死ぬ間際の白鳥が最も美しい声で歌う
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かつてヘアメイクドレッサーとして活躍していたパット(ウド・キア)。
ゲイとして生きてきた彼は、最愛のパートナー、デビッドを早くにエイズで亡くし、
現在は老人施設暮らし。
そんな彼の元へ、もと顧客で親友でもあったリタの弁護士が訪れます。
亡くなったリタの遺言で、彼女の死化粧を施してほしいというのです。
引き受ける決心が定まらないながらも、パットはかつて住んでいた町を久々に訪れます。
他界したリタへの複雑な感情と、自身の過去と現在について、
様々な思いを巡らせる・・・。
スワンソングというのは、死ぬ間際の白鳥が最も美しい声で歌う
と言われることから由来しています。
実のところ老人施設にいるパットは、キッチンからくすねたカミナプキンを
ひたすら折り直して一日を過ごすという、抜け殻のような生活。
生きる意欲はとうの昔に捨て去ったかのようでした。
しかし、何十年ぶりかで彼が「生きて」いた町を訪れて、
彼の中の何かが変わっていきます。
かつては、ヘアメイクドレッサーとしてだけでなく、
ゲイのショーでも人気を集めていたパット。
しかし、今は彼を知るものもほとんどいません。
そしてかつて住んでいた家はとうに取り壊されており・・・。
ここへ帰ってきたことを後悔するパットですが、
しかし、新たな気づきもあった。
老人施設では死んだようになっていた彼の魂が、今ここで再び蘇ります。
かつての幸せも栄光も、「老い」は無残に打ち砕いてしまう。
親しくうちとけられた仲間もすでにいない・・・。
そうしたむなしさ、さみしさは、
そういう年齢に近づいている私なので、すごく身近に感じます。
しみじみ来ます・・・。
<Amazon prime videoにて>
「スワンソング」
2021年/アメリカ/105分
監督:トッド・スティーブンス
出演:ウド・キア、ジェニファー・クーリッジ、アイラ・ホーキンス、
ステファニー・マクベイ、リンダ・エバンス
老いの残酷さ★★★★☆
満足度★★★★☆