「壊れかた指南」所収。
多真子という恋人になろうかという関係の女といい関係に
なろうとしたとき、飼っている猫が化け猫化する。そして、
肩を噛まれた彼女まで化け猫化して、どこまでもどこまでも
追ってくるという話し。これは猫が壊れているのだろう。そ
んな猫殺してしまっても平気よ、という女も結構壊れ気味で
はないのか。化け猫化する女から逃げる男にはすでに恐怖しか
なくなっている。そこで、おそろしや、という訳である。
10P‘の短篇。……合掌。
「壊れかた指南」所収。
多真子という恋人になろうかという関係の女といい関係に
なろうとしたとき、飼っている猫が化け猫化する。そして、
肩を噛まれた彼女まで化け猫化して、どこまでもどこまでも
追ってくるという話し。これは猫が壊れているのだろう。そ
んな猫殺してしまっても平気よ、という女も結構壊れ気味で
はないのか。化け猫化する女から逃げる男にはすでに恐怖しか
なくなっている。そこで、おそろしや、という訳である。
10P‘の短篇。……合掌。
「壊れかた指南」所収。
この拓也という主人公はぶっ壊れている。玩具会社の開発室
にいて、独創的なオモチャを作るのだが、パロッタ君という
人形が見えるのだ。
100キロの体といい、おたくであることといい、かなりヤバい
ヤツなのだが、それがオチに繋がっていく。ホントに壊れている
と確信するのはオチを読んでからだ。
まったく、怖い人というのを描かせたら、すごいな、筒井氏は。
……合掌。
(鶴岡 卓哉)
「壊れかた指南」所収。
ドタバタの短篇。温泉宿に夫婦で滞在していると、窓から
妖怪のようなものが入ってくるが、それは建設業者なのだ。
端的に言って、意味が分からないが、そこは分からなくて
よろしいのだ。ありのままを受け入れればいいのだ。そして、
建設博の出展の交渉を始めるうちに、ボジョジョ蚊という大
群の蚊に襲われて、温泉に浸かって対処する。夏蒲団を被り、
お湯に浸かり、あなたは蚊は食べないが、ハエは食べるわよね、
というようなことを奥さんに言われる。だから、なんだという
のだ。蚊は食べない、そうだ、人は蚊は食べないことになって
いる。ハエも偶然みそ汁に入ってしまったのを飲んでしまった
ことがあるらしく、そのことを言っておるのか。というが、ど
ういう意味か、いろいろ考えてみたけど、分かりませんでした。
……合掌。
「壊れかた指南」所収。
三つのことに復讐しようと誓った男の短篇。親友の
裏切り、二は失恋、三は会社での降格。親友の裏切
りに関して、親友の家にいくと、すごみからか、
特許を返してくれて、殺してくれていい、という。
次に、二の失恋の女のところに行く途中で、おばさんに
ぶつかってしまい、買い物したものと、小銭がバラま
かれて、それを拾うことに。そこら辺ヵら、これは、
と思う。結局、夢オチなのだが、夢オチってのも、ちょっと
安直すぎやしないか、もうちょっと捻って欲しかった、と
思うのだが。例えば、失恋した女に逆に殺されるとか、いろ
いろあるではないか。夢オチは...…ないな、と思った。……合掌。
「壊れかた指南」所収。
テーマはタヌキといじめである。四男坊が、いじめっ子たちに
いじめられている残飯をもらっている家庭の坊ちゃんの代わりに
学校に行く。タヌキの子供たちは次々に血ダルマにされてゆく。
初め、マラソン大会でコケて、大けがをしたっていうことだった
のだが、実態はいじめだった。
狸吉郎(父親)が校長に化けたり、これは昔話を現代風にアレンジ
してあるのかな、と思ったのだけれど、最後の最後でこれが全員タ
ヌキであることが告げられる。いったいどういうことであろうか。
よくわからない。少なくとも、ぼくにはどういうことだか全くと言っ
ていいほどわからない。うーん、考えてもムリそうである。……合掌。
「壊れかた指南」所収
冒頭、チタンの義歯を犬歯のようにしたので、天下無敵、喧嘩
でのど笛に噛みついて、致命傷を負わすことができる、とはじ
まるが、ここからしてわけがわからない。
全体的に意味不明で、その雰囲気を楽しむのだ、と思う。ど
こかSFチックで、しかし、なんか江戸時代感もある、っていう、
ふしぎワールド。
ぼくはでもこんな空気感がけっこう好きだ。これは筒井氏に
しか描けないだろう。SFの長所を存分に発揮させたイミフ
SFの誕生だ。……合掌。
「壊れかた指南」所収。
モテモテの吾妻屋のお民はいいよってくる男ども
をしりぞけてくれと、妻恋山の稲荷に願う。
お民は結婚していて、ダンナは伊勢参りをしに行っ
ていてその留守を狙って、男どもはいいよってくる
そこへ、狐の紋三郎がボディガードだ、よろしく、玉
を切るわ、ケツの穴へ化けて挿れさせるわ、よくわか
らんことになってくる。
結末も良くわからなく、京極夏彦がなんとか、かんとか、
それなら、そんなことを書くなら、いっそダンナがお民が
ピンチだということを知ったところで終わらせてくれたら
よかろうものを、と思うが、そこが筒井流、ドタバタ的な
話ですな。小品だが、昔話的な感じもあって、今、ぼくは
昔話にハマっているのである意味、良かったです。……合掌。
「壊れかた指南」所収 文春文庫 2012年
「あまりべさん」と読むらしい。なにかと思ったら、ワープロが
使えなくなり、仕方なく手書きに変えて、書くと現実の35枚の
最後の35枚目が余ってしまった、そこで、余部さんの登場だ。
なぜ余ったから余部さんなのかはよくわからない、とにかく、
余部さんは求婚してきた男性の喉笛に食いつくくらい怖い女である。
先生の生原稿を初めて拝見した編集者は大層よろこんで、実家
のやっている養卵場の卵を先生に送ったあたりから、また、おかしく
なってくるが。筒井ワールド全開! ……合掌。
。
「壊れかた指南」所収 文春文庫 2006年
2篇の漫画の原稿を二人の編集局のひとに渡した
と思っていることが発端となり、果たして、その原稿は
本当にあったのか、どうなのか、夢と現(うつつ)の
間をさ迷い歩くような短篇。
果たして、これは夢なのか、書いていた自分はリアルか、
虚無か、作品というものの危うさ、その存在の意義。
果たして、あの作品は本当に自分が確かに書いたかと
問われれば、うーん、書いていないような気がすることも
確かにある。作品はあるからこそ、書いたという証左とな
るわけで、作品がなくなったら、書いたか自信なくなるのは
よくわかる。特に、ぼくなんかまだ、本になっていないから
リアルに書いたか、実感が伴わない。充足感はあるがね、しばらく
経つと、どうでもよくなる、というのは、あるな。……合掌。
講談社文庫 2011年
日本人の好きな作家ベスト10をあげたら、その中
に入ってくるのが筒井氏だ。リスペクトという言
葉だとちょっと違う気もするが、やっぱり尊敬し
ていると言った方がいいだろう。
その作家になり、飛躍していくまでの読書体験を
ひもといていく。外人が多いのに、やはりな、と
いう感じがする。最近、外人作家をぜんぜん読んで
いないおれっちであるので、読んでゆかないとなあ、
などと思った。
やはり、筒井さんの作家の好みは僕の好みと重なる
部分が多いので、うれしくなる。
ボクも小学生の時、坪田譲治の「風の中の子供」を
父に薦められて読んで、文学ってなんておもしろい
んだ、と思ったものだ。ボクの小・中坊時代の読書は、
星新一氏、新田次郎氏、横溝正史氏へと発展し、90
年代は外洋物の乱読時代へと突っ走っていくのだった。
けど、ボクも読書だけは人生でどんなことがあろうと
続けてきたことだなあ、と振り返ると数千冊のもの本が
ボクを支えてくれているんだ、と思うだけで勇気が湧い
てくるのだった……合掌。