秋田市では、今年7月から家庭ごみ収集が有料化された。
ごみ袋の容量1リットルにつき1円の処理手数料がかかり、ごみ袋代に上乗せして販売されている。袋の規格も黄色半透明のものに一新された。
※従来は白色半透明・赤印刷の指定ごみ袋を使うことにはなっていたが、袋自体の代金のみで販売されていた
有料化されたのは家庭ごみ、いわゆる燃えるごみだけで、資源化物類は手数料なし。したがって、金属類などは無色透明・緑印刷の指定ごみ袋を引き続き使う。剪定枝やおむつの処分、地域美化ボランティアなどのための減免措置もある。
【2014年4月24日追記】2014年4月23日付秋田魁新報県北地域面「地方点描」によれば、秋田市が新しい袋を黄色にしたのは「雪が降っても収集しやすいよう目立つ色を選んだ。カラスよけの意図はないという。」とのこと。※黄色い袋がカラスよけに効果があると言われるが、コラムはそれを疑問視する流れ。
店頭に並ぶ新しいごみ袋の外袋には、バーコードが離れた位置に2つ付いている。
1つは袋製造メーカー(4社あるらしい)の製品としての袋そのもののコード。
もう1つは「456235709」で始まるコード。これは企業名が「秋田市」で登録されており、ごみ処理手数料に相当するようだ。【20日追記】バーコードの上に「商品用コード」「ごみ処理手数料コード」とそれぞれ記載されていた。
レジでは、バーコードを両方とも読み取らせている。マックスバリュ東北のセルフレジのある店舗では「ごみ袋を買う時は、セルフレジではなく有人レジで会計するように」との掲示が出ている。
マックスバリュの5%引きの日に45リットル袋×10枚入りを購入すると、レシートはこうなる。
「秋田市」「山形屋 仙台麩」とか東北の地名が3つも出てますが
レシートには、袋代と手数料が分けて掲載される。
袋本体(「AT53秋田市家庭ゴミ用」)は98円で、5%分の5円が値引きされている。
一方、「ごみ袋手数料」450円は当然値引き適用外。WAONのポイントも付かない。(でもクレジットカード決済したり、一部クレジットカードから一部電子マネーにチャージした場合は、手数料分に対してもポイントが付くことになるはず。微々たるものだけど不公平かな)
【9月9日追記】レシートには「お買い上げ商品数」欄がある。少なくともイオングループの場合、バーコード1つ=商品数1とカウントしてしまうらしく、ごみ袋を購入した場合は袋1つにつき「2」点購入となってしまう。【9月30日追記】←これはマックスバリュ東北の場合(9月9日の時点)。7月30日の時点で既にイオンリテールの店舗では、正しくカウントされていた。マックスバリュとイオンで違うようだ。
【2013年3月10日追記】2013年3月時点でも、マックスバリュ東北では袋代と手数料で重複して購入点数がカウントされている。
【2013年8月11日追記】久々に2013年8月にマックスバリュ東北で購入したら、購入点数が重複しないように変わっていた。
年間3億円と見込まれる徴収した手数料は、ごみ処理に関する事業や啓発、将来の設備更新などに限って使われる。
有料化に際して、秋田市では説明会開催や旧指定袋と新袋の交換(旧袋5枚で新袋1枚)、最初は他部局も含めた市職員を収集日に巡回させるなどの対応を行った。【17日追記】直前にはテレビCMを放映したり、各世帯に2枚ずつお試し用の新袋が配られたりもした。
有料化直前の集積場
有料化直前の6月下旬には、収集場所に通常より多くのごみが出されたり、回収が遅れたり(通常は午前中に収集されるのに午後になるなど)、“駆け込み搬出”が見られた。
有料化開始後は、大きなトラブルは聞こえてこないが、具体的にどのくらい搬出量が減ったかとかデータはまだ出ていないのだろう。
個人的には、ごみ有料化はやむを得ないと思う。(ということで賛否についてはこれ以上触れません)
他の多くの自治体でも既に有料化されており、秋田市の有料化が大きく報道されたけれど、既に有料化されている県内他市町村の住民の皆さんはそれを冷めた目で見ていたとも聞く。
問題なのは、有料化前に充分な市民への周知があったのか、有料化が決まって実施までの間にすべきことがあったのではないかということ。
秋田市は有料化を最終目標にコトを進めてしまったように感じる。「有料化はごみを減らすため」とは言うが、「有料化するために有料化した」ような。
秋田の人(とひとくくりにして決めつけてしまうのは良いことではないですが)は、ケチではないというかカネ遣いに鷹揚なところがあり、有料化を単なる「ごみ袋の値上げ」と捉えてしまっている人もいるように感じる。1枚10円くらいだった袋が、1枚50円超になるわけだが…
それに秋田市は「溶融炉」という、いろんなものを燃やせる炉でごみを焼却しており、プラスチック類の細かな分別は行なっていない。(分別するのは金属、瓶、缶、ペットボトル、紙程度)
そのため、市民のごみ(ごみ分別)に対する意識が、現在の他の自治体の住民に比べて低い傾向にあると思う。ごみの減量についての意識も高くない人がいると感じる。
そんな状態の市民に対して、いきなり「有料にします」と言っても、ピンとこない人もいたのではないだろうか。有料化された今に及んでも「紙(古紙)を分別するのが面倒」とか言う人がいる。
こうした市民の意識を変えたり、ごみが減る策を作って提示してから有料化したほうが、ごみ減量効果は高まったはずだ。
有料化は、2010年7月に秋田市廃棄物減量等推進審議会の答申を受けて動きが始まり、同年12月議会への条例改正案提出を目論むもいったん見送り、2011年9月議会で可決された。美短の4年制化と同じく、あれよあれよと決まってしまった印象。
議会提出前にも市民向け説明会は行われてはいたが、市民の関心は低かったようだ。
議会可決後に説明会が繰り返し開かれたが、それは有料化後のごみの出し方の説明会。そこで「反対」と文句を言う人がいたようだが、既に議会で決まってしまったのだからもう遅い。
もっとゆっくり、じっくり、ごみの分別や減量の必要性ややり方について市民を“教育”する機会と期間が必要だったと思う。
本気でごみを減らしたいのなら、(市ではなく)秋田県が行う小型家電の回収事業「こでんリサイクル※2008年の試験事業の記事」を秋田市民にもっとPRすれば、いくらかは効果があるのではないだろうか。議案提出前に市が行ったパブリックコメントにその旨を送ったが、今もって秋田市では、こでん回収の周知はほとんどしていない。
県と連携してレジ袋の有料化だってしてもいいと思う。もっともっとできることがあるはず。
ところで、秋田市では資源ごみの古紙の搬出には、ビニール紐でなく紙紐でしばって出すことが推奨されていて市民にも浸透している。紙紐はどこのスーパーなどでも購入できる。
紙ひも。回収した雑誌で作られている
古紙を紙紐でしばれば、製紙工場でそのままリサイクルできるらしく、紐をほどく手間や紐がごみにならなくて済む。
この「古紙回収は紙紐で」というのは、1990年代に秋田県で始まり、全国各地(どの程度かは知らない)に広まったという。
【17日追記】秋田市における「資源ごみ」の収集(町内などの集団回収でなく自治体が行う収集)開始は、全国的に見ても早期だったと思う。缶や瓶は昭和時代から分別収集していたし、古紙も1990年代には始まっていた。
決して秋田の人はごみに対する意識が低いわけではないのだ。ごみ有料化前にも、こんな地道な活動が何かしらできたのではないだろうか。
さて、お盆が明けた8月16日、秋田市では「精霊流し」という名の“お盆用品のごみ収集”が行われる。※2009年の記事
昨年以前は、市で「指定袋に入れて出すように」と告知していたが、実際にはどんな袋で出しても黙認され(回収され)、どう見てもお盆用品ではない傘とかカップラーメンの容器まで出す輩も一部見られた。
有料化後初の精霊流しとなる今年は、どうなるのかちょっと心配していた。
今年の広報紙や新聞の秋田市広報板では「透明な袋に入れて」となっていた。
これは「透明な袋」なら何でもいいのか、あるいは資源化物や枯葉などを出す「透明な指定袋」のことを指しているのか、あいまい。少なくとも手数料付きの黄色い袋は使わなくてもいいはず。
ということは、精霊流しに便乗した“不法投棄”が増えないだろうかと思いながら、旭川筋の集積場所を見てみた。
実際には例年同様、いろんな袋で出されていた。まあこんなもんでしょ。
黄色いものは…
だけど、一部(1割程度か?)は、黄色い有料袋で出した人がいた。しかもその袋にはまだたくさん入るスペースがあり、もったいない。
広報をよく読んでいないのか、あるいは「秋田市のごみ処理事業のためにあえて手数料を支払います」という奇特な人なのか。
この程度の量の場所も
見た限りでは、精霊流しとは無関係と思われるごみは出されておらず、総量も多くないように感じた。おととしのほうがずっとひどくて多かった。
やっぱり秋田市民のごみへの意識は、そう低いわけでもないのだろうか?
※2024年の精霊流し(袋に入れる理由が示された)。
ごみ袋の容量1リットルにつき1円の処理手数料がかかり、ごみ袋代に上乗せして販売されている。袋の規格も黄色半透明のものに一新された。
※従来は白色半透明・赤印刷の指定ごみ袋を使うことにはなっていたが、袋自体の代金のみで販売されていた
有料化されたのは家庭ごみ、いわゆる燃えるごみだけで、資源化物類は手数料なし。したがって、金属類などは無色透明・緑印刷の指定ごみ袋を引き続き使う。剪定枝やおむつの処分、地域美化ボランティアなどのための減免措置もある。
【2014年4月24日追記】2014年4月23日付秋田魁新報県北地域面「地方点描」によれば、秋田市が新しい袋を黄色にしたのは「雪が降っても収集しやすいよう目立つ色を選んだ。カラスよけの意図はないという。」とのこと。※黄色い袋がカラスよけに効果があると言われるが、コラムはそれを疑問視する流れ。
店頭に並ぶ新しいごみ袋の外袋には、バーコードが離れた位置に2つ付いている。
1つは袋製造メーカー(4社あるらしい)の製品としての袋そのもののコード。
もう1つは「456235709」で始まるコード。これは企業名が「秋田市」で登録されており、ごみ処理手数料に相当するようだ。【20日追記】バーコードの上に「商品用コード」「ごみ処理手数料コード」とそれぞれ記載されていた。
レジでは、バーコードを両方とも読み取らせている。マックスバリュ東北のセルフレジのある店舗では「ごみ袋を買う時は、セルフレジではなく有人レジで会計するように」との掲示が出ている。
マックスバリュの5%引きの日に45リットル袋×10枚入りを購入すると、レシートはこうなる。
「秋田市」「山形屋 仙台麩」とか東北の地名が3つも出てますが
レシートには、袋代と手数料が分けて掲載される。
袋本体(「AT53秋田市家庭ゴミ用」)は98円で、5%分の5円が値引きされている。
一方、「ごみ袋手数料」450円は当然値引き適用外。WAONのポイントも付かない。(でもクレジットカード決済したり、一部クレジットカードから一部電子マネーにチャージした場合は、手数料分に対してもポイントが付くことになるはず。微々たるものだけど不公平かな)
【9月9日追記】レシートには「お買い上げ商品数」欄がある。少なくとも
【2013年3月10日追記】2013年3月時点でも、マックスバリュ東北では袋代と手数料で重複して購入点数がカウントされている。
【2013年8月11日追記】久々に2013年8月にマックスバリュ東北で購入したら、購入点数が重複しないように変わっていた。
年間3億円と見込まれる徴収した手数料は、ごみ処理に関する事業や啓発、将来の設備更新などに限って使われる。
有料化に際して、秋田市では説明会開催や旧指定袋と新袋の交換(旧袋5枚で新袋1枚)、最初は他部局も含めた市職員を収集日に巡回させるなどの対応を行った。【17日追記】直前にはテレビCMを放映したり、各世帯に2枚ずつお試し用の新袋が配られたりもした。
有料化直前の集積場
有料化直前の6月下旬には、収集場所に通常より多くのごみが出されたり、回収が遅れたり(通常は午前中に収集されるのに午後になるなど)、“駆け込み搬出”が見られた。
有料化開始後は、大きなトラブルは聞こえてこないが、具体的にどのくらい搬出量が減ったかとかデータはまだ出ていないのだろう。
個人的には、ごみ有料化はやむを得ないと思う。(ということで賛否についてはこれ以上触れません)
他の多くの自治体でも既に有料化されており、秋田市の有料化が大きく報道されたけれど、既に有料化されている県内他市町村の住民の皆さんはそれを冷めた目で見ていたとも聞く。
問題なのは、有料化前に充分な市民への周知があったのか、有料化が決まって実施までの間にすべきことがあったのではないかということ。
秋田市は有料化を最終目標にコトを進めてしまったように感じる。「有料化はごみを減らすため」とは言うが、「有料化するために有料化した」ような。
秋田の人(とひとくくりにして決めつけてしまうのは良いことではないですが)は、ケチではないというかカネ遣いに鷹揚なところがあり、有料化を単なる「ごみ袋の値上げ」と捉えてしまっている人もいるように感じる。1枚10円くらいだった袋が、1枚50円超になるわけだが…
それに秋田市は「溶融炉」という、いろんなものを燃やせる炉でごみを焼却しており、プラスチック類の細かな分別は行なっていない。(分別するのは金属、瓶、缶、ペットボトル、紙程度)
そのため、市民のごみ(ごみ分別)に対する意識が、現在の他の自治体の住民に比べて低い傾向にあると思う。ごみの減量についての意識も高くない人がいると感じる。
そんな状態の市民に対して、いきなり「有料にします」と言っても、ピンとこない人もいたのではないだろうか。有料化された今に及んでも「紙(古紙)を分別するのが面倒」とか言う人がいる。
こうした市民の意識を変えたり、ごみが減る策を作って提示してから有料化したほうが、ごみ減量効果は高まったはずだ。
有料化は、2010年7月に秋田市廃棄物減量等推進審議会の答申を受けて動きが始まり、同年12月議会への条例改正案提出を目論むもいったん見送り、2011年9月議会で可決された。美短の4年制化と同じく、あれよあれよと決まってしまった印象。
議会提出前にも市民向け説明会は行われてはいたが、市民の関心は低かったようだ。
議会可決後に説明会が繰り返し開かれたが、それは有料化後のごみの出し方の説明会。そこで「反対」と文句を言う人がいたようだが、既に議会で決まってしまったのだからもう遅い。
もっとゆっくり、じっくり、ごみの分別や減量の必要性ややり方について市民を“教育”する機会と期間が必要だったと思う。
本気でごみを減らしたいのなら、(市ではなく)秋田県が行う小型家電の回収事業「こでんリサイクル※2008年の試験事業の記事」を秋田市民にもっとPRすれば、いくらかは効果があるのではないだろうか。議案提出前に市が行ったパブリックコメントにその旨を送ったが、今もって秋田市では、こでん回収の周知はほとんどしていない。
県と連携してレジ袋の有料化だってしてもいいと思う。もっともっとできることがあるはず。
ところで、秋田市では資源ごみの古紙の搬出には、ビニール紐でなく紙紐でしばって出すことが推奨されていて市民にも浸透している。紙紐はどこのスーパーなどでも購入できる。
紙ひも。回収した雑誌で作られている
古紙を紙紐でしばれば、製紙工場でそのままリサイクルできるらしく、紐をほどく手間や紐がごみにならなくて済む。
この「古紙回収は紙紐で」というのは、1990年代に秋田県で始まり、全国各地(どの程度かは知らない)に広まったという。
【17日追記】秋田市における「資源ごみ」の収集(町内などの集団回収でなく自治体が行う収集)開始は、全国的に見ても早期だったと思う。缶や瓶は昭和時代から分別収集していたし、古紙も1990年代には始まっていた。
決して秋田の人はごみに対する意識が低いわけではないのだ。ごみ有料化前にも、こんな地道な活動が何かしらできたのではないだろうか。
さて、お盆が明けた8月16日、秋田市では「精霊流し」という名の“お盆用品のごみ収集”が行われる。※2009年の記事
昨年以前は、市で「指定袋に入れて出すように」と告知していたが、実際にはどんな袋で出しても黙認され(回収され)、どう見てもお盆用品ではない傘とかカップラーメンの容器まで出す輩も一部見られた。
有料化後初の精霊流しとなる今年は、どうなるのかちょっと心配していた。
今年の広報紙や新聞の秋田市広報板では「透明な袋に入れて」となっていた。
これは「透明な袋」なら何でもいいのか、あるいは資源化物や枯葉などを出す「透明な指定袋」のことを指しているのか、あいまい。少なくとも手数料付きの黄色い袋は使わなくてもいいはず。
ということは、精霊流しに便乗した“不法投棄”が増えないだろうかと思いながら、旭川筋の集積場所を見てみた。
実際には例年同様、いろんな袋で出されていた。まあこんなもんでしょ。
黄色いものは…
だけど、一部(1割程度か?)は、黄色い有料袋で出した人がいた。しかもその袋にはまだたくさん入るスペースがあり、もったいない。
広報をよく読んでいないのか、あるいは「秋田市のごみ処理事業のためにあえて手数料を支払います」という奇特な人なのか。
この程度の量の場所も
見た限りでは、精霊流しとは無関係と思われるごみは出されておらず、総量も多くないように感じた。おととしのほうがずっとひどくて多かった。
やっぱり秋田市民のごみへの意識は、そう低いわけでもないのだろうか?
※2024年の精霊流し(袋に入れる理由が示された)。