古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

裏アジア紀行     クーロン黒沢

2021-03-03 13:19:24 | 本の紹介

2005年   幻冬舎アウトロー文庫

 

ぼくはこういう危険にみちみちたアジアの紀行本が

 

大好物である。

 

例にもれず、この本も著者が体験した(であろう)

 

ことが赤裸々に書かれております。

 

お湯のでないホテルなんて当たりまえ。たぶん、想

 

像の斜め上をいっていると思われます。

 

ヘンなひとなんていうのも当りまえ。ここで日常と

 

いうのは、非日常の連続です。

 

それがクーロン氏が旅に駆り立てられる理由なので

 

しょうが、マア、ぼくは遠慮しておきます。

 

クーロン氏の本で充分、楽しませていただきました。

 

きっと、日本の生活じゃ、刺激が少なすぎておイヤ

 

なんでしょうね。ご愁傷さまです。

 

けど、こういう本を読むと、世界はこんなに広いん

 

だよ、こんなヘンなひとでも生きてるんだから、大

 

丈夫だよ、って言われているみたいで妙に安心する

 

……合掌。

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太陽のわめき    鶴岡 卓哉 

2021-03-03 11:56:08 | 詩・ポエム

太陽のわめき  


照りつける太陽が僕らを刺す

僕らの日常が非日常を誘う

僕らの行くところは何処にもないんだ

僕らの敵は心にいる

孤独なのは僕らではなく照りつける太陽だ




短い詩ですが、夏の詩ですね。きっと、
書いてるとき凄く暑かったんだと思い
ますよ……合掌。


俺様の背後から近寄るんじゃあねえぜ!

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フォークソング     鶴岡 卓哉

2021-03-02 11:22:37 | 詩・ポエム

フォークソング 



自由なる大地で自分を見つけるだろう、と僕に予言した老医者

拡大していく社会の中で孤立していく僕はむしろ寂しがり屋だ

自分が何者なのか分からないまま僕の心は彷徨う

世界では僕は無力でいつも通り無名だ

誰も助けてはくれないこの世界で僕は生きてかなきゃいけない

ああ、また僕は電車に乗り、会社の中で、社会の中で、忙殺の中で

故郷が何処なのか忘れてしまいそうになって僕は少し焦ったりする

故郷を想い、僕は転がる石のように旅立つ

故郷で待っていたのは幼い日々の数々の愚行と遊び場の残骸

ああ、ここに僕の影が落ちている

その影は昔の日々より少し大きく伸びている


ああ、怖い夢見た!(2019年にお亡くなりに。あばよ、現生!)

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時間旅行へのささやかな贈物    フィリップ・K・ディック 

2021-03-02 10:43:34 | 小説の紹介

浅倉久志・訳    「ディック傑作集2」所収

 

究極のSF 1974年。

 

この作品のテーマはくり返される時間だ。このテーマで

 

思い出されるのは涼宮ハルヒの憂鬱であろう。すでに47

 

年も前にすでにこのアイデアがあったとは驚きだ。

 

僕がふと想像したのは、キリストが生まれてから、このあと

 

15年後に訪れるであろう絶滅を何度も繰り返している、

 

というものだ。人々がデ・ジャ・ビュを感じるのもそのせい

 

ではないだろうか。ここで、この円環ループから逃れる方法と

 

して、飛行士が内破と呼ばれるロケットの爆発で死なないこと、

 

を提案される。我々は人間というループの中にいるらしいし、

 

時間のループの中にもいるらしい。どうする?……合掌。 

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或旧友へ送る手記     芥川龍之介

2021-03-01 07:26:33 | 小説の紹介

「河童」所収  集英社文庫  昭和二年七月

 

あの有名な「ただぼんやりした不安」である。僕が思うに

 

体調があまり芳しくなかったのではないか、と思う。

 

敗北に敗北して、最後、自殺に至ったというが、僕の所見

 

では、芥川は現代の状況を笑っているのでは、ほくそ笑んで

 

いるのでは、と思えてくる。芥川賞のことである。芥川と冠

 

された賞にこれほど注目を浴びていることは彼の勝利である。

 

彼の長いスパンをかけた計画のような気がしてくる。

 

芥川はすべてを知っていたのではないか、彼が文学の神となる

 

ことを。

 

自らが自死することで神へと昇華されることを望んでおったの

 

ではないか、と僕は妄想してしまったのだ。……合掌。 

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