映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

サン・ジャックへの道

2007年06月24日 | 映画(さ行)

1500km、巡礼の旅。都会生活の無駄なものをどんどん振り捨てて、新しい何かが彼らの心に芽生える。
             * * * * * * * * *

フランスのル・ピュイから、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラまで、世界遺産に指定されているキリスト教の巡礼路を旅するツアーに参加した人たちのお話です。
というと、やけに宗教めいて地味な話かと思えばさにあらず。
1500km、まともに歩けば2ヶ月。
車の通れない大自然の中の巡礼路を歩くことは、フランスでも、ちょっとしたブームになっているのだとか。
日本で言えば、四国のお遍路さんのようなもの。
特に、宗教に思い入れがない人でも、自然の中をゆっくりと歩くこと、いわば自然回帰は、都会生活に疲れた人々に癒しを与えるもの。
それはどこでも、同じ様ですね。

さて、このストーリーのメインとなる3人は兄弟。
会社を営む超多忙の兄、ピエール。
高校教師の手ごわそうなおば様、クララ。
そして下の弟は、無職、一文無しのアル中、クロード。
三人は巡礼の旅など、とんでもない!
自然回帰なんかくそ食らえ!、
そして、互いの兄弟など大嫌い!
という面々でしたが、亡くなった母が、この巡礼を3人で成し遂げなければ、遺産を相続させないと遺言を残したため、仕方なくツアーに参加することになります。

このツアーは、ガイドのギイ、ワケアリの女性マチルド、何か勘違いして参加してしまった若者4人、総勢9名の旅となりました。
ピエールは重装備にたっぷり荷物を詰め込んで、あっという間にフラフラ。
クロードは、何の荷物もない手ぶら。靴も普通の靴だし、着替えも持たない! 
アラブ系の青年ラムジイは、イスラムの聖地メッカへの旅だと勘違いしている。
早速取っ組み合いのけんかを始める兄弟たち。
・・・それでも、毎日毎日旅は続きます。

ケータイも通じない田舎道。
宿泊は、ホテルではなく、他の人たちと同室の宿泊所。
時には険しいのぼり道。
時にはどこまでも平坦なうねうねと続く道。
牛や羊の群れと一緒になったり、
また時には、名所となっている古い教会のある街を通りかかる。
ふう、これらの映像だけでも、癒される感じです。
いいなあ、私も歩いてみたくなってしまいました。

このような旅の中で、彼らは互いに互いを理解し、チームワークも出来てきて、また、いらない荷物は振り捨てて、たくましくなっていきます。
いよいよフランスとスペインの国境。
彼ら3人は、ガイドに、「実はお母さんの遺言では旅はここまででいいことになっている」と告げられます。
そのときに、なんと一番嫌がっていた長男ピエールが、途中でやめるのはいやだと言って、最後までみんなと一緒に旅を続けることになるのです。
他の二人にも異存はありません。
しかし、実はそこからのピレネー山脈越えが、一番大変で、すぐに後悔するピエール。

ユーモアたっぷりのこの巡礼道中、風景とともにたっぷり楽しませてもらいました。
それから、この作品には時々、彼らの夢のシーンが挿入され、これがまた、幻想的で、美しく、そして楽しいものになっています。
そして、ラストには、つい泣かされました。
かなりのお勧め作です!

2005年/フランス/112分
監督:コリーヌ・セロー
出演:ミュリエル・ロバン、アルチュス・ド・パンゲルン、パスカル・レジティミュス



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2 コメント

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足跡 (通りすがりのKK)
2007-06-24 22:44:08
こんにちは。KKです。
早速(?)足跡をつけにきました。
やっと劇場で映画を見れるくらいには体調が復活してきましたので、今後、映画を見る上での参考にしたいと思います
返信する
いらっしゃいませ (たんぽぽ)
2007-06-25 21:30:14
お立ち寄りいただきまして、ありがとうございます。
KKさんのお勧めもありましたら、教えてください。
この次は、やっぱりダイ・ハードでしょうか。
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