古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

婆  川上弘美

2024-02-23 14:26:20 | 川上弘美
中公文庫 1999年

一回は挫折して、寝かせてあったが、この

「婆」を読めて本当に良かった。こういう

ナンセンスというかシュールな感じなのが、

好物の人にはたまらん一篇。傑作のなのは、

穴の中に入って味の分かるようになった主

人公が、茂みに隠れて足音を見ている人に誘わ

れて、過ぎ行く人の腰から下をじっと見る、

っていう。なんかいいよね。その意味の分かん

なさ。これぞ、文学だよ、と思う。穴の中に

入った主人公がある種、覚醒する局面の一節、

「目を開けると月がいくつもいくつも飛び回っ

ていて、挨拶するように、接吻するように、

軽く顔や体に触れる」ってところ。

ナイーブで、感じやすく、それで、目覚める

感じが出ていて、すごくいいよなあ。

うーん、この人は天才だな。

(読了日 2024年1・6(土)22:52)
              (鶴岡 卓哉)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする