岩波書店 1989年
私小説とは、自分のことを書いているが、故、思いがけない
ことが起こり、それが小説のような置きにいっている球と違
い、荒れ球でおもしろいのだ、という。
まあ、とんでもなくむずかしいこと、という程のことでもない
のだけれど、文字にするとどうしてもむずかしくなってしまう
もののようだ。
トマソン的思考についても、考現学として、一章分で説明している。
不忍池のボートの男女比率を書いた図にえらく感動したりしている。
おもしろい、と。ある病院の下駄箱の中身というものを紹介している
ぼくもこういう私小説の原石的なものは面白いと思いますね。
最小限という話もおもしろかった。最大限というと宇宙の果てだが、
最小限は自分の中の中だというんだね。すき間が人間にはいっぱい
あって、押し潰すと髪の毛くらいになるんだそうだ。ほんとだろうか
いやいや、信じるのは甘いよ、この本自体がフェイクってことも
あり得る。......合掌。
ある病院