光文社文庫 1974年
吉田氏の文章が苦手と云う方ももしかするといるかも
解らない。が、立ち読み程度のレベルで評価してはい
けない。
この400P余りのちっこい字の物量は大いに読み応え
があり、吉田氏をとことん味わいたい人にはもってこい
だ。
この一冊をもってして、その魅力を大いに感じることが
出来るだろう。そのプロレスで云うところの蝶野正洋氏
のようなのらりくらりしたレスリングスタイルを文章に
したようなスタイルにぼくはどっぷりとハマってしまっ
た。
手書きでしか味わえないような文章だ。それにしても、
吉田氏のような食いしん坊は、六十五歳までしか生きら
れないだろう。誠にこれは人間の業を背負った宿命と
云わざるを得ないだろう。
うまいものを喰い過ぎると長生きはムリだが、人は
食べてしまう。そして、その様に人はうまい読み物を
読まずにはいられない。ぼくも業を背負って今日も
生きるひとりである。
(読了日 2025年2・25(火)23:47)
(鶴岡 卓哉)