当ブログで何度か取り上げてきた、「主要地点」の案内標識。一般的には「交差点名(の看板)」と認識される表示板のこと。
信号機のアームに取り付けられることが多いが、警察の管轄ではない。「案内標識」なので道路管理者の管轄。したがって、信号機やそのアームの更新工事の際には、発注者である警察から施工業者に対し「主要地点標識はそのまま移設すること」みたいな指示があるようだ。
【18日補足・「主要地点」とよく似て混同される案内標識に「著名地点」標識がある。やや区別があいまいだが、交差点名は「主要地点」のほう。著名地点は駅や役所などの施設、観光地や川などの「そのもの」の場所を示すもので、単独で設置されることが多い。(詳しくは法令等をお調べ願います)。】
現在は、全国的には横書きでローマ字・英語併記のものが多いが、縦書き・ローマ字なしのものも見かける。後者は旧規格かと思いきや、現在でも認められているのだった(ローマ字を入れるのが面倒で、前例踏襲している道路管理者も少なくないのでは?)。
地域によってばらつきが大きいということだろう。
我が秋田県は縦書き・ローマ字なしのほうが多い。
さらに、いつの間にか標識がなくなって“無名交差点化”してしまったものがある。例えば秋田市の「大町西」「大町四丁目」、由利本荘市「大町角」。
あとは、他県ならば主要地点標識が付きそうな場所なのに、無名交差点というのもある。例えば秋田市の県道41号「桜ガ丘入口」、県道56号「美術大学前」などあっていいと思うし、県外では小学校前の押ボタン式でも「○○小学校前」が設置されていることも多いが、秋田では見たことがない。
県道、秋田市を始めとする各市(町村)道とも、そうした傾向があり、秋田県は主要地点標識が少なく、設置に消極的な地域と言えると思う。※表示に積極的な長野県の例。
憶測だが、それぞれの道路管理者個別の方針ではなく、県と各市町村共通の取り決め、もしくは暗黙のルールのようなものがあるのではないか。
さらに憶測だが、信号機に標識を付けるとなれば、道路管理者と県警の調整が必要になる。だから、道路管理者か警察かどちらかが、それを嫌って、というか面倒くさがって、というか良く言えば(?)遠慮や忖度して、できるだけ主要地点標識を付けない方針になってしまっているのでは、とさえ思ってしまう。
今回取り上げるのは、秋田県道56号・通称「新国道」の、秋田市中央地域の複数の交差点の主要地点標識。秋田としては名前のある交差点が多い区間。
「高陽幸町」
縦書き・ローマ字なし、文字は写研「ナール」で、板面は六角形の反射材付き。
新国道では、山王十字路以南の広義の新国道区間も含めて、このタイプの標識ばかりが設置されている(山王十字路、茨島交差点を除く)。
僕の記憶では、少なくとも「鉄砲町」は昭和末~平成初期には設置済みだったと思う。
書体からして、道路標識で使う文字をナールとすることが事実上の標準とされた1986年以降の設置と考えられる(青い道案内標識についての関連記事)。
また、高陽幸町交差点で交わる道のうち、いちばん最後に開通した、市道の保戸野学園通り向きにだけ設置されていない(他の交差点では、従道側には設置されないのが基本だが)ことから、それが開通するかどうかの頃に設置されたかもしれない(昭和末開通だが、具体的にいつかは知らない)。
高陽幸町は、電線地中化され、デザイン化された信号柱になっても、主要地点標識だけは脈々と受け継がれていることになる。
では、ほかの交差点を紹介します。
「十十易入口」?
「 十一 」?
「 ? 畑」?
「 木於丶?」?
「-|‖」?
文字の線がはがれ落ちて、判読できない。
正解は上から「操車場入口」「旭南(きょくなん)一丁目」「八橋大畑」「八橋鯲沼町(やばせどじょうぬまちょう)」「新川向」。
劣化が著しい標識には共通点がある。いずれも県道を北進する車が見る側、つまり南向きに設置されている標識。北向きでは、多少の剥離はあるにしてもすべての交差点で判読に支障がない(下の写真)。バス停表示板の色あせやシールに印字した文字でも指摘したが、お日さまの光の力が、こうさせたのだろう。
ただ、冒頭の高陽幸町の写真がそうなのだが、南向きでも、ほぼ劣化していない交差点もあるもある。陽の当たり具合は違わないと思うのだけど。
また、枠線もはがれ落ちたものが多く、上の写真の5か所すべてで、上辺はきれいに消えてしまったが、その両角のアール部分は残っているのもおもしろい。
北向き側「旭南一丁目」。上辺の枠だけ剥離
北向き側「八橋鯲沼町」。珍しく右上のアール部が剥離
北向き側「新川向」。「新」に水が入ったようなシミ。
↑「丁」「沼」「向」付近=ほぼ同じ位置に横筋が入っているが、これは製作上のつなぎ目みたいなのだろうか。
読めない標識を放置するとは、いかがなものか。案内標識なのに案内できていない。
これでここが「新川向」と分かってもらえるか
表示板は残っているのに「無名」交差点化してしまいかねない。実地調査して、各種地図サービスにも反映されるのだろうから、現地だけの問題でもない。何よりみっともない。
はがれかけた「橋」の木偏と、「鯲」の右上が、風にパタパタはためく
Googleマップストリートビューで、劣化の進み具合を調べてみた。幹線道路だから毎年のように撮影されている。
「旭南一丁目」は2017年7月では状態良好。2018年7月に上辺が脱落。文字は2020年10月でも完全。
「新川向」は2017年8月良好、2018年7月上辺剥離、2019年9月「川」の中央の線が剥離、2020年10月に「新」の上~左が剥離。
「八橋鯲沼町」は2018年7月良好、2019年10月「橋」の下の「口」が脱落、
「八橋大畑」は2019年9月良好、2020年10月上辺剥離。2020年10月枠の左辺~上辺、「沼」のさんずいの下が剥離。
「操車場入口」は2017年7月良好、2018年7月「操」の右上・6画目脱落、2020年10月「操」の9画目脱落。
といった具合で、劣化し始めたのが5年弱前、そしてこの2年ほどで、急速にはがれ落ちたことになる。30年以上がんばって、そろって限界に達した、寿命とみていいでしょう。そして、ほかの交差点でも、今後同様になる可能性は高い。
寿命に達したからには、速やかに更新するべきであろう。
今の時代、ローマ字入りにして。
そして、「操車場」は今は「秋田貨物駅」なのだから、名称も変更してはどうだろうか。また、道路の拡張や交通量の変化に応じて、県道でない側にも表示板を設置するべき箇所もあるかもしれない(上記、高陽幸町のほか、新川向など)。
過去には、1か所の交差点だけで劣化した表示板が、以前と同じ仕様で更新された(旧標識に上貼りしたものも)ことはある。
県道では「広小路西」がボロボロになって、2012年10月から2013年11月の間に更新された。「新屋支所前」はボロボロになって、当の新屋支所が廃止されてからやっと「日吉神社前」に変更された。秋田市道では「大町五丁目」が申し訳程度に1枚だけ更新されて、かろうじてその名を保っている。1~2枚なら予算が工面できるのだろう。
しかし、まとまった数、そして英字併記への仕様変更も、となれば、心もとなくもあるけれど。
今こそ、“持続可能な交差点名(?)”とする好機だ。持続可能な交差点名は、持続可能な街にもつながるはず。期待します。【18日補足・しかるべき所へ、現状を報告し、改善を要望済み。】→その後、2024年始の記事。
信号機のアームに取り付けられることが多いが、警察の管轄ではない。「案内標識」なので道路管理者の管轄。したがって、信号機やそのアームの更新工事の際には、発注者である警察から施工業者に対し「主要地点標識はそのまま移設すること」みたいな指示があるようだ。
【18日補足・「主要地点」とよく似て混同される案内標識に「著名地点」標識がある。やや区別があいまいだが、交差点名は「主要地点」のほう。著名地点は駅や役所などの施設、観光地や川などの「そのもの」の場所を示すもので、単独で設置されることが多い。(詳しくは法令等をお調べ願います)。】
現在は、全国的には横書きでローマ字・英語併記のものが多いが、縦書き・ローマ字なしのものも見かける。後者は旧規格かと思いきや、現在でも認められているのだった(ローマ字を入れるのが面倒で、前例踏襲している道路管理者も少なくないのでは?)。
地域によってばらつきが大きいということだろう。
我が秋田県は縦書き・ローマ字なしのほうが多い。
さらに、いつの間にか標識がなくなって“無名交差点化”してしまったものがある。例えば秋田市の「大町西」「大町四丁目」、由利本荘市「大町角」。
あとは、他県ならば主要地点標識が付きそうな場所なのに、無名交差点というのもある。例えば秋田市の県道41号「桜ガ丘入口」、県道56号「美術大学前」などあっていいと思うし、県外では小学校前の押ボタン式でも「○○小学校前」が設置されていることも多いが、秋田では見たことがない。
県道、秋田市を始めとする各市(町村)道とも、そうした傾向があり、秋田県は主要地点標識が少なく、設置に消極的な地域と言えると思う。※表示に積極的な長野県の例。
憶測だが、それぞれの道路管理者個別の方針ではなく、県と各市町村共通の取り決め、もしくは暗黙のルールのようなものがあるのではないか。
さらに憶測だが、信号機に標識を付けるとなれば、道路管理者と県警の調整が必要になる。だから、道路管理者か警察かどちらかが、それを嫌って、というか面倒くさがって、というか良く言えば(?)遠慮や忖度して、できるだけ主要地点標識を付けない方針になってしまっているのでは、とさえ思ってしまう。
今回取り上げるのは、秋田県道56号・通称「新国道」の、秋田市中央地域の複数の交差点の主要地点標識。秋田としては名前のある交差点が多い区間。
「高陽幸町」
縦書き・ローマ字なし、文字は写研「ナール」で、板面は六角形の反射材付き。
新国道では、山王十字路以南の広義の新国道区間も含めて、このタイプの標識ばかりが設置されている(山王十字路、茨島交差点を除く)。
僕の記憶では、少なくとも「鉄砲町」は昭和末~平成初期には設置済みだったと思う。
書体からして、道路標識で使う文字をナールとすることが事実上の標準とされた1986年以降の設置と考えられる(青い道案内標識についての関連記事)。
また、高陽幸町交差点で交わる道のうち、いちばん最後に開通した、市道の保戸野学園通り向きにだけ設置されていない(他の交差点では、従道側には設置されないのが基本だが)ことから、それが開通するかどうかの頃に設置されたかもしれない(昭和末開通だが、具体的にいつかは知らない)。
高陽幸町は、電線地中化され、デザイン化された信号柱になっても、主要地点標識だけは脈々と受け継がれていることになる。
では、ほかの交差点を紹介します。
「十十易入口」?
「 十一 」?
「 ? 畑」?
「 木於丶?」?
「-|‖」?
文字の線がはがれ落ちて、判読できない。
正解は上から「操車場入口」「旭南(きょくなん)一丁目」「八橋大畑」「八橋鯲沼町(やばせどじょうぬまちょう)」「新川向」。
劣化が著しい標識には共通点がある。いずれも県道を北進する車が見る側、つまり南向きに設置されている標識。北向きでは、多少の剥離はあるにしてもすべての交差点で判読に支障がない(下の写真)。バス停表示板の色あせやシールに印字した文字でも指摘したが、お日さまの光の力が、こうさせたのだろう。
ただ、冒頭の高陽幸町の写真がそうなのだが、南向きでも、ほぼ劣化していない交差点もあるもある。陽の当たり具合は違わないと思うのだけど。
また、枠線もはがれ落ちたものが多く、上の写真の5か所すべてで、上辺はきれいに消えてしまったが、その両角のアール部分は残っているのもおもしろい。
北向き側「旭南一丁目」。上辺の枠だけ剥離
北向き側「八橋鯲沼町」。珍しく右上のアール部が剥離
北向き側「新川向」。「新」に水が入ったようなシミ。
↑「丁」「沼」「向」付近=ほぼ同じ位置に横筋が入っているが、これは製作上のつなぎ目みたいなのだろうか。
読めない標識を放置するとは、いかがなものか。案内標識なのに案内できていない。
これでここが「新川向」と分かってもらえるか
表示板は残っているのに「無名」交差点化してしまいかねない。実地調査して、各種地図サービスにも反映されるのだろうから、現地だけの問題でもない。何よりみっともない。
はがれかけた「橋」の木偏と、「鯲」の右上が、風にパタパタはためく
Googleマップストリートビューで、劣化の進み具合を調べてみた。幹線道路だから毎年のように撮影されている。
「旭南一丁目」は2017年7月では状態良好。2018年7月に上辺が脱落。文字は2020年10月でも完全。
「新川向」は2017年8月良好、2018年7月上辺剥離、2019年9月「川」の中央の線が剥離、2020年10月に「新」の上~左が剥離。
「八橋鯲沼町」は2018年7月良好、2019年10月「橋」の下の「口」が脱落、
「八橋大畑」は2019年9月良好、2020年10月上辺剥離。2020年10月枠の左辺~上辺、「沼」のさんずいの下が剥離。
「操車場入口」は2017年7月良好、2018年7月「操」の右上・6画目脱落、2020年10月「操」の9画目脱落。
といった具合で、劣化し始めたのが5年弱前、そしてこの2年ほどで、急速にはがれ落ちたことになる。30年以上がんばって、そろって限界に達した、寿命とみていいでしょう。そして、ほかの交差点でも、今後同様になる可能性は高い。
寿命に達したからには、速やかに更新するべきであろう。
今の時代、ローマ字入りにして。
そして、「操車場」は今は「秋田貨物駅」なのだから、名称も変更してはどうだろうか。また、道路の拡張や交通量の変化に応じて、県道でない側にも表示板を設置するべき箇所もあるかもしれない(上記、高陽幸町のほか、新川向など)。
過去には、1か所の交差点だけで劣化した表示板が、以前と同じ仕様で更新された(旧標識に上貼りしたものも)ことはある。
県道では「広小路西」がボロボロになって、2012年10月から2013年11月の間に更新された。「新屋支所前」はボロボロになって、当の新屋支所が廃止されてからやっと「日吉神社前」に変更された。秋田市道では「大町五丁目」が申し訳程度に1枚だけ更新されて、かろうじてその名を保っている。1~2枚なら予算が工面できるのだろう。
しかし、まとまった数、そして英字併記への仕様変更も、となれば、心もとなくもあるけれど。
今こそ、“持続可能な交差点名(?)”とする好機だ。持続可能な交差点名は、持続可能な街にもつながるはず。期待します。【18日補足・しかるべき所へ、現状を報告し、改善を要望済み。】→その後、2024年始の記事。
誰か「まだつかえる信号を更新する金あるなら他の交通予算にまわしてくれ」という方いないんでしょうか。
本部長が変わっても変わっても信号機しか発注が出ないのは何かあるのか。
各道路管理者にしても除雪や新しい道路建設より、優先度が低い認識なのかもしれませんが。
警察が場所を貸さざるを得ない「縦割り行政」であること、地域(県)によって設置数や形式に偏りがあることなど、都道府県・市町村単独で改善するにはハードルが高いのかもしれません。
道路管理の元締めとしての国土交通省が主導して、全国的に改革に取り組むのがいちばんかと思います。