かみ合わない、父と息子
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兼三郎(リリー・フランキー)は、妻・明子(木村多江)の葬儀で
しばらく疎遠となっていたひとり息子・トシ(錦戸亮)と
その妻さつき(高梨臨)、孫のエミに久しぶりに会います。
明子が残していた手紙に、明子が子どもの頃好きだった「ピーターラビット」の発祥地、
イギリスのウィンダミア湖に散骨してほしいとありました。
明子の願いを叶えるため、兼三郎とトシ一家は、
イギリス北部、湖水地方のウィンダミア湖へ向かいます。
父と息子の確執・・・。
よくあるテーマですが、本作でも、兼三郎とトシはどうも折り合いが悪く、
2人の間を取り持つのはいつも明子だったのでしょう。
父は息子にどのような言葉をかけて良いのかわからず、
息子は父を敬い近づきたい思いはあるのに、
いつも拒絶されているように思い、気安く話せない。
明子は認知症で、最後にはほとんどわけがわからなくなっていて、
下の世話も兼三郎が行うようになっていたのです。
兼三郎はそんな明子の姿を、息子やその家族には見せたくないと思うのですが、
それがまた、息子は遠ざけられていると感じてしまう・・・。
そんなわけで、葬儀の時の対面は父子関係も最悪になっていたのですが・・・。
でも、兼三郎は息子家族とともにイギリスへ向かいます。
本当は1人の方が気楽で良かったのでしょうけれど、
トシにとってはたった1人の大事な母のことでもありますし。
しかし、イギリスに到着してもギクシャクしたまま口論が起きて、
兼三郎は先に1人で列車に乗って出発するのですが、
誤って逆方向へ向かってしまい、1人迷子になってしまうのです。
どうするのこれ・・・、とハラハラしながら見て行きましたが、
結局どんなにギクシャクしても家族は家族。
楽しかった頃の同じ気持ちは持っていて、大事だった人の思い出もたくさん。
湖水地方の穏やかな風景のなかで、ほんの少しずづわだかまりも解けていくのかも知れません。
ちなみにコットンテールは、「ピーターラビット」の作中に出てくるウサギの名前ですね。
実は私も、湖水地方には憧れていて、
散骨してほしいとまでは思わないけれど、行ってみたい場所ではあります。
<シネマフロンティアにて>
「コットンテール」
2023年/イギリス・日本/94分
監督・脚本:パトリック・ディキンソン
出演:リリー・フランキー、錦戸亮、木村多江、高梨臨、キアラン・ハインズ、イーファ・ハインズ
父子の相克度★★★★☆
満足度★★★.5
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