「クロツラヘラサギの生態・渡り・保全を考える」シンポジュームに参加
先日このブログでも紹介しました国際シンポジュームの参加してきました。
「クロツラヘラサギの生態・渡り・保全を考える」
「Ecology, Migration and Conservation of the Black-faced Spoonbill」
参加者は日本だけでなくロシア、北朝鮮、韓国、中国、台湾からの研究者もあり、文字通りの国際シンポジュームです。このシンポは3月4日から3月9日まで(エキスカーションを含む)福岡市を中心に行われています。
タカ長が参加したのは韓国からキム・ソンヒョン研究員が参加して、彼も研究者の一人として発表をするので、その発表を見るために行ったわけです。韓国からは4名の参加者があり、その中には2000年3月に私たちが初めて韓国の環境研究院を訪ねたときに親切に対応して頂いたキム・ジハン博士もおられ、10年ぶりの再会に感激しました。
国際シンポジュームですから使用される言語は世界の共通語である英語です。日本の研究者の中にはこのように日本語と英語のスライドを準備されている人もおられたので、英語を聞くことが出来ないタカ長は大いに助かりました。
この種のシンポジュームに参加すると毎度感じるのですが、英語能力がないとシンポジュームの内容をほとんど、いや本当のことを言うとまったく理解できません。この場合の英語能力とは英語圏で生活している人が話す英語だけでなく、非英語圏の人が話す英語を理解する能力と言う意味です。学校のテストで好成績をとる英語ではなく、英語を道具として使いながら意思疎通をする能力と言う意味です。タカ長はその両方がダメですから、この種のシンポジュームには、文字通り「参加することに意義がある」と言う程度です。
余談になりますが、全世界的に考えると、英語を自国語として生活している人の数は少ないのです。非英語圏の人のほうが圧倒的に多いのですが、しかし、英語は間違いなく世界の「共通語」になっています。そのため世界の人と意志を通じるためには、非英語圏の人たちが話すくせの有る英語を理解する必要があるのです。その習得は、基本的なことは勉強する必要はありますが、それから先は「慣れ」の問題だと思われます。場数を踏んでなれることが大切なのです。
タカ長のように能力に欠ける者は、シンポジューム初日はそこで話されている言葉が英語か何か分からないのです。しかし、今回でも2日目になると耳が少し慣れるのか、そこで英語が話されていることくらいは理解できるようになります。知っている単語が少しですがキャッチできるようになるのです。
話が横道にそれましたが、鳥の世界でも世界に向けて情報を発信し、研究を続けたい人は使い物になる英語を習得されるようお勧めします。タカ長はもう手遅れです。
キム・ソンヒョン研究員も立派に発表してくれました。勿論彼のプレゼンテーションも英語です。
「韓国インチョンNamdong保護区における繁殖状況」と題して、都市地域の小さな人工島のような保護区2009年に観察した興味深い事例を発表しました。
その保護区では24の巣が見つかったが、その中の7個にしか卵が見つからず、最終的にこの保護区で繁殖に成功したのは6羽でした。
このNamdong保護区での撹乱要因としては巣材や食料の不足、種間や種内の競争、人間の関与などがあげられ、繁殖の安定化をはかるためには先ず干潟の食料資源が確保されなければならないと言うことがあげられる。それとともに巣材の供給、人工繁殖島の建設、継続的なモニタリング、教育の推進と国際的なネットワークが必要である。
そのようなことを発表し、実際に巣材を確保するための活動の様子や街頭に立っての啓発活動などの様子が紹介されていました。
発表の後は質疑応答がありました。これは彼の発表だけではありません。とても熱心な質疑応答です。
日本語は勉強していても英語は勉強中のソンヒョン研究員、英語の質問を受けてもそれが理解できなくて、彼の上司のキム・ジハン博士が質問者の趣旨を韓国語でソンヒョン研究員に伝え、それを聞いた彼は日本語で質問に答え、その日本語の趣旨を日本や台湾の研究者が英語にして質問者に返す、と言うようなややこしいことをしていました。まさしく国際的なシンポジュームですね。
言葉は分からなくても、このように皆が熱心に意思疎通をはかりながら研究成果を共有しようとする姿を見るだけでも、シンポジュームに参加しただけの価値はあります。
このシンポジュームに参加するためだけに福岡に行ったのですが、それなりに楽しい2日間でした。