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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

リゾートビューふるさと

2016-08-01 23:43:05 | 旅行記
間が空きましたが信州旅行記。※前回の記事
昔から、その車窓風景に憧れて乗ってみたい路線が信州にあった。2010年からはリゾート列車も走っているので、それに乗って。
「大糸線」の快速「リゾートビューふるさと」である。

大糸線は、松本と日本海岸の新潟県糸魚川を結ぶ105.4キロの路線。途中の南小谷(みなみおたり)駅を境に運営会社が違い、松本-南小谷70.1キロがJR東日本管轄、残りがJR西日本。東日本側だけ電化されている。
リゾートビューふるさとは、長野-松本-南小谷を金土日月曜日(運休する週末もあるので要確認!)を中心に1日1往復運転。全席指定。
(再掲)Googleマップより
リゾートビューふるさとの下りは長野9時04分→松本10時41分→南小谷12時47分。
長野-松本は特急「しなの」と同ルートながら、下りでは、姥捨駅に停まって風景を眺める時間があるので、時間がかかる。
松本-南小谷も、停車駅がかなり少ないのに各駅停車とほぼ同じ所要時間なのも、いろいろあるせいなのだけど、順次後述。
長野も松本も、朝に東京から新幹線や「あずさ」で来て乗り継げるダイヤ。

使用する車両は、ハイブリッドシステムを搭載したHB-E300系気動車。
国内3か所でしか走っていない車両だけど、既に「リゾートしらかみ(青池編成)」で乗っているし、内装も座席の柄もまったく同一。目新しさはない。
南小谷までは電化されているから電車でもいいのに、わざわざハイブリッド車を入れているのは、環境配慮のイメージ優先なのか、電化されていない他路線で運行することも想定しているのか。
実際に年に何度かは、この車両が小海線(非電化)など他路線で運行される時がある。1本だけの配置で予備編成はないので、その日のリゾートビューふるさとは運休になるか、お座敷列車など他の車両で運行される。
※リゾートしらかみでは、7月から2本目のブナ編成もハイブリッド車に更新。1本目の青池編成よりも内装に木が多様され、座席の柄も違っている。外には従来同様「RESORT HYBRID」と表示されるが、ブナの試運転を目撃した火野正平さんに「よく分からない」と言われていた。

リゾートビューふるさと用とリゾートしらかみ青池編成とで違うのは、外観の色のほか、4両でなく2両編成、ボックス席がないこと程度。※そのため、この記事では車内の写真や乗り心地については触れません。
製造番号は青池が「1」で、リゾートビューふるさとが「2」。

上諏訪に泊まったので、松本から乗車。
松本駅も停車時間が長いので、ゆっくりとホームに下りようとすると、団体客がぞろぞろと上ってきた。長野から松本までの利用だろうか。
代わりに、「あずさ」で来たような個人客がちらほらと乗車。「えきねっと」で指定券を予約した時の画面通り、1列につき1組が座る程度の車内になった。

 「ワンマン」
松本-南小谷の大糸線内は、ワンマン運転。といっても、運転士1人しか乗らない普通列車のワンマン列車とは違う。
案内と車内販売をするNREの「リゾートアテンダント(客室乗務員)」、さらにきっぷの発売を行う車掌もいて、しかもこの日は車掌は2名も乗務。(アテンダントは乗らない場合もあるとか)
つまり、「ドアの開閉を運転士が行う」「列車の運行に直接関わる車掌がいない」という意味だけのワンマン運転。乗車券関係は車掌が扱うので、整理券や運賃箱もない。【2日補足】一般的にはワンマン運転は「乗務する乗務員が(合計で)1人だけ」という意味だが、ここでは「運行業務に携わる乗務員が1人(接客業務担当は別)」という意味になろう。
JR九州では、特急で同じようなワンマン運転がされているが、あちらは客室乗務員がきっぷも売っていた。

この日のリゾートアテンダントは、若いお兄さん。車内放送での風景の案内やこまめに客席を巡回して、がんばっていた。後部運転席と真ん中の車内販売準備室を行ったり来たりで忙しそう。
そんなわけで車内販売はワゴンで回るのではなく、客に頼まれた都度、準備室から持ってくる方式のようだ。品揃えが分からないから利用しにくい。メニューを置いてくれればいいのに…(車販は途中の白馬駅まで実施。おそらく弁当はなし。アイスクリームはどうだろう?)【3日補足】連結部付近の通路から見える位置に、飲料が並んだ冷蔵ケースがあった。そこで売店っぽいスタイルで売っているということかもしれない。明確な案内はなかったけど。

一方、2人も乗っている車掌。車内検札は、端末で分かる方式なのでなし。きっぷに記念スタンプが欲しい人は、車掌巡回時に声をかけてとのアテンダントの放送があったが、松本発車直後に、スタスタと2人揃って後ろから前へ行ったきり。
途中から指定券なしで乗ってくる客がいるかもしれないけれど、この車掌は必要なんだろうか…

リゾートしらかみは、4両編成だからワンマン運行はできない。車掌はドア開閉も観光案内も行い、NREの人は物販のみ。同じ人員を乗せるのなら、その使い方はリゾートしらかみ形式のほうがいいのでは…
(リゾートしらかみ運行開始当初のことだが、臨時列車扱いにすることで乗務員の人件費を計上せずに済み、運行経費が抑えられるという話を聞いた。今はそうでなくなったのかもしれないけれど)


松本駅を車内放送もなく静かに発車。ワンマン運転ならあり得ることだが、首都圏から来たであろう人は驚いていた。
「間もなく発車します」と肉声で放送すれば親切。運転士、車掌、アテンダントが互いに遠慮しあって、放送できないのだろうか。秋田地区のワンマン普通列車なら、たいてい運転士が放送してくれる。

車両前後の展望スペースも、リゾートしらかみと同じ。でも、イベントもないし、装飾も、持ち帰りできるパンフレットなどもなくて、リゾートしらかみを知る者としては少々殺風景。【3日補足】多少の案内図などは備え付けてあった。でも、リゾートしらかみと比べると物足りない。
肝心なのは車窓です。松本の街を抜けて田園が広がると、北アルプスの山々が近づいてくる。下りは進行方向左・D席側。

日本の原風景のようでありながら、3000メートル級の山を見られる場所はそうそうない。良い眺めではあるが、思ったほど雄大ではない気もした。理由は、5月中旬にもなると雪融けが進んで雪山らしさが薄れていることと、レールが500メートル以上の高地を走っているから、その分差し引かれて、山が低く感じられてしまうからだろうか。
夏もいいけど、個人的には冬や早春の眺めを見てみたい。


松本から18分で、安曇野市の穂高(ほたか)駅に到着。25分間も停車する。
何のためにそんなに停まるかというと、駅前にある穂高神社に参拝するため。しかも、神社の巫女さんが駅まで迎えに来てくれて、神社まで連れて行ってくれる。※巫女ではなく地元の観光ボランティアが案内することもあるらしい。上りでは2分しか停車しないのでなし。
到着前にアテンダントから案内があり、改札口に巫女さんがいるので、参拝希望者は集合するようにとのこと。
1面2線の島式ホームで、線路を渡って駅舎へ(男鹿駅のような構造。冒頭の列車の写真はここで撮影)。フリーパス状態の改札口に巫女さんがいて、20人弱だろうか乗客の多くが集まった。
駅舎も神社っぽい造り。向こう側は北アルプス
駅の裏側は住宅街だが、こちら側の駅前には、観光客・修学旅行生向けの土産物屋やレンタサイクル店などが並び、まっすぐにきれいに整備された道が伸びる。
そこを巫女さんに率いられてぞろぞろ歩く。途中、長野県に多い「押しボタン式歩車分離式信号」がある。ボタンを押さないと永遠に横断できない。
駅から200メートルほどで、大きな鳥居の神社前に到着。
気付かなかったけど、鳥居の隣が餅屋さんだ
秋田市の土崎駅から土崎神明社までとほぼ同じ距離で、雰囲気もどこか似ていた。

入ったのは、正面の参道ではなく、脇道らしく、すぐに拝殿に出る。
巫女さんが簡単に説明してくれて、あとは解散。各自発車に遅れないように列車に戻ってねということらしい。ただ、巫女さんは発車時までにはまた駅へ来て、ホームから列車を見送ってくれていた。
穂高神社は7年に1度、式年遷宮を行い、2016年がその年。訪れた時は遷宮祭の最中。だから、どの建物も真新しい。
拝殿(左)と神楽殿
「穂高人形大飾物展」として、土崎港曳山まつりの置山のようなものもいくつかあった。

降りたからにはほかにもあちこちじっくり見たいところだけど、時間が決まっているとどうもそわそわしてしまい、参拝してそそくさと列車へ戻ってしまった。
自主的には降りて行こうとは思わなかった場所を教えてくれ、訪れる機会を与えてくれる意味では、うれしいサービスだった。


この後、信濃松川、信濃大町、海ノ口、白馬と停車するが、停車時間は長くても10分。イベントは「ホームに写真撮影セットがあるので、どうぞ」程度なので、あとは座っている旅。
進むと、北アルプスはあまり見えなくなったものの、車窓は変化があり、飽きない。
信濃大町手前の高瀬川

「仁科三湖」という3つの湖のほとりを通る。
たぶん木崎湖

たぶん青木湖
キャンプ場や水上スポーツ以外にはあまり観光開発されていないようで、静かな湖畔の趣き。列車の窓からこういう景色は珍しいかも。

仁科三湖付近で標高800メートルを越え、分水嶺を通過。
白馬を過ぎて松川

姫川
列車と同じ方向へ流れる姫川に沿って進むと、間もなく南小谷到着。

多くの乗客は、信濃大町や白馬などで降りた。温泉へ行って日帰り入浴し、折り返しの上り列車で戻るという人もいた。
南小谷まで乗り通したのは、わずか5人。アテンダントのお兄さんが丁寧に見送ってくれた。

南小谷駅はJR東日本管轄で駅員がいる。売店などはない。
降りた4人は、それぞれ迎えに来た車に乗ってすぐにいなくなってしまい、僕1人が残された。
計画段階では、JR西日本区間に乗り継いで糸魚川へ抜けようかとも考えたが、接続が悪く、お金もかかる。芸がないけれど、来た道を引き返すことにした。【3日補足】この日は、長野県内JR東日本エリアが広範囲で乗り放題のフリーきっぷを乗車券として使ったので、戻ったほうが得だったのです。フリーきっぷについては続きの記事で触れるつもりです。
しかし、東日本側もそう本数はない。リゾートビューふるさとの折り返しは15時16分発。だいぶ待つ。
その前に14時22分発の特急「あずさ」があるので、それで松本へ戻ることにした。それでも1時間半ほど時間がある。


掲載した写真は、暑い今見ると涼しげだけど、訪れた日も真夏並みに暑かった。
海のリゾートしらかみとは対極的な山のリゾートビューふるさとも、なかなかよかった。糸魚川方面との接続とか、途中のイベントをもう少し工夫すれば、より楽しい列車になるのではないでしょうか。
旅行記は続きます。また、別の観光列車にも乗ったので、いずれ。
コメント
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