映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

BAD LANDS バッド・ランズ

2023年10月04日 | 映画(は行)

社会に抗え!

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安藤サクラさんと、山田涼介さんという異色のコンビネーション、
ちょっとワクワクしました。

大阪で特殊詐欺に手を染めるネリ(安藤サクラ)と弟のジョー(山田涼介)。
特殊詐欺グループの名簿屋という裏の顔を持つNPO法人理事長・高城(生瀬勝久)や、
幼い頃からネリをよく知る元ヤクザ・曼荼羅(宇崎竜童)らと関わりながら、
毎日をしのいでいます。
前科があって粗暴で考え無しの弟・ジョーは、ある時、賭博で大負け。
ネリが保証人になっていて、大金を急ぎ入手する必要が生じます。
そこで彼が考えついたのは・・・。

ネリとジョーに血のつながりはないのですが、
同じく孤独で煮詰まった人生という身の上故に、
互いを大事に思うようになったのでしょう。
ネリは、特殊詐欺の受け子のリーダーといった役柄。
まあ、今時歓迎すべかざる人々ではありますが、
「持たざるものが持つものから生きる糧をかすめ取る」
という信念に基づいてネリは行動します。
彼女を取り巻くのは明日の生活さえままならない底辺の人々。
キャップをかぶりはすっぱな物言いをする安藤サクラさんが
なんともカッコ良くて、魅力的です。

一方、背中に入れ墨のある前科者のサイコパス・・・
などというとんでもない役についた山田涼介さんですが
これがまた、悪くない。
きれいな顔してこういう役というのもまた、ツボですね。

結局二人は大きな罪を犯して、賭博の返金どころか、
億を超える価値のあるものを得ることになってしまうのですが・・・。

彼らがにぎったモノを現金化する必要があるのだけれどそのためにどうするか・・・
などと現実的な話も取り入れつつ、
裏社会でたくましく生き抜こうとする姿を頼もしく描いていきます。

血まみれですが、なんだか胸が躍る、魅力のある作品です。

<シネマフロンティアにて>

「BAD LANDS バッド・ランズ」

2023年/日本/143分

監督・脚本:原田眞人

原作:黒川博行

出演:安藤サクラ、山田涼介、生瀬勝久、江口のりこ、宇崎竜童、天童よしみ、前田航基

 

犯罪度★★★★☆

底辺度★★★★☆

満足度★★★★☆