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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

路線バス乗り継ぎ旅

2013-10-27 23:18:36 | 秋田の地理
ここ数年、ほぼ欠かさず見ているテレビの旅番組が2つある。
テレビ東京(BSジャパンや一部地域の他系列局でも放送)「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」とNHK BSプレミアム「にっぽん縦断 こころ旅」である。
どちらも、自分では行きたいとは思えないきつい行程だけど、国内にもまだ知らない土地にまだ見ぬ様々な光景があり、その土地土地で人々がそれぞれ暮らしていて、それが集まって日本という国が形成されているんだと、実感させられる番組である。大都会や観光地ではない、今の日本の地方の姿が映されていると思う。
この両番組が、最近、秋田県や青森県を訪れ、その模様が放送された。この記事では「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」について。(以下「バス旅」) ※「こころ旅」についてはこちら

「バス旅」は、2007年から年に2~3回の不定期で、現在まで15作(弾)が放送されている。
内容は決められた出発点から目的地まで、4日以内に路線バスだけを使って移動するというもの。
路線バス以外の交通手段は使用できず、高速バスも原則不可(コミュニティバスや一般道の特急バスは可。個人的にはおかしいと思うのだが鉄道不通に伴う列車代行バスも認められていた回があった)。県境などバス路線が途切れている時は峠道やかなりの距離を歩くこともある。路線や時刻をネットなどで事前に調べることはできず、現地の時刻表と案内所や乗務員、地元の人が頼り。宿泊先も当日、現地で探す。
15回中4回は時間内に目的地にたどり着けずに終わっている。

観光地は乗り継ぎ時間がなくて素通りしたり、何もない小さい町で数時間待ったり宿泊したりすることも多い。朝に1本だけあるバスに乗るべく朝食もそこそこに出発し、夜遅くに宿に入ることもある。
そんな過酷で変わったバスの旅で、地理好き・バス好きとしてはなかなか楽しめる。

もう1つの見どころは、「旅人」すなわち出演者。
太川陽介と蛭子能収がレギュラーで、「マドンナ」こと毎回違う女性ゲスト1名が加わる3人旅。
※第2弾以降はナレーションもキートン山田が毎回担当。

太川さんと蛭子さんのコンビが絶妙。
太川さんのほうが蛭子さんより10歳ほど年下ながら「リーダー」と呼ばれ、常に冷静に先を読みながら計画を立て、蛭子さんを上手になだめすかしながら旅を進めていく。旅行中は1日が終わり、夕食で店に入って乾杯するシーンが映るが、太川さんは毎回、ビールをとてもおいしそうに飲むのが印象的。
旅番組には場違いなような蛭子さんは、実際に足を引っ張るけれど、もう欠かせない存在。これほど活動的な蛭子さんが見られるのも珍しいかもしれない。

10月23日のフジテレビ「笑っていいとも!」(来春での放送終了が明らかになった翌日)の「テレフォンショッキング」のゲストが太川さんで、タモリさんとバス旅の話しかしていなかった。
「歩く箇所では、途中でロケバスに乗ったりせず、ほんとうに全部歩く。蛭子さんはこの番組のおかげで元気に(健康に)なった」
「蛭子さんはホテルにしか泊まりたがらない(旅館は嫌がる)」
→第14弾で、蛭子さんが「小さな町にはホテルがないだろうから、(バスはまだある時間だけど)今日はホテルがあるこの町に泊まろう」と主張したものの、太川さんに「行けるところまで行くのが基本」と説得されたことがあった
「宿泊先が行き当たりばったりなので、部屋が足りなくて出演者とスタッフが離れた別々の町に泊まったり、番組上は3部屋に出演者だけで泊まったことになっていたが、他に空きがなくスタッフ全員十何人で3部屋に泊まったことがあった」
「車内で地図を見るのに慣れて、バス酔いしなくなった」
「(いつ何が起こるか分からないので)カメラはずっと回っている」
といった話題。


さて、今まで15回の旅では、こんなシーンが何度も繰り返されている。
・「○年前までは路線があったけど、今は廃止/短縮された」と言われる
・「路線がない」と言われても、実際には地元自治体によるコミュニティバスが運行されていた
→14弾で蛭子さんも「(案内所で路線が)ないと言われたてあったことは何度もあった」と発言
・地元の人にバスのこと(路線の有無)を尋ねても分からない
・駅よりも地域の拠点の大きな病院へ行けば、他方面へのバスに乗り継げる
→太川さんは地図を見てこういう推測をするのが上手い。事前に地名を頭に入れてから尋ねるなどコツをつかんでいる
これらは、我が国の地方における公共交通の現状を反映していると言えよう。
年々路線バス網は縮小され、バスを利用する人は減り、限られた人だけの乗り物になってしまっている。
路線バスだけで長距離を移動しようとすること自体、無理な話ではあるが、もう10年・20年前なら、もうちょっと楽に目的地にたどり着けているのかもしれない。


放送される「バス旅」には、実は2種類が存在する。テレビ東京で放送される本来のバージョンと、それを短縮したバージョン。15弾では前者は2時間25分、後者は1時間半ほど。
過去には、前半・後半に分けたり、最初の30分をカットしたバージョンが放送されたこともあった。
フル版と短縮版では、絶対にフル版を見たほうが楽しめる。短縮版では、出演者たちのくだらないけれどおもしろい会話やちょっとした光景や土地についての情報がカットされてしまい、バス旅ならではの魅力もカットされてしまっている。

テレビ東京系以外の放送局が放送する場合、どちらを購入するかは、各局次第。
秋田ケーブルテレビで見られるIBC岩手放送ではフルバージョンを放送することが多い。テレビ東京で放送されてから数か月内(BSジャパンより先のことも)には放送してくれて、ありがたい。
我が秋田県の放送局はどうかというと、初期はどこかの局が放送していたが、ここ最近はまったく放送していなかった。だから、BSジャパンかIBCの放送を見るしかなかった。(両局とも、思い出したように過去の再放送もしてくれるのは、うれしい)

ところが、秋田が出てくる今回の第15弾(テレビ東京系では8月31日放送)は、久々に秋田の局が放送した。秋田が舞台の時だけ放送するという、いかにも秋田らしい対応。(TBS「ぴったんこカン・カン」においてABSによる先例あり)
10月20日日曜日の16時から秋田テレビが短縮版を放送した。
その6日後の26日土曜の14時からは、IBC岩手放送がフル版を放送した。

そんな順番で放送されたので、結局、短縮版とフル版両方を見てしまった。
短縮版では、秋田県内を含む途中各地での地元の人とのふれあいや、宿泊先の紹介などが大幅にカットされていた(後述)。AKTさん、放送するならフル版ですよ!


秋田県がバス旅の舞台となるのは、第7弾以来2度目。 ※以下、番組公式サイトとWikipediaを参照しています。
第7弾は中山エミリをゲストに青森港から新潟市の萬代橋を目指して、2010年9月4日放送(8月10~13日収録)。時間切れで萬代橋には到着できずに終わった。
この時は、青森-黒石-弘前-碇ヶ関の岩渕公園前まで弘南バス。徒歩で県境を越え、矢立ハイツを過ぎて陣場駅前から秋北バスで大館-鷹巣-大館能代空港-能代で1日目終了。
2日目は能代から五明光まで秋北バス。あとは秋田中央交通と潟上市マイタウンバスで天王、二田を経て、天王グリーンランドから中央交通の新国道経由で秋田駅。羽後交通で本荘、象潟。
3日目の山形県境越えが意外なルート。季節運行の鳥海山登山用バスを使って、五合目の鉾立で象潟合同タクシーから庄内交通の酒田行きにきれいに乗り継げた(以下省略)。
秋田-山形県境にもバスはなく、歩いて越えることになると思っていたのに、思いもつかない方法があるのがバス旅の醍醐味。
【30日追記】この第7弾が、BSジャパンで11月5日・火曜日18時00分から20時まで再放送される。興味のある方はご覧あれ。
※第7弾の詳細はこちらこちらも参照


第15弾は、ゲストがさとう珠緒で8月6~9日収録、31日放送。山形県の米沢駅から青森県の大間崎を目指した。
太平洋側を通ったほうが良さそうにも感じたが(実際のところは分からない)、太川リーダーは国道13号線沿いに北上して秋田へ入るルートを選択。
新庄に宿泊して2日目は、真室川駅から真室川町営バスで及位(のぞき)駅まで行って、県境を徒歩で越える。かつては院内駅から湯沢行きのバスがあったが、最近廃止されており、さらに4キロ先の横堀駅まで歩いて、羽後交通で湯沢へ。
県境では14キロを歩いたことになり、番組史上2番目の長距離徒歩移動となった。(最長は10弾の徳島・高知県境の15だか16キロ)
あとは羽後交通で横手-六郷高校前-角館。

横手バスターミナルの案内所では、大曲経由で角館に乗り継ぐ方法も示されたが、太川さんの判断で六郷乗り換え。
角館では羽後交通の営業所の人に教えてもらった「角館プラザホテル」に宿泊。武家屋敷に近い、かつて協働社があった建物のホテルである。このビルは来年早々に解体され、ホテルは年内で営業を終えることが今年8月に報道されていた(奇しくもバス旅の放送日と同じ日だったようだ)。

3日目は角館-田沢湖駅-田沢湖畔-玉川温泉。さらに秋北バスで鹿角花輪駅へ着くが、問題が発生。青森方面・十和田湖へ行くバスは、朝の1便しかないことが分かり、足止めを食ってしまう。番組では「魔の3日目」として恐れられているのが、また現実となってしまった。
大湯温泉「ホテル鹿角」に宿泊することにし、まだ15時なのにこの日の行程は終了となった。

4日目は十和田タクシーのバスで十和田湖、JRバスで焼山、十和田観光電鉄バスで七戸十和田駅、野辺地駅、下北交通でむつ、大畑駅と乗り継ぐも、最後の大間崎行きのバスの最終便が出た後だったので、そこで終了となった。
野辺地駅では、むつ行きのバス乗り場が2つに分かれていた。当初気付かずのんびりと第6弾で世話になった食堂を訪問していると、食堂の人に指摘されてより早い便に乗ることができた。青森-むつと八戸-むつの路線によって乗り場が違うようだが、どちらも本数は多くないのだし、統合すればいいのに。
【29日追記】4日間で24本のバスに乗り、運賃総額は16890円。
【2016年4月7日追記】鹿角花輪の案内所で、大館へ出て弘前経由で青森へ入るルートは、「(大館からは)JRしかない」と言われてあっさりあきらめている。第7弾の逆で青森、野辺地まで行ったら(陣馬-碇ヶ関を徒歩)どうなっただろう。ギリギリで弘前に3日目中にたどり着けた可能性がある。大館に1泊したとしても、遠回りながら最終日はけっこうスムーズにゴールできたかもしれない。


フル版で放送され、短縮版でカットされていた場面には、次のようなものがあった。(短縮版で僕が見落とした/忘れただけの場面もあるかもしれません)
・山形で造り酒屋を見学しようかどうか迷ったり、ダリアとハスを勘違いする場面
・真室川でスイカを冷やしてもらって食べるくだり
・横手バスターミナルで角館へ行くのに大曲乗り換えか六郷高校で乗り換えか相談する場面
・角館での宿泊交渉場面 
・田沢湖駅前の食堂で「ルーレット式おみくじ」で蛭子さんを占う場面
・田沢湖畔で買ったみそたんぽで「当たり」が出る場面
・大湯温泉での宿泊交渉、部屋への案内、蛭子さんが「あんまり広い部屋だと怖くなる」と言う場面
・焼山から七戸十和田までの十和田観光電鉄バスの座席のリクライニングの深さに驚く場面(独立3列シートだったので、夜行高速バスの車両が間合いで運用されるのだろうか)
など。
フルと短縮を両方見てしまった者からすれば、テレビなんていかようにも編集できてしまうものだなと感じてしまった。(バンドーさんが所得隠し問題に伴い、収録済みのTBS「世界ふしぎ発見!」がスタジオにいないかのように、ほぼ違和感なく編集されていた時も妙に感心してしまったが)
まして、他局の某番組のように最初から事実を改変する意図を持って作られてしまえば…


とにかく、今回も楽しめたバス旅だった。
ゴールできず「次回こそ」と太川さんが言っていたので、次も楽しみ。年明けかな?(こちらでの放送は2月頃?)※第16段については、この記事中盤で少々
ただ、今後、バス旅が秋田県を通ることはあるだろうか。他に県境を越えるとなると、国道46号線の仙岩峠にしても国道107号線の横手-北上にしても、バスがなく相当歩かないといけないだろうし。

【11月1日追記】この15弾が、BSジャパンで11月7日・木曜日18時から19時55分に放送されることになった。「1時間55分」版という、また違ったバージョンらしい。
上記の通り、11月5日には7弾が再放送される。BSジャパンでは、以前のバス旅の再放送をした数日後(の同じ時間のことが多い)に、最新版を放送するようだ。


最後に、笑っていいとものテレフォンショッキング内の「100分のX」。ゲストが客席の女性100人に質問し、それに該当する人数を予想するもの(以前は100分の1限定だった)。
太川さんは「路線バスで運賃を支払う時、大きな札しか持っておらず、(両替できないので)次に乗った時に支払うように言われた経験がある人」として100人中1人を狙った。
僕も何度か見たことがある場面なので、1人よりは多く3~4人くらいかと予想。(東京は前払いだし、磁気やIC乗車券も普及しているし)

ところが20人もいた!
タモリさんが「その中で、次に乗った時にちゃんと支払った人」を聞くと、12人。
う~ん、6割ですか。
コメント (5)
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