第二回(完)
世田谷一家殺人事件(2000年12月30日)。
2階の階段から1階へ転落した「みきおさん」は、必死に体勢を立て直し、その階段を再び上り始めた。それに気付いた犯人も階段を降り、その途中でもみ合いになった。しかし、みきおさんに勝てる力は残されていなかった。揉み合いの最中、みきおさんの指が切り取られ、絶望の淵に追い込まれたまま、次に犯人は、みきおさんの胸と腹の境目にナイフを深く突き刺し、最期のとどめを刺した。そして、みきおさんは静かに階段を滑り落ちて行ったという。しかしHは、死亡した「みきおさん」をさらに執拗にナイフで刺している。
犯人グループの襲撃目的は、金塊12.5Kgを3本奪うことだったという。宮沢家にインゴットが隠されているという情報をつかんでいた。当時の価格で約7千5百万円。そしてHは一家4人を殺害した直後、外に隠れていた中国人2人を中に引き入れた。襲撃者3人は1階から3階までしらみ潰しに金塊を探したが、結果的にインゴットは見つからなかった。代わりに財布や戸棚から20万円以上の現金を奪った。そして次にHは宮沢家のパソコンを使って、インターネットをやり始めた。ネットの訪問先は、埼玉県内のある研究所、宮崎県内の化学工場、祖師谷留学生会館、そして劇団四季のホームページ(劇団四季には多数の韓国人俳優志望者が所属している)、それからメールを一通、ある所へ送ったという。メールの内容は、金塊がなかったことに対するクレーム、そして勝ち誇ったような事件報告。そのメールは送信後に消去された。今から9年前の2000年という時代、警察はインターネットに関する知識は皆無であった。知識と経験がない分、ベテラン捜査官の捜査対象外であった。このことは重大な犯人の手掛かりを初動捜査で見逃していたことになる。なぜならクリミナルグループは、ネット上で情報交換と連絡を行なっていた。今の時代それは普通のことだが、2000年当時はネットの草創期であったという背景がある。しかしネット以外に犯人の遺留品は、指紋、血液、汗の油脂、靴跡、衣服、バッグなどなど多数残されており、犯人検挙は時間の問題だという油断があったといわれる。さて主犯のHは、当初3人で襲撃する計画を立てていたが、Hは他の2人が怖気付いたことを察知し、一人で襲撃をすることに急遽変更したとされる。父母と娘の3人が、アーミーナイフと関孫六の柳刃包丁、銀寿で何度もメッタ刺しにされ、6歳の息子は鼻から血を大量に出すほどに圧迫絞殺された。父と母親は死んだ後も、何度も犯人に刺されたことが分かっている。犯人はハンカチ大の布の真ん中に穴を開け、その部分で包丁の柄を包んでいた。それは滑り止めの方法だが、訓練を受けたプロが用いるやり方だ。布の色は黒。そして襲撃時には、同じ黒の布で顔を覆っていたとされる。それらの黒い布は現場に残されていた。Hは犯行後に他の2人を家屋に引き入れて3人になった。3人は冷蔵庫にあったバニラアイスとメロンを食べ、2Lペットボトルのお茶を飲み、翌朝の午前10時頃まで宮沢家に潜んでいた。さて朝になって、隣に住む泰子さんの母が不審に思い、宮沢家の玄関を開けた途端、目に飛び込んで来たのは、散乱した書類と文房具の山、そして、その山の中から異様に白い、みきおさんの素足が突き出ていたという。犯人たちは、多くの遺留品、血痕、指紋、排泄物を隠すこと無く姿を消した。それは犯人達が捕捉されない自信と傲慢さを見てとれる。そして自己顕示欲。そういう犯人の心理は、組織の命令に従い、組織の歯車として行動する場合、非情なテロリストとして行動する。邪悪な蛇のような冷酷さと訓練された技能を持つテロリストの影が浮かび上がってくる。フランス香水ドラッカーノアールをつけていたH。
★みきおさんの父良行さん(81)と母節子さん(78)の2人は訴える、「息子夫婦と孫達は良い家庭だった。これが一瞬にして壊されてしまった。うまく言葉にできないほど悔しいし、悲しい」。そして 「人を殺した事件に時効なんかない」 と涙ながらに訴えた。 なお、この事件の公訴時効は、法改正前であった為、2015年になる。この事件に関する情報提供者には警察庁から300万円の褒賞金が出る。
★事件から9年が過ぎようとしている。日本の警察は何をやっているのか。
動かぬ物的証拠として、事件現場、大阪のアジト、韓国ソウルにおける、犯人Hの指紋の一致がある。 だとすると、桜田門は既にテロリストのプロファイリングは終了しているはずだ。国際指名手配のアクションを起こすことは可能だが、それをしない理由とは何か。
一方、事件から足掛け3年の2003年8月24日、日本の警視総監である石川重明が、韓国ソウルへ出張し、国際組織犯罪対策について、韓国警察のトップと会談を持ったという記事を、共同通信が当時発表した。警視庁のトップが業務で外国を訪問するというのは前代未聞だったという。その会談の本当の中身は何だったのか。 世田谷事件の犯人隠蔽だったとしたら、どういうことなのか。そういう考えがふと頭をよぎる。 血の惨劇の犯人が韓国人だとすれば、センセーショナルな国際問題になり政治問題になる。もし韓国側が、それを封殺しようとしたならば、桜田門を飛び越えて誰を使うのが効果的なのか。コリアコネクション。 桜田門に睨みが利き、霞ヶ関に話を通し、闇の中に葬れる力を持つコリアコネクション。しかし、それは断じて許されぬことだ。 天は絶対にそれを許さない。さて、日本と韓国には日韓議員連盟というコリアコネクションがある。 当時の冊子をめくって、一人一人のメンバーを確認しても、そこから何かのエビデンスは浮いてこない。また、推測で話をしても意味はない。 この事件の大団円を迎える為には、ロス疑惑の三浦和義事件のように、天の力と執念によって、この忌まわしい事件を追い詰めるしかない。
★最後に主犯のHと犯人グループに告ぐ。 必ずお前たちは捕まる。4人以外にも殺しをやった跡は残っている。お前たちの手は赤い血で汚れ、いくら洗ってもその汚れを落すことはできぬ。地獄の扉がぱっくりと口を開けてお前たちを待っている。
(ムラマサ、月光に蒼く冴える)