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MV東北 新潟撤退

2015-10-23 00:00:02 | 秋田のいろいろ
イオングループの地域単位で食品スーパーを運営する企業の1つ「マックスバリュ東北」。※以下一部で、「MV東北」と略記します。
元は秋田県と山形県において、それぞれ地元食品スーパーがイオン(当時はジャスコか)傘下に入ったのがルーツ。何度かの統合や企業名変更を経て、1998年に秋田と山形の企業が合併して、秋田市に本社を置き、ほぼ現在の形になった。
2000年代に入ると、秋田・山形県外へ拡大が始まる。経営破綻したイオン系列外のスーパーを取り込んだり、イオン系列の別会社が運営していた店舗を譲り受けるなどして、現在は、青森、岩手、秋田、山形各県、さらには新潟県にまで店舗を持つ。
マックスバリュ各地域会社の中では、おそらく営業エリアの広さ、店舗数とも、MV東北が有数ではないだろうか。

15日付秋田魁新報経済面に「マックスバリュ東北 新潟県内の7店舗 イオン系列に継承」という小さな記事が出ていた。
それによれば、
同社の「新潟県内のスーパーマーケット事業を本体から分離し、来年3月1日付で同じイオン系列のイオンリテールに継承させる」。
「(新潟県内の店舗は)人口減や競合店の出店などに伴い、収益が低調だったため、新潟県内に16店舗を構えるイオンリテールに継承させる。」
「(MV東北は)今後は経営を東北エリアに特化し、事業基盤の強化を図る。」
「(現在の新潟の)正社員はマックスバリュ東北に所属したままだが、現地のパートやアルバイトの雇用はイオンリテールが引き継ぐ方針。」
とのこと。

まず、補足。
MV東北の新潟進出は2013年。自己破産した地元スーパー「パワーズフジミ」のうち、新潟市と村上市の7店舗を引き取って営業していた。

引き継ぐ「イオンリテール」は、本州と四国で旧・ジャスコ、旧・サティ(=現在の店舗ブランド「イオン」)などを運営する企業。かつては、場所によってはマックスバリュの店舗も運営していたが、現在はMV東北のような各地域子会社に移譲するなどして、なくなっている。
新聞記事に「新潟県内に16店舗を構えるイオンリテール」とある。それだと16店の別の「マックスバリュ」があるようにも読めてしまうが、実際にはそれらの店舗ブランドは旧・ジャスコ、サティだった「イオン」である。(ただし、イオン中条店はかつてマックスバリュで、イオンリテール運営の最後のマックスバリュだったそうだ)※この言い回しは、後述のプレスリリースの丸写しのようだ。
【24日補足】名称や店舗規模などのせいで、イオンリテールとMV東北は「親子」関係にあるような気がしてしまうが、実際には、どちらも持株会社「イオン株式会社」の下に位置する企業だから、「兄弟」関係ということか。

あと、見出しの「イオン系列に継承」って、マックスバリュ東北自身がイオン系列なのだから、あまり上手い見出しじゃない。「イオン系列(の別会社)に継承」という意味なのは分かるけどね。


魁を読む限りでは、「MV東北の新潟県内での営業が芳しくなく、実質的に新潟から撤退する」ということかと理解した。2年足らずで。
ところが、他の情報源にも当たってみると、理由はそればかりでもないようだ。
14日付のMV東北のプレスリリース「イオンリテール株式会社との会社分割(簡易吸収分割)に関する吸収分割契約締結のお知らせ」より。
MV東北とイオンリテール、両社の親会社の株式会社イオンで検討した結果、魁の記事にあるMV東北の東北地方での基盤強化のほか、「イオンリテールにとっては、条例により3,000平方メートル以上の店舗の開設が難しい新潟において今回の対象店舗のような規模の店舗を展開することが可能となる」といったメリットもあり、「対象事業をイオンリテールに承継させ新潟県内における地域戦略を一体となって推進していくことが、両社及びイオングループにとって最善の策であるという結論に至りました。」とある。
この件で、イオンリテールからMV東北へは9千万円が支払われるみたい。


さらにネットで調べると、同日に「清水フードセンター」15店舗を展開する新潟の地元スーパー「清水商事」がイオングループ入りすることも(親会社イオンやイオンリテールによって)発表されていた。
日本経済新聞には、「清水フードセンター」の名称は変えず、マックスバリュは「イオン」に店舗ブランドを変えるとある。


つまり、大型店を新規開店しにくい新潟において、「マックスバリュをイオン化すること」と「清水商事をイオン傘下にする」ことでやっていこうということだろうか。
7店舗は、パワーズフジミ→マックスバリュ→イオンとめまぐるしく名前が変わることになるし、旧ジャスコサティと同じブランドの店舗としては、小型すぎるようにも思うけど。
また、(元)パワーズフジミと清水商事という、2つの地元スーパーがイオン傘下となるわけだが、両者はかつて提携していたこともあったらしい。いろいろと複雑。


新潟県を「東北」に含めるのは、多くの人が違和感があると思う。唯一と言っていい例外が「東北電力」くらいで。
秋田市に本社がある企業が統括するには、距離的にも心理的にも、遠すぎたのかもしれない。新潟市辺りならまだしも、さらに店舗網を広げるとなれば、越後湯沢とか上越市(直江津や高田)、さらには佐渡までが新潟なのだから。
新潟県産原材料を使った、たけや製パンのパンが売られることは、もうないのかもしれない。→2015年12月に発売

新潟県内には、MV東北運営の7店舗のほか、西部に「マックスバリュ糸魚川店」がある。金沢のマックスバリュ北陸が運営する店舗で、今後もそのまま営業を続けるのだろう。
今は、MV東北のテレビCMが新潟県内でも放映されているらしく、「糸魚川店では(セールを)実施しません」とか「糸魚川店では内容が異なります」という注記が表示されているが、それもなくなるだろう。

糸魚川以外では、新潟のイオンはすべて同じ経営となるのは、消費者にとっては分かりやすいかもしれない。
秋田のようなイオンリテールとMV東北(さらにイオンスーパーセンターも)が共存するエリアでは、ポイント5倍などのキャンペーンの実施日や、一部PB商品であっても価格設定が異なる場合があり、まぎらわしい。「AEON」の看板を掲げ、「私たちはイオンです」と言うわりには、統一感がない。
新潟ではそんなことはなくなりそう。


素人の勝手な妄想だけど、店舗名を変えないという「清水フードセンター」も、もしかしたら将来的には、店舗改装を機に「イオン」に看板を変えたり、新会社“マックスバリュ新潟”とかを設立して完全なイオンの店舗になることもあるかもしれない。


魁だけを読んでいては、物事の一部しか分からないところだった。
秋田県の新聞だから、秋田の企業のMV東北が新潟から撤退する事実だけを伝え、新潟がこの後どうなるかは知ったこっちゃないのかもしれない。
一方で、新潟では、清水商事のイオン傘下入りのほうを重点的に伝えられているようだ。
業界関係者でもないからそれで充分なんだろうけど、もう少し広い視野で見たほうが納得できることもあるんじゃないだろうか。
コメント
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