№166
福武書店。
有馬忠士氏の装丁で、この人のことを書いている
らしいが、多分に、自分のことも書いているよう
に思われる。幻覚がひどくて、寝ていて、声を出
すので寺西圭子と暮らすようになってから、半年
で三度も引っ越しをする。気狂い病院で暮らして
いることが半分で、半分は圭子と暮らした日々を
描いている。本当にこの人の文章は巧い。でもち
ょっと理屈っぽいところもある。そこも逆に魅力
である。ストーリーテリングだけではない文学の
持つ本来の面白さがあるのだ。富岡多恵子氏の言
う、”その言葉を読んでゆくことでしか得られぬ悦
楽”というものがこの小説にはあるのだ。
福武書店。
有馬忠士氏の装丁で、この人のことを書いている
らしいが、多分に、自分のことも書いているよう
に思われる。幻覚がひどくて、寝ていて、声を出
すので寺西圭子と暮らすようになってから、半年
で三度も引っ越しをする。気狂い病院で暮らして
いることが半分で、半分は圭子と暮らした日々を
描いている。本当にこの人の文章は巧い。でもち
ょっと理屈っぽいところもある。そこも逆に魅力
である。ストーリーテリングだけではない文学の
持つ本来の面白さがあるのだ。富岡多恵子氏の言
う、”その言葉を読んでゆくことでしか得られぬ悦
楽”というものがこの小説にはあるのだ。