていて、売店やコンビニと差別化を図っているようだ。
例えば、オリジナルワイン、客室乗務員企画の駅弁、麺包職人監修のあんぱん、月変わりアイスクリームなど。2月の月変わりアイスは「バナナ」だったけど、買い損なってしまい残念。

2)駅弁の予約販売
停車時間の短い途中駅の駅弁を買うのは難しく、駅弁業者も苦戦を強いられている(大館の鶏めしを秋田駅で売るのもその対策の1つ)。一方、車内販売の駅弁はラインナップが偏っていたり、売り切れていたり、いまいち不便。
ところがJR北海道では、札幌から函館方面の長万部、稚内方面の名寄、網走方面の遠軽の各途中駅の駅弁を予約車内販売している。2日前までは電話予約も可能だが、当日、車内で巡回する客室乗務員に申し込むこともできる。
網走方面「スーパー宗谷」名寄駅のメニュー
積み込み駅到着1時間前までに予約することになっているが、特に函館始発の列車など時間的余裕が少なく、客室乗務員が回って来たらすぐに声をかけるべき。個数、飲み物の有無、降車駅を聞かれ、現物と引き換えに支払いをする。
冬は、ホームで売っている駅弁を買うと、冷え切っていることがあるが、予約後1時間で調整され渡される駅弁は、まだ温かい。しかも扱っている各駅はいずれも、北海道に来たからには食べておきたい有名駅弁。できたての駅弁を確実に食べられる便利なシステムだし、駅弁業者も売れ残りを出さずにまとまった売上(長万部ではかなり注文者がいる)になり、いいのではないだろうか。
業者の休業日や営業時間、列車の停車駅の関係上、扱わない場合があるので注意。なお、各始発駅の駅弁も積み込んでいる。

3.その他小ネタ
1)野生動物に注意!
放送で「やむを得ず急ブレーキを使用する場合が・・・」というのはどこでも聞くが、北海道ではその前に「これよりエゾシカなど野生動物が多数出没する区間を走行致します」という表現が付くことがある(道北・道東方面など)。実際、“出没”したので別記事で。

2)用語が本州と違う
単線区間では、駅や信号場で反対方向から来る列車を待つことがある。秋田地区などでは「反対列車と行き違いのため停車します」と案内がある。北海道でも函館か札幌の車掌が乗る「北斗」ではそう案内していたが、旭川の車掌や輸送指令の無線指示では「ゆきあい(行き逢い?)」と表現する。一種の方言だ。

3)終着駅は・・・
列車が最後に停まる駅を本州では「終点、秋田です」と言うのが普通だと思う。
北海道は、車掌の放送、自動放送、文字案内すべて「終着 函館」と表現する。

北の果ての“終着”駅稚内に到着する表示。デンマークと共同設計の内装なので、木目・黒・青でダウンライトの照明と独特。

4)21両編成?!
網走行きの特急「オホーツク」。
3号車の隣が「増21号車」。もちろん21両もつながっているわけはない。
北海道では、指定席の2号車と3号車の間に、臨時で車両を増やす場合「2号車プラス1両目」という意味合いで「増21」と名づけるらしい(自由席だと別対応)。知らずにきっぷを買ったらびっくりするかも。
ちなみに秋田新幹線開業前は、秋田でも修学旅行などで増結することがあったが、その場合、単に「増2号車」「増3号車」といった命名だった。

5)ひじかけを上げておく
今の列車は、2人掛けの席の真ん中(境)にもひじ掛けがあり、上に上げることもできる。本州では、ひじ掛けが下りた(使える)状態で車内整備され、使いたくない人だけ上げているが、北海道は逆。
上げた(使わない)状態で整備されている。(これもデンマークデザインの赤い座席)
したがって、知らないのか忘れているのか、中のひじ掛けを使っていない乗客が多く、せっかく設置されているのにもったいない。

しかも、JR東日本に乗り入れる「白鳥」はひじ掛けが下りて整備されている。東日本に配慮したのだろうか。つまり函館の車内整備では、札幌方面は上げて、青森方面は下げてと使い分けている。
ひじ掛けを上げる理由ってあるのだろうか? 下げっぱなしの方が、清掃の手間は少なく思えるけど。

6)挙手
バスがすれ違う際、運転士同士が手を挙げて挨拶することが多い。運転に集中するため実施しない会社もあるが、例えば共同運行する他社の高速バスや、同一経営の路面電車にも手を挙げたり、面識がない運転士同士で形式的に行っている感じがする。
鉄道の場合、高速の新幹線では不可能だろうが、例えば秋田地区では、手を挙げる場合と挙げない場合がある。同じ基地に所属する運転士同士がすれ違う際だけ挨拶を交わすようだ。貨物列車はJR貨物所属の運転士なので、旅客列車と挨拶を交わすことはない。

北海道では、挙手が盛んだった。対向の運転士だけでなく、ホーム上で待機する車掌などにも、寒い中で窓まで開けて手を挙げ、久々に会った友人同士のように親しげに見える。
そして、なんと、旅客列車と貨物列車の運転士同士も手を挙げていた!
貨物列車と挨拶を交わすJR北海道の運転士
2度見たから、たまたま知り合いだったとかではなく、そういう慣習になっているのだと思う。厳しい気候の原野の中を走り続けることも多い北海道での孤独で神経を使う仕事、その中で出会う同じ線路を走る仲間に対してのねぎらいと互いの安全運行を願う気持ちがこもっているのかもしれない。
コメント (2)
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