新宿酒場ロン 2・23
23日の土曜日は、原宿・南国酒家で広東料理を楽しんだ。
中国へのエールだ。
島、絵美、銀さん、洋子ママがいる。
「中国サッカー代表チームに罰金4500ドルを課したそうだ」
「あの日本との試合はひどかった。まるで喧嘩殺法だったな」
「安田がやられたときは、息を呑んだ」
「ああいう獣みたいなスタイルは自滅すると思うけど」
「一口に言えば、反日運動と日本に対する嫉妬だな」
「まあ、勝手にやらせておくさ」
「食品毒物テロは困るけどね」
イージス艦あたご事件。
「石破の首をとってもあまり意味がない。制服組にはまるで響かないだろう。そうじゃなくて幕僚長の吉川と艦長の船渡健の首を取らなければ駄目だ」
「それから山崎郁夫だな」
「これは自衛隊の驕りと怠慢から起きた事故だ」
「漁船がよけろという傲慢さ、イージスレーダーへの過信、世界最高のシステムだと言っても、やるのは人間だ。人間が駄目なら、システムは動かない」
「そして、警笛を鳴らさなかったのは、皆が寝ているのに何やっていると後で往復びんたを食らう、海軍の精神棒だ」
「自衛隊は国家の暴力装置だから、時折、掃除をしないと腐敗が進む」
「今の自衛隊は、あまりに巨大になりすぎていないか? 守屋のように、軍の腐敗が澱のように溜まっているのではないか。これで海外派兵だなんてとんでもない。きっと問題を起こす」
「それにしてもイージス艦一隻が1400億円強、合計5隻だから7千億円。
ちょっとカネのかけ過ぎじゃないか。昨年の12月、護衛艦「しらね」の戦闘指揮官が持ち込んだポータブル型保温庫が異常過熱して、CIC戦闘指揮所内で大火災を起こした。コーヒー缶を暖めるために規則違反で持ち込んだ。しかもそれは中国製だったという笑えない話で、あるいは中国のテロだった?」
「ああ、あれは海自内で秘密にしようとしたがバレて、その修理費用は何と60億円かかったという話だ」
「自衛隊も制度疲労がきているということか」
島が、アワビのクリーム煮をうまそうに喰い終わり、ナプキンで口を拭くと、
「実は、スクープがあるんだが」と言い始めた。
「何?」
「三浦がまもなく逮捕される。あのロス疑惑の三浦和義。 もしかして今日」
「えッ、どういうこと?」
「明日の新聞トップを飾るだろうけど、アメリカのFBIとLAPDにサイパンで逮捕される。桜田門インターポール課がFBIと話をつけた。三浦がアメリカ領サイパンに行くことをキャッチして、FBIに連絡した。FBIはLAPD(ロス市警)を動かす。これはかなり前からの計画だった。作戦名は【賢いネズミは二度死ぬ】」
「でも、三浦は無罪確定だったよね」
「無罪だけど、それは日本のこと。アメリカで起きた事件だから、アメリカにも捜査権と裁判権があるという理屈だ」
「当時、1981年、ロスアンジェルスで殺し屋に依頼して新婚の自分の妻を殺して、生命保険金1億6千万円を受け取った」
「文春が火をつけた、疑惑の銃弾だ。当時、文春のフリーランサーが執念でやっていた。俺の友達だったけど」
「そうすると、三浦は無罪確定になったから、それはアメリカでも通用すると思っていた。寒い日本を抜け出して夏のサイパンに遊びに行って、捕まった」
「実は、今までサイパンとグアムには何回も行ってる」
「それを察知した桜田門インターポールとFBIが考えた。赤プリの40階のバーで夜景を見ながら、三浦のネズミを捕まえる話をしたらしい」
「ただ、彼は日本人で、一事不再理の問題があるが」
「それは、今後の日米の法律論争になるだろう。最高裁で無罪が確定した日本人をアメリカで裁けるかということがね」
「罠にはめられた賢いネズミか」
「インターポールはずっと狙っていた。彼が日本を出てアメリカに行くことを。今はビザもいらないから、アメリカというより南の島という感覚だったんだろうな三浦にとって」
「三浦のロス疑惑、一旦幕を引いて終わったと思ったら、最後の土壇場で、どんでん返しになるサスペンス映画だな」
「何か、殺された一美さんの、爪を剥がして血を流すような怨念を感じる」
そのとき、霊感の強い洋子ママがぶるっと震えた。
(ムラマサ、月光に蒼く冴える)
23日の土曜日は、原宿・南国酒家で広東料理を楽しんだ。
中国へのエールだ。
島、絵美、銀さん、洋子ママがいる。
「中国サッカー代表チームに罰金4500ドルを課したそうだ」
「あの日本との試合はひどかった。まるで喧嘩殺法だったな」
「安田がやられたときは、息を呑んだ」
「ああいう獣みたいなスタイルは自滅すると思うけど」
「一口に言えば、反日運動と日本に対する嫉妬だな」
「まあ、勝手にやらせておくさ」
「食品毒物テロは困るけどね」
イージス艦あたご事件。
「石破の首をとってもあまり意味がない。制服組にはまるで響かないだろう。そうじゃなくて幕僚長の吉川と艦長の船渡健の首を取らなければ駄目だ」
「それから山崎郁夫だな」
「これは自衛隊の驕りと怠慢から起きた事故だ」
「漁船がよけろという傲慢さ、イージスレーダーへの過信、世界最高のシステムだと言っても、やるのは人間だ。人間が駄目なら、システムは動かない」
「そして、警笛を鳴らさなかったのは、皆が寝ているのに何やっていると後で往復びんたを食らう、海軍の精神棒だ」
「自衛隊は国家の暴力装置だから、時折、掃除をしないと腐敗が進む」
「今の自衛隊は、あまりに巨大になりすぎていないか? 守屋のように、軍の腐敗が澱のように溜まっているのではないか。これで海外派兵だなんてとんでもない。きっと問題を起こす」
「それにしてもイージス艦一隻が1400億円強、合計5隻だから7千億円。
ちょっとカネのかけ過ぎじゃないか。昨年の12月、護衛艦「しらね」の戦闘指揮官が持ち込んだポータブル型保温庫が異常過熱して、CIC戦闘指揮所内で大火災を起こした。コーヒー缶を暖めるために規則違反で持ち込んだ。しかもそれは中国製だったという笑えない話で、あるいは中国のテロだった?」
「ああ、あれは海自内で秘密にしようとしたがバレて、その修理費用は何と60億円かかったという話だ」
「自衛隊も制度疲労がきているということか」
島が、アワビのクリーム煮をうまそうに喰い終わり、ナプキンで口を拭くと、
「実は、スクープがあるんだが」と言い始めた。
「何?」
「三浦がまもなく逮捕される。あのロス疑惑の三浦和義。 もしかして今日」
「えッ、どういうこと?」
「明日の新聞トップを飾るだろうけど、アメリカのFBIとLAPDにサイパンで逮捕される。桜田門インターポール課がFBIと話をつけた。三浦がアメリカ領サイパンに行くことをキャッチして、FBIに連絡した。FBIはLAPD(ロス市警)を動かす。これはかなり前からの計画だった。作戦名は【賢いネズミは二度死ぬ】」
「でも、三浦は無罪確定だったよね」
「無罪だけど、それは日本のこと。アメリカで起きた事件だから、アメリカにも捜査権と裁判権があるという理屈だ」
「当時、1981年、ロスアンジェルスで殺し屋に依頼して新婚の自分の妻を殺して、生命保険金1億6千万円を受け取った」
「文春が火をつけた、疑惑の銃弾だ。当時、文春のフリーランサーが執念でやっていた。俺の友達だったけど」
「そうすると、三浦は無罪確定になったから、それはアメリカでも通用すると思っていた。寒い日本を抜け出して夏のサイパンに遊びに行って、捕まった」
「実は、今までサイパンとグアムには何回も行ってる」
「それを察知した桜田門インターポールとFBIが考えた。赤プリの40階のバーで夜景を見ながら、三浦のネズミを捕まえる話をしたらしい」
「ただ、彼は日本人で、一事不再理の問題があるが」
「それは、今後の日米の法律論争になるだろう。最高裁で無罪が確定した日本人をアメリカで裁けるかということがね」
「罠にはめられた賢いネズミか」
「インターポールはずっと狙っていた。彼が日本を出てアメリカに行くことを。今はビザもいらないから、アメリカというより南の島という感覚だったんだろうな三浦にとって」
「三浦のロス疑惑、一旦幕を引いて終わったと思ったら、最後の土壇場で、どんでん返しになるサスペンス映画だな」
「何か、殺された一美さんの、爪を剥がして血を流すような怨念を感じる」
そのとき、霊感の強い洋子ママがぶるっと震えた。
(ムラマサ、月光に蒼く冴える)