映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

花束みたいな恋をした

2021年04月30日 | 映画(は行)

手押し信号、ありがとう

* * * * * * * * * * * *

坂元裕二さん脚本の本作。
坂元裕二さんといえば、テレビドラマ、今やほとんど伝説的名作「東京ラブストーリー」、
割と最近では「カルテット」、そして今やっている「大豆田とわ子と3人の元夫」、
大好きなので、こちらも興味を持っていました。

えーと、公開開始は1月だったんですね。
なんとなく見逃していましたが、
ロングランをやっているシネマフロンティアさんに感謝!です。

本作は、偶然な出会いから始まった恋の5年間の行方を描きます。

東京、京王線明大前駅で、終電を逃してしまった大学生、
山音麦(菅田将暉)と、八谷絹(有村架純)。
好きな音楽や映画、本がほとんど同じということから
互いに好意を持ち、恋に落ちます。
大学卒業後、フリーターをしながら同棲をスタート。
日々の現状維持を目標に就職活動を続けますが・・・。

やはり二人の恋のはじまりのシーンが楽しいですね。
「天竺鼠」、「今村夏子」、「ゴールデンカムイ」などという
二人の共通のお気に入りの具体名が、リアルに二人の世界観を想像させます。
3日も二人でイチャイチャしながら過ごしても飽きない。
本当に、若くて「花束」のような恋なのでした。

ところが、二人が学校を出て「人生」を歩まなければならなくなってくると、
どうしても歩調が合わなくなってきます。

絹は、生活のためきちんとした就職をし、
麦はイラストで多少の収入はあったのですが、生活のために彼もやがて就職。
すると忙しくなり、ゆったりと二人で過ごす時間も持てません。

好きだった本も読まず、ゲームもしなくなり・・・。
次第に遠くなっていく2人の心。

確かにこれはラブストーリーには違いない。
けれど、かつてあったラブストーリーは男女が出会い結婚して終わるというものだったのが、
今は全くそうではないということに、今さらながら気づかされたように思います。

出会いは結婚とは別物で、自分の人生を歩もうとする時に、
必ずしもパートナーは必要というわけではない。
でもそれだからこそ、互いを好きで一緒にいる時間は、
なんの打算もなく純粋で、「花束」のようなのかもしれません。

「手押し信号、ありがとう」は、2人の恋のはじまりの時の1シーンの麦のセリフ。
どういう状況でこのセリフとなったのか、ぜひ実際にご覧ください。

 

<シネマフロンティアにて>

「花束みたいな恋をした」

2021年/日本/124分

監督:土井裕泰

脚本:坂元裕二

出演:菅田将暉、有村架純、古川琴音、押井守、オダギリジョー

 

花束度★★★★★

満足度★★★★★

 

 



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