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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

セリオンタワーと呼ぶこと

2018-01-19 00:15:03 | 秋田のいろいろ
今日もひと様にケチをつけるような話で恐縮です。
プライベートな内々の話ならともかく、誰かに何かの固有名詞を伝える時は、極力正確な言葉を使うべきだと思う。他人(人に限らず組織なども含めて)の名前を、勝手に短縮したり言い換えたりするのは、失礼でもある。
例えば、NHKの各道府県庁所在地などにある放送・取材・営業の拠点のことを「支局」と呼んだり、秋田市役所の支所と公民館の機能を統合した出先機関を「市民センター」あるいは「サービスセンター」と呼んだり。※それぞれ正しくは「放送局」、「市民サービスセンター」。


秋田市土崎の秋田港にあるガラス張りの塔は「ポートタワー・セリオン」。
周囲に「セリオン○○」という付帯施設が別にあったり、3セクから市所有に代わったことで頭に「秋田」または「秋田市」が付いたり、道の駅・指定管理者制度になったりしてややこしいけれど、「ポートタワー・セリオン」の名は1994年のオープンから変わっていない。
僕を含む秋田市民の多くは、塔部分のみあるいは付帯施設を含めて一括して、単に「セリオン」と呼ぶ人も多い。

以前も述べたが、一方で、ネット上では秋田市(または近隣市町村)民や出身者で「セリオンタワー」と呼ぶ人が一定数いるようだ。それが、口コミサイトなどでもある程度使われてしまっているのだが、個人的には違和感を禁じ得ない。
「セリオン」だけだと、塔だけを指すのか近隣の他施設も含めるのか区別しにくい場面もあるだろうし、セリオンが塔であることを知らない人にはそれがナニモノか分からないから「タワー」を付けて誰にでも分かりやすくする意図なのかもしれない。そんな場合、「ポートタワーセリオン」だと長ったらしいし、「タワーセリオン」だと語呂が悪いし、「セリオンタワー」が言いやすくしっくり来るのだろう。
だけど、語順を入れ替えるのはいかがなものか。「タワー東京」「ツリースカイ」「ヨーカドーイトー」「イレブンセブン」と言っているようなもの。
【24日追記】企業名を正式に表記する時、その企業形態(「株式会社」など)が前に付くものと後に付くものが存在する。取引先など別の企業を呼ぶ時、そこを間違えるのは一般に失礼なこととされ、「前株/後株」といって注意を払う。セブン-イレブンの運営会社は前株の「株式会社セブン-イレブン・ジャパン」。ハイフンや中黒もあって要注意。例えば「セブンイレブンジャパン株式会社」などと書いてしまうのは間違いで、失礼になる。企業名でないにしてもセリオンタワーも同じことじゃないかと思うのだけど…
【2023年10月27日補足】東京都渋谷区に「セルリアンタワー」という超高層複合ビルがある。2001年竣工なのでセリオンのほうが先だが、セルリアンタワーの名が頭にあって、影響されてセリオンタワーと呼んでしまっている人もいるかもしれない。


「セリオンタワー」が正しくはなく便宜的な言いかただと理解して使うのならまだいいけれど、いつの間にかそれが正式名であるかのようになってしまっている人もいるようだ。
2012年にはNHK秋田放送局のローカルニュースの原稿の中で「セリオンタワー」とした(ポートタワー・セリオンの表記は1度も出ずに)ことがあった。メールで指摘して、今後気をつける旨の回答をいただいたが、その後は、とりあえず間違ったニュースには遭遇していない。
2012年6月16日更新のNHKニュースサイトより。一部省略

だったら同じ理屈で「スカイツリータワー」「アトリオンビル(企業としては実在)」「アルヴェビル」「こまち列車」「キタスカ役所(?)」「イオンスーパー」「いとくスーパー」などと言ってもいいはずだけど、そういう人は極めて少ない。(全国的に「ふじりんご」という言い方がたまに使われるが、これはその理屈か。)



さて、1月19日。土崎港西一丁目に新しくセブン-イレブンがオープンするのだが、その店舗名が、
「セブン-イレブン 秋田セリオンタワー前店」。
公式サイト「新店一覧」より
場所は、セリオン南東側の臨海鉄道の漁連踏切近く、県の港湾事務所の交差点の南西側。西一丁目の6番地。ストリートビューを見ると、かつては倉庫と事務所みたいのが何棟か建っている場所だったようだ。
セリオンは西一丁目の9番地で線路を隔てているし、ひいき目に(根本じゃなく駐車場の端から)計測しても200メートルは離れている。
したがって、「セリオン“前”店」と称することからして、若干無理がある(反対側のベイパラダイスのローソンのほうが近いのでは?)気もしなくはないが、やはり「セリオンタワー」は気になってしまう。むしろ単に「秋田セリオン前店」でいいのでは。
コンビニの店舗名など気に留める人は多くないだろうけど、店の名前が正式ではないもの由来というのは…

この店ができることを知ったのは、だいぶ早く昨年秋だったので、余計なおせっかいながら、セブン-イレブン本社へ正式な呼称に基づく店舗名ではないことを、意見として伝えておいた。回答は求めなかったので、どういう経緯があったかは知らないけれど、結局、セリオンタワーでオープンしてしまう。


あと、それ以前の問題として、この店はセリオンやそれを所有する秋田市とは、直接の関係はないはず。それなのに、他人が所有する「セリオン」という施設名を店舗名に用いること自体、どうなんだろう。
駅前とか県庁前とか大学前とか、公共性の高いものであれば当然のように各地で使われているが、名前を使われる施設(この場合セリオン)が、営利目的の民間企業の場合は、昔はともかく現在は厳しいのではないだろうか。
仮に、名称が商標登録され、その権利に厳しいであろう東京スカイツリーや東京ディズニーリゾートで同じことをしたら、訴えられるか使用料を取られるに違いない。
コンビニの場合、名前を使われる施設内にテナントとしてコンビニが入っている(スカイツリーではファミリーマート東京ソラマチ1F店と同B3F店がある)こともあるから、周りの無関係なコンビニに勝手に名乗られては、営業妨害にもなる。

秋田市の許可を得てセブンの店舗名にしたのなら、まさか「セリオンタワー」はないだろうから、勝手に名乗ったのだろう。
セリオンは、どちらかといえば公共施設的存在で、中にコンビニなど競合店はない。地元と共存していくことも必要ではある。
それを踏まえると秋田市としては、「無許可で名乗ってもまったく問題ない」のか「黙認してくれている」のか「このこと自体を知らない」のか、そのいずれかだろう。

それにしても、コンビニの店舗名って、誰がどういう基準で決めるのだろう。
本部から割り当てられるのではなく、オーナーの裁量が強いのだろうか。
どこに店を造るかは、周辺の客層や競合店を念入りに調査して決める(特に秋田でのセブンは後発だけにしっかり行っている)そうだが、名前については調査しないのかね。


ちなみに、周辺のコンビニの状況。
もう珍しくなくなったセブン-イレブンは、土崎地区にもいくつもあるものの、セリオン近辺はぽっかりと空白地帯だった。
ローソンは多く、上記、セリオンの反対側の向かい側に秋田ベイパラダイス店、逆方向7号線近くの新店舗と同じ側の3番地に秋田土崎港西一丁目店があって、その中間辺りにセブンができる。
また、ファミリーマートは土崎に少ない。しかし、かつては、セブン開店地の近くの7号線寄り(同じブロックの隣の隣くらいの既存ビルの1階?)、6番28号に「秋田土崎港店」があった。おそらく2010年7月16日オープンで、2015年12月31日閉店に閉店。跡はカーリースの店になっている。



オープンするお店にケチをつけてしまって申し訳ありません。繰り返しますが、コンビニの店舗名を気にする人は少ないだろうし、ご繁盛をお祈りします。
でも、秋田市民だったら、正しく「ポートタワー・セリオン」もしくは単に「セリオン」と呼んでやってほしいです。あえて間違った名称を流布する必要はないのではないでしょうか。

【2021年4月10日追記】
セリオンの下を通る、秋田臨海鉄道は2021年春で廃止。その踏切の1つに「セリオンタワー踏切」というのがあったそうだ。かつては「漁連踏切」という名前だったのを、2010年代前半頃に名称変更したらしい(他の踏切も同時に変更されたものがあるようだ)。

あと、「ピザパイ」という言葉を思い出し、セリオンタワーが連想された。子どもだった1980年代、大人たちはイタリア料理の「ピザ」のことを「ピザパイ」と呼んでいた。当時の喫茶店やファミリーレストランでもそうだったらしい。
当時はピザといっても何のことか分からず、「パイ」を付けて分かりやすくしたのだと思う。セリオン+タワーと同じ理屈になろう。
ただ、当時も今もパイといえばお菓子がイメージされ、少し違うが、ある程度の方向性は連想できただろう。1990年代以降、宅配ピザの隆盛などもあって、もうパイを付けなくてもピザ、そしてピッツアとして、老若男女ほとんどが知る食べ物となったわけだが、セリオンは…

※2021年に、土崎にもう1つ、店舗の命名に不満があるセブン-イレブンができた

※店舗の写真は、この記事(秋田県秋田港湾事務所について)に少々写っています。
コメント (2)
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