角川文庫 明治41年
昔、ぼくが幼いころ、インコを飼っていたのだが、いつしか
忘れ去られて、エサもやらず、餓死させてしまった、という
笑うに笑えぬはなしが我が家にはあるのだが、それと同じ文
鳥にエサをやり忘れ、殺してしまった、というオチだとは思
わなかった。
文鳥が行水するところなどをよむと、この明治の時代の水道水
というのはどういったものであったのか、とか、煙草はどんな
味がしたのだろうか、とか、想像は尽きぬ。
文鳥はもしかして、寒さのために死んだのでは、とも思うのだ。
それにしても、鈴木三重吉は、なかなか文鳥をもってこなかった
のだが、すぐに実行に移せない男なのか、おカネをポッケに入れ
て使い込んで、おカネができたので、文鳥を持ってきたのか。
とにかく、わからぬ男に違いない。……合掌。
パンはパンでもフライパンでつくったパンはこのパン。読書で疲れたときは、このおいしそうなパン写真をみて、癒される(いや、癒されはしないだろう!)。