PIE 2010年
日本人にとっての暗さ、陰、と云うものの重要さ
を説いた一冊。全国の店などで撮られた気配の
ある写真がたくさん載っている。
いや、この本を読めば、日本人に生まれたことの
意味について考えざるを得ないだろう。
それは谷崎氏の好きだった日本女性のことを考える
ことにもある。元来、日本人の女性はうす暗いところに
そそとしているのが美しい、とある。
今の時代、うす暗い陰にいろ、と言ったら、女性は
怒り出すだろう。都合のいい美の追求でもある。男の
強かった時代の幻だ。
今の時代、美しさというものの意味も変わり、美しい
より、かわいい、が重宝される。
ぼくは夜が好きで、暗いのが好きなので、そこに美
を求める谷崎氏に共感しかなかった。人の性格でも、
暗いのもなかなか今の時代、いいと思うのだ。
暗さの中にこそ美があるだろう。やたらめったら明るい
と云う人というのもなかなか厄介なものである。
(読了日 2024年10・14(月)22:45)
(鶴岡 卓哉)
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