大館を後にするけれど、帰るには早いし、ここまで来たのだから矢立峠を越えて弘前にもちょっとだけ。2018年最初の津軽カテゴリーの記事です。
弘前大学文京町地区近くの弘南鉄道大鰐線・弘前学院大前駅に隣接した生協のスーパー「コープあおもり西弘店」が、この春(4月26日)に新しくなったそうだ。どうも駅舎のほうもいっしょに新しくされたらしい。
情報が少ないので、現地へ行ってみた。あまり時間がなかったので、細かいところは見ていません。
これまでの流れを整理しておく。(この記事などの再掲)
弘南鉄道の駅名は、1952年の開業時から長らく「西弘前」駅だった。
西弘前という地名は存在しないが、駅名を発端として商店街の名前、銀行などの店舗名にも「西弘前」が使われ、それを略した「にしひろ」が、市民や学生に浸透して親しまれていた。
ところが、2008年9月、弘南鉄道は唐突に駅名を「弘前学院大前」駅に改称。
地元への説明がほとんどないまま、周知期間も短かったため、混乱になったとまでは言えないにしても、新しい駅名が地元に浸透して受け入れられているとは言い難い。
10年経った今でも、商店街、みちのく銀行の支店、弘南バス(弘南鉄道とは起原は同じだが別会社)のバス停など「西弘前」の名前はたくさん残っている。何度も代替わりしている大学生にさえ「にしひろ」が通用するらしい。
僕が弘前にいた20年前は、西弘前駅にも駅員がいて、券売機が稼働して集改札を行っていた(休日や夜間は無人)。
21世紀に入って無人の時間帯が増え、2009年春からは完全な無人駅となっている。
駅舎隣の生協は、1973年に「弘南生協西弘店」として開店。駅名改称後も「西弘店」のまま。
1971年までは西弘前に車庫があったそうなので、憶測だが、その車庫の跡地に建てたのかもしれない。また、「弘南生協」と弘南鉄道の関係については分からない。
2010年には、弘南生協が青森市のコープあおもりと合併したため、「コープあおもり西弘店」として営業を続けていたが、2017年9月5日でいったん閉店して建て替えをしていた。
(再掲)2009年弘南生協時代。コープあおもりになってからも、外観は表示が変わった程度の違い
場所的に学生街かつ住宅街、周辺に他のスーパーもないことから、立地としては良さそう。
僕が弘前にいた頃は、場所的にはいちばん近いスーパーであったが、生協の組合員ではなかったので気が引けて、ほとんど利用しなかった。旧店舗は、昭和の食品スーパーとしては標準的な、今となっては狭い店だったと記憶している。
建て替え前のGoogleマップの航空写真より。赤で囲ったのが駅と生協の敷地
敷地としては南北・線路に沿って細長く、北側は駐車場。
南側に建物があって、別棟のトイレと、駅舎と生協が一体化した建物があった。
航空写真で見ると、L字型の南(写真下)に、体育館のような建物がくっついている。L字部分の線路寄りが駅舎、残りが生協だったと思われる。(マップで「コープ~」と印が付いている部分は、実際には駅だったことになろう。)
駅と生協はそれぞれに出入り口があったが、駅と生協を直接行き来できるドアも内部にあったはず。
マップには「コープカルチャーセンター虹」なるものも表示されているが、知らなかった。調べても詳細は不明。
2015年8月撮影のGoogleストリートビューより
上のストリートビューは、東(航空写真右)側の商店街の通り、惣菜のさとう前から見たところ。建物の向こう側が、駅ホーム・線路。
意識していなかったが、L字型の部分は2階建てだった。一般人は2階には立ち入れなかったはず。
駅舎の入り口は道路からまっすぐの奥、生協は道路沿いながら出入り口は通りには面していない。
また、生協並びの道路側に「青森銀行」とあるのはATMコーナー。過去のストリートビューで確認すると、2013年5月時点ではここに花屋が入っており、2015年までの間に替わったようだ。
現在は…
こうなった!
まったく別の場所のようにも見えてしまうけれど、L字型の建物と全体的な位置関係は、ほぼ変わらない。
旧店舗時代は、商店街の道路側に、駐輪場(正式ではない?)、ホームタンク、ゴミ置き場などがあった。新店舗では、それらがなく、道路ぎりぎりまで建物の壁、しかも黒っぽい色なので、圧迫感というか殺風景さが強くなってしまった。商店街のオレンジと緑の街路灯も、この部分だけ撤去されてしまった。
この面にもドアを付けるまではいかないにしても、デザイン的な工夫でもうちょっとなんとかできそう。
上の航空写真では、敷地の南隣に建物が写っている。みちのく銀行との間で、「じゅんフォト」という写真館。
ストリートビューによれば、2015年8月まではあったのが、2017年8月には更地になり、生協の箱置き場になっていた。もしかしたら、その土地も新店舗に使われたかもしれない。
少し角度を変えて、正面。
この向こうが線路
建物右側にあったトイレがなくなった。建物内に移ったのだろう。跡は自転車置き場(以前は手前にあった)。
建物右端には青森銀行ATM。その左が「店内・待合室入り口」とある。
このドアが入り口
新店舗では、駅と生協の出入り口が共通になった。このドアを入るとカート置き場があって、その左に生協店内へのドアがある。
駅はどうなのかと言えば、
ここが駅??
最初のドアからまっすぐ、カート置き場の奥に、自動ドアでないドアがあって、その外は構内踏切を渡ってホーム。
カート置き場には、生協の理念とかポスターとともに、時刻表と運賃表が掲出されている。左にベンチもある(旧駅舎と同じものかも?)。
つまり、カート置き場=弘前学院大前駅となってしまったことになる。
かつての駅舎を知る者としてはショックだけど、無人駅なんだからこれだけあれば問題はない。冷暖房やトイレもあるのだから、機能としては充分。
乗車券の販売や案内を生協に委託するとかすれば、サービスとしては向上するけど。これが現実。
【15日追記】全国的に見ても、公共施設や道の駅に、申し訳程度の駅舎機能が併設される事例は少なくない(道の駅いまべつの風除室に併設された津軽二股駅など)。だけど、スーパーマーケット(のカート置き場)に併設された駅というのは、あるだろうか。なくはなさそうな気もするけど。
素朴な疑問として、生協が閉まっている時間はどうなるんだろう? カートを置いてある屋内を開放するわけにはいくまい。
旧駅舎時代は、駅舎を通らずに、構内踏切と駐車場を行き来できる通路があって、駅員がいた頃は柵が閉まっていたが、無人化後は常時開放されていた。現在は、その通路・柵はなくなったようにも見えた(不確実)。
構内踏切~ホームの位置は以前と変わっていないから、新しい手押しドアの位置が、かつての改札口の位置と考えられる。したがって、生協部分の面積が駅舎側に拡大したことになる。
生協の店内は、たしかに以前よりは広くなったと思う。
今どきの、落ち着いた雰囲気のきれいなスーパー。でも、まったく新規にできた今のスーパーと比べれば狭い。惣菜の品揃えが豊富。
昨年秋田市にできた、マックスバリュエクスプレス新屋関町店に似ていて、それをちょっと大きくしたような感じ。
北側から。右が線路・ホーム
トイレ跡の自転車置き場には屋根も付いた。かつてはホームからの通路がこの辺りにつながっていたはずだけど…
旧駅舎では、この面にも出入り口があったが、今はATMが間に入ったので設けられなかった。
自販機は4台。以前もこの付近にあって(冒頭の写真を見れば、向きは違って、台数はもっとあったらしい)、20年前はグリコセブンティーンアイスの自販機もあって、時々お世話になったものだが、今はなくなってしまったようだ。
こちら側の外壁の見た目は2階建ての高さがあって(実際の造りは不明)、同じ大きさの色違いの文字で「弘前学院大前駅」「コープ西弘店」の表示。東面にはあるけれど、こちらには「弘南鉄道」とは表示しないのね。
駅名を上にしたのは、駅への敬意を表しているのだろうか。でも、実際にはカート置き場同然。
それにしても、元は駅名を活かした店舗名だったのに、今はちぐはぐ。店は新しくなっても、店舗名は「西弘」。
「ドン・キホーテ秋田店」になっても、「長崎屋バスターミナル」みたいなものか(ちょっと違うか)。
駐車場北側から
上の写真、左手前に新しいアパートができていた。さらに手前(角)にもう1棟ある。
昔は別の建物があったはずで、2013年5月までに更地や駐車場になっていて、2015年8月までには角の建物ができて、2017年8月までにはもう1棟もできていた。その後でできたほうの名前は、
「アロハ西弘」
なぜにアロハ? ヤシの木?
そして、今なお、新しくできたものでも「西弘」。これが現実。
西弘は永遠に不滅です。※駅名変更10年となる2018年8月末の記事。
弘前の話題は続く。
弘前大学文京町地区近くの弘南鉄道大鰐線・弘前学院大前駅に隣接した生協のスーパー「コープあおもり西弘店」が、この春(4月26日)に新しくなったそうだ。どうも駅舎のほうもいっしょに新しくされたらしい。
情報が少ないので、現地へ行ってみた。あまり時間がなかったので、細かいところは見ていません。
これまでの流れを整理しておく。(この記事などの再掲)
弘南鉄道の駅名は、1952年の開業時から長らく「西弘前」駅だった。
西弘前という地名は存在しないが、駅名を発端として商店街の名前、銀行などの店舗名にも「西弘前」が使われ、それを略した「にしひろ」が、市民や学生に浸透して親しまれていた。
ところが、2008年9月、弘南鉄道は唐突に駅名を「弘前学院大前」駅に改称。
地元への説明がほとんどないまま、周知期間も短かったため、混乱になったとまでは言えないにしても、新しい駅名が地元に浸透して受け入れられているとは言い難い。
10年経った今でも、商店街、みちのく銀行の支店、弘南バス(弘南鉄道とは起原は同じだが別会社)のバス停など「西弘前」の名前はたくさん残っている。何度も代替わりしている大学生にさえ「にしひろ」が通用するらしい。
僕が弘前にいた20年前は、西弘前駅にも駅員がいて、券売機が稼働して集改札を行っていた(休日や夜間は無人)。
21世紀に入って無人の時間帯が増え、2009年春からは完全な無人駅となっている。
駅舎隣の生協は、1973年に「弘南生協西弘店」として開店。駅名改称後も「西弘店」のまま。
1971年までは西弘前に車庫があったそうなので、憶測だが、その車庫の跡地に建てたのかもしれない。また、「弘南生協」と弘南鉄道の関係については分からない。
2010年には、弘南生協が青森市のコープあおもりと合併したため、「コープあおもり西弘店」として営業を続けていたが、2017年9月5日でいったん閉店して建て替えをしていた。

場所的に学生街かつ住宅街、周辺に他のスーパーもないことから、立地としては良さそう。
僕が弘前にいた頃は、場所的にはいちばん近いスーパーであったが、生協の組合員ではなかったので気が引けて、ほとんど利用しなかった。旧店舗は、昭和の食品スーパーとしては標準的な、今となっては狭い店だったと記憶している。

敷地としては南北・線路に沿って細長く、北側は駐車場。
南側に建物があって、別棟のトイレと、駅舎と生協が一体化した建物があった。
航空写真で見ると、L字型の南(写真下)に、体育館のような建物がくっついている。L字部分の線路寄りが駅舎、残りが生協だったと思われる。(マップで「コープ~」と印が付いている部分は、実際には駅だったことになろう。)
駅と生協はそれぞれに出入り口があったが、駅と生協を直接行き来できるドアも内部にあったはず。
マップには「コープカルチャーセンター虹」なるものも表示されているが、知らなかった。調べても詳細は不明。

上のストリートビューは、東(航空写真右)側の商店街の通り、惣菜のさとう前から見たところ。建物の向こう側が、駅ホーム・線路。
意識していなかったが、L字型の部分は2階建てだった。一般人は2階には立ち入れなかったはず。
駅舎の入り口は道路からまっすぐの奥、生協は道路沿いながら出入り口は通りには面していない。
また、生協並びの道路側に「青森銀行」とあるのはATMコーナー。過去のストリートビューで確認すると、2013年5月時点ではここに花屋が入っており、2015年までの間に替わったようだ。
現在は…

まったく別の場所のようにも見えてしまうけれど、L字型の建物と全体的な位置関係は、ほぼ変わらない。
旧店舗時代は、商店街の道路側に、駐輪場(正式ではない?)、ホームタンク、ゴミ置き場などがあった。新店舗では、それらがなく、道路ぎりぎりまで建物の壁、しかも黒っぽい色なので、圧迫感というか殺風景さが強くなってしまった。商店街のオレンジと緑の街路灯も、この部分だけ撤去されてしまった。
この面にもドアを付けるまではいかないにしても、デザイン的な工夫でもうちょっとなんとかできそう。
上の航空写真では、敷地の南隣に建物が写っている。みちのく銀行との間で、「じゅんフォト」という写真館。
ストリートビューによれば、2015年8月まではあったのが、2017年8月には更地になり、生協の箱置き場になっていた。もしかしたら、その土地も新店舗に使われたかもしれない。
少し角度を変えて、正面。

建物右側にあったトイレがなくなった。建物内に移ったのだろう。跡は自転車置き場(以前は手前にあった)。
建物右端には青森銀行ATM。その左が「店内・待合室入り口」とある。

新店舗では、駅と生協の出入り口が共通になった。このドアを入るとカート置き場があって、その左に生協店内へのドアがある。
駅はどうなのかと言えば、

最初のドアからまっすぐ、カート置き場の奥に、自動ドアでないドアがあって、その外は構内踏切を渡ってホーム。
カート置き場には、生協の理念とかポスターとともに、時刻表と運賃表が掲出されている。左にベンチもある(旧駅舎と同じものかも?)。
つまり、カート置き場=弘前学院大前駅となってしまったことになる。
かつての駅舎を知る者としてはショックだけど、無人駅なんだからこれだけあれば問題はない。冷暖房やトイレもあるのだから、機能としては充分。
乗車券の販売や案内を生協に委託するとかすれば、サービスとしては向上するけど。これが現実。
【15日追記】全国的に見ても、公共施設や道の駅に、申し訳程度の駅舎機能が併設される事例は少なくない(道の駅いまべつの風除室に併設された津軽二股駅など)。だけど、スーパーマーケット(のカート置き場)に併設された駅というのは、あるだろうか。なくはなさそうな気もするけど。
素朴な疑問として、生協が閉まっている時間はどうなるんだろう? カートを置いてある屋内を開放するわけにはいくまい。
旧駅舎時代は、駅舎を通らずに、構内踏切と駐車場を行き来できる通路があって、駅員がいた頃は柵が閉まっていたが、無人化後は常時開放されていた。現在は、その通路・柵はなくなったようにも見えた(不確実)。
構内踏切~ホームの位置は以前と変わっていないから、新しい手押しドアの位置が、かつての改札口の位置と考えられる。したがって、生協部分の面積が駅舎側に拡大したことになる。
生協の店内は、たしかに以前よりは広くなったと思う。
今どきの、落ち着いた雰囲気のきれいなスーパー。でも、まったく新規にできた今のスーパーと比べれば狭い。惣菜の品揃えが豊富。
昨年秋田市にできた、マックスバリュエクスプレス新屋関町店に似ていて、それをちょっと大きくしたような感じ。

トイレ跡の自転車置き場には屋根も付いた。かつてはホームからの通路がこの辺りにつながっていたはずだけど…
旧駅舎では、この面にも出入り口があったが、今はATMが間に入ったので設けられなかった。
自販機は4台。以前もこの付近にあって(冒頭の写真を見れば、向きは違って、台数はもっとあったらしい)、20年前はグリコセブンティーンアイスの自販機もあって、時々お世話になったものだが、今はなくなってしまったようだ。
こちら側の外壁の見た目は2階建ての高さがあって(実際の造りは不明)、同じ大きさの色違いの文字で「弘前学院大前駅」「コープ西弘店」の表示。東面にはあるけれど、こちらには「弘南鉄道」とは表示しないのね。
駅名を上にしたのは、駅への敬意を表しているのだろうか。でも、実際にはカート置き場同然。
それにしても、元は駅名を活かした店舗名だったのに、今はちぐはぐ。店は新しくなっても、店舗名は「西弘」。
「ドン・キホーテ秋田店」になっても、「長崎屋バスターミナル」みたいなものか(ちょっと違うか)。

上の写真、左手前に新しいアパートができていた。さらに手前(角)にもう1棟ある。
昔は別の建物があったはずで、2013年5月までに更地や駐車場になっていて、2015年8月までには角の建物ができて、2017年8月までにはもう1棟もできていた。その後でできたほうの名前は、

なぜにアロハ? ヤシの木?
そして、今なお、新しくできたものでも「西弘」。これが現実。
西弘は永遠に不滅です。※駅名変更10年となる2018年8月末の記事。
弘前の話題は続く。