痛い!!!
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金原ひとみさんの芥川賞受賞作が原作。
さすが芥川賞、ちょっと一筋縄ではいきません。
作品がイタいワケではありません。
特になんの目標もなく、コンパニオンのバイトで暮らしていたルイ(吉高由里子)19歳。
ある時、蛇のように舌先が割れた“スプリット・タン”を持ち、
全身にピアス、タトゥーをした男・アマ(高良健吾)と知り合い、付き合い始めます。
そして彼から紹介を受けて、彫り師・シバ(ARATA、現・井浦新)の元に通い始め、
彼女もスプリット・タンとタトゥーに挑み始めます。
そんな中で、ルイはシバとも関係を持つように。
自らの舌に穴を開け、背中にタトゥーを入れ、それでも満たされないルイですが・・・。
そんな時に突然、アマが失踪してしまいます・・・。
とにかく“痛い”のです。
タトゥーについては、これまでもいろいろなところで出てくるので知ってはいましたが、
舌に穴を開けピアスをするというのには思わず目を背けたくなり、
しかもその穴を長い期間をかけて押し広げていき、
やがて二つに割るなどというのは、とても私には受け入れられない気がする。
誰に強要されたわけでもないのに、ルイがそれをしようとしたのは、
その「痛み」を感じることで、自分が生きていると感じられるから。
そしてまた、シバはサド男で、ルイとコトに及ぶときも
彼女を責め立て、首を絞めたりもします。
そもそも自ら舌に穴を開けようとするようなルイなので、元々被虐的なのでしょうか。
このときに責められることもまた、ルイにとっては
自らの生を実感できる時間なのかも知れません。
でもルイは、過激な見た目とは裏腹にノーマルなセックスをする
アマもまた嫌いではないのです。
さて、恐ろしいほどにパンクな外見のアマは、
しかし意外と感覚は普通並みで優しいのです。
ところが、何かのきっかけで怒り出すと、一気に暴力性が爆発。
それはもう、自分でもコントロールできなくなってしまうのです。
ルイに乱暴したりしないアマですが、もしシバとのことがバレたらどうなってしまうのかと、
ちょっとハラハラしてしまうのですが、
結局そういう事故は起こらなかったわけですね。
でも、本当はもっと恐ろしいことが起こっていた・・・?
生と愛欲は同じものなのか。
たとえそれが“苦痛”であっても、生きていることの証が必要なのか。
私の中では答えは出ず、ぐるぐると渦巻く感じです。
ところで、吉高由里子さん、
恐いくらいのピアスとタトゥーにまみれた井浦新さんと高良健吾さん、
こんな役をやったらもう恐い物なしなのでは?
その証として、お三方は今、演技派としてさらに活躍中。
ふう、マジでスゴイ作品でした。
「蛇にピアス」
2008年/日本/123分
監督:蜷川幸雄
原作:金原ひとみ
出演:吉高由里子、高良健吾、ARATA(井浦新)、あびる優、ソニン、小栗旬、唐沢寿明、藤竜也
過激度★★★★★
SM度★★★★☆
満足度★★★.5