映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

青天の霹靂

2014年06月01日 | 映画(さ行)
なんで俺なんか生きてんだよ!



* * * * * * * * * *

劇団ひとりによる描きおろし小説を元に、
本人が監督と出演もしているという話題作。


売れないマジシャン轟晴夫(大泉洋)が40年前の浅草にタイムスリップ。
そこで、若き日の父母と出会います。


現在の晴夫は、何をやってもぱっとせず、
彼女もいないし、ボロアパートでその日暮らし。
母は彼が生まれてすぐ男を作って出て行ってしまった。
父親とは絶縁状態で、どこにいるかもわからないし、
もう20年近く会ってもいない。
こんな親の子どもだから自分はうだつがあがらないのだ・・・と、
親を、惨めな自分の言い訳にしています。
そしてその日・・・
ボロアパートの水道管が破れ、部屋は水浸し。
さらにそこに届いたのは、父の死の連絡・・・。
あんまりな出来事の連続に、
「なんで俺なんか生きてんだよ!」
と彼は大声を上げる。
その時・・・!
タイムスリップが起きます。



目覚めたところは40年前、昭和48年の浅草。
SF作品ではないので、特に理屈はいらない。
彼は自分の人生の原点を見るために時をさかのぼったわけです。
意外にも美人でいきいきしている母(柴咲コウ)がまぶしい。
そして父(劇団ひとり)は、
やはりちゃらんぽらんに見えるけれども、
なんと晴夫はその若き父とコンビを組んでマジックをすることになるのです。

そんな時に、母が妊娠。
お腹の中の子どもこそが、晴夫だ。
そして晴夫は意外な事実を知るのです。



親に望まれて生まれたのではない、
・・・では、なんのために生まれてきたのか?、
そんなアイデンティティの喪失から、蘇っていくさまが、
爽やかに描かれています。
大泉洋と劇団ひとりの掛け合いが楽しい!
ラストがまた心憎くて・・・やられました。



大泉洋さんは本作のために必死で手品の練習を積んで、
手品シーンは吹き替えなしだったそうで
・・・どうもご苦労様でした!! 
ちょっと人を煙にまく感じで、手品師は似合っていますよねえ。
また、浅草のセットは長野県上田市に作られたそうで、
これもまた、上田市のウリの一つになりそうですね。
上田市、また行きたくなってきました。



「青天の霹靂」
2014年/日本/96分
監督・脚本:劇団ひとり
出演:大泉洋、劇団ひとり、柴咲コウ、笹野高史、風間杜夫

お笑いとペーソス★★★★★
満足度★★★★☆


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