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藤沢周平著 「密謀」

2022年06月15日 17時32分36秒 | 読書記

図書館から借りていた、藤沢周平著 「密謀(上巻)」「密謀(下巻)」(毎日新聞社)を読み終えた。数年前までまるで読書の習慣等無かった爺さん、相互フォロワー登録しているある方からすすめられて読み始めた藤沢周平の時代小説、すっかりファンになってしまい、これまで、かなり読んできたが、読破しやすい短編が中心だった。どうも、長編を敬遠してきたきらい有りだが、気になっていた書「密謀」、やっと手を伸ばす気になったものだ。予想通り、読み始めは、行きつ戻りつ、遅々として進まなかったが、次第に引き込まれてしまい、かなり日数は掛かったものの、綿密な時代考証と藤沢周平独特の時代小説としての面白さを堪能出来た。

          

(上巻)

「寒い朝」「山上の武将」「草の山里」「巨大な渦」「山野緑なり」「景勝上洛」「大阪城」「兵火の野」「網中の魚」「歳月」「西方の雷鳴」「溢れる涙」

(下巻)

「凍るかげ」「青龍・白虎」「ひとり舞台」「佐和山」「暗躍」「革籠ケ原」「遠き関ケ原」「冬の雲」

(主な登場人物)

直江兼続、上杉景勝、お船
牧静四郎、まい、
喜六、もと、うね、小助、徳平、松蔵、野見宗千代、
服部半蔵、伊賀者
豊臣秀吉、石田三成、前田利家、徳川家康、本多正信、最上義光、伊達政宗、佐々成政、本庄繁長、

本書は、戦国時代末期、上杉謙信の跡を継いだ上杉景勝と、主君景勝を支える直江兼続の主従関係を軸に、豊臣秀吉台頭から徳川家康が天下をとることになる関ケ原の戦いに至り、上杉家もついには家康に屈することになるまでを、兼続を支えた与板の草の者(忍び群団)の活躍等を混じえながら、史実とフィクションを織り込んだ長編時代小説である。
「義」を重んずる上杉景勝、智謀の将と知れ渡った直江兼続が、越後、京都、大阪、会津、米沢、を舞台に、知略、戦略を尽くし、家康にも屈しない構えを見せるが、天下の流れには逆らえず、最後には降伏、会津領国は召し上げられ、30万石に減封されて、上杉の長い戦いが終わる。
藤沢周平作品には、江戸時代の町人を描いた市井物や、東北の架空の藩海坂藩の下級武士を描いた武士物等が多く、歴史上の実在の人物を題材にした時代小説は、余り多く無いと言われているが、その内の一つになる。
藤沢周平は、その江戸時代の東北の貧しい藩(架空の藩・海坂藩、荘内藩や米沢藩等がモデルと言われているが)の下級武士物を著作する上で、そのルーツにもなる上杉景勝、直江兼続を、どうしても描いておきたかったのではないかと思う。


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