中央公論新社 1999年
これは果たしてSFなのだろうか。雛型という
成長型アンドロイドみたいなものを拾ったと
いうんである。それが成長して、どんどん一日
で一年老いていってしまい、死んで捨てられて
いた状態に戻るまでを描いた表題作の短篇なの
である。
こういうのはなにも考えず、ずいずいっと一気に
読んでしまうのがコツなのであるが、ぼくは生憎
ラストで風呂に入ってしまって、風呂の中で、ちろ
ちろとこの短篇のことを考えてしまった。
面白い、と思う反面、実にお間抜けな話でもあり、
よくこれを書こうとしたな。実際に書いた弘美氏は
凄いな、と思った。ラストまで実際に読んでみたが
驚愕するようなことは一切なく、つつがなく終わる。
えっ、これでええんかい、と思いつつ、次の作品に
想いは注がれるのであった。(少し寝かせていおいた)
(読了日 2023年12・26(火)20:45)
(鶴岡 卓哉)