生きる意味を見失った偏屈オヤジが・・・
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曲がったことが許せず、毎日近所をパトロール。
ルールを守らない人には、説教。
挨拶されても仏頂面。
いつも不機嫌な顔をしているオットー(トム・ハンクス)。
こうなってしまったのは、最愛の妻に先立たれてしまったからなのですが、
閑職に回されてしまった職を辞し、ついに生きる意味を失った彼は
自殺を実行しようとします。
ところがその矢先、向かいの家に賑やかな一家、マリソルとその夫、子どもたちが越してきます。
彼らに何かと頼み事をされたりお節介を焼かれたりして、
タイミングを失ってしまうオットー。
近所の人とのつながりもとうに捨てたと思っていたのですが、
向かいの一家と関わり合ううちに、他の人々ともまた交流が生まれていきます。
しかしそれでもなお、死ぬ機会をうかがっているオットーですが・・・。
始めの方の無愛想でいかにも偏屈なオヤジのオットーは
どうにも好きになれそうもない感じがしたのですが・・・。
挿入される若き日の奥様との出会いや、
懐かしい思い出の日々のシーンにはついほろりとさせられ、
こういう人を亡くしてしまったら、確かに生きる意欲もなくなってしまいそうと、
次第に感情移入していきます。
何しろきっちり真面目な人なので、自殺決行の前に電話や電気を止める手続きまでしています。
しかるに、いつもうまくいかない。
向かいの家族に邪魔されるのはもちろん、
ある時は電車に飛び込もうとして、別の人を助けてしまったりします。
そして、いつも近所をうろついていた野良猫を飼うことにもなってしまう。
このネコがまた、なんとも可愛くて、本作に花を添えているのです。
その仕草につい笑ってしまうことも。
結果、彼は今を生きることにも意義を感じ始めるわけで・・・。
いい物語でした。
実は本作で泣けるとは思っていなかったのですが、泣けます!
<Amazonプライムビデオにて>
「オットーという男」
2022年/アメリカ/126分
監督:マーク・フォースター
原作:フレドリック・バックマン
出演:トム・ハンクス、マリアナ・トレビーニョ、マヌエル・ガルシア・ルルフォ、
レイチェル・ケラー、トルーマン・ハンクス
偏屈オヤジ度★★★★★
自殺失敗度★★★★★
満足度★★★★★