滋賀県文化財保護協会が14日、未盗掘の箱式石棺から顔料で赤く染まった頭蓋骨が見つかった(注1)宇佐山古墳群(大津市神宮町)で、祭祀に使われた奈良時代後期(8世紀後半)の土馬(どば)や、弥生時代末期(2世紀末)から古墳時代初頭(3世紀前半)にかけての周溝墓3基(注2)が新たに見つかったと発表した。琵琶湖が一望できる地理的要因などから、弥生末期以降、長きにわたって古代人が〈聖なる場所〉として位置づけていたことがうかがえるとしている。
今回、人の頭骨が出土した地点の北東約50mで、人の手で壊されたとみられる土馬やカマド形土器、土師器の破片が多数見つかった。土馬の破片は50点以上、頭部6点が確認された。平城京などでも出土する三日月のような形で、復元すれば体長15cm程度。雨を願ったり、疫病を封じたりするために祭祀に使用し埋められたとみられる。
周溝墓3基は東30~40mにあり、一辺が13~10m。木棺が置かれた埋葬部は南北約4m、東西約2mで、木棺自体は現存していなかったが、長さ2m、幅0・8mと推測される。
周溝部分から弥生後期の土器片が見つかり、2世紀末~3世紀初めには墓域となっていたことが判明。宇佐山麓の周溝墓(一辺7m前後)より大型で、眺望の良い位置にあることから、集落の有力者が埋葬され、奈良時代まで祭祀が続けられた区域だったとみている。
現地説明会は16日午後1時半、近江神宮の境内奥地で行われる。
(注1) 13号墳
(注2) 8号周溝墓 南北13m、東西9m、高さ3m。周溝あり。木棺(長さ2m以上、幅0.8m、弥生時代末。
9号周溝墓 幅2m、深さ0.3~1m、周溝あり。弥生時代末。
10号周溝墓 一辺約10mの方形墳墓。弥生時代末~古墳時代初頭。
[参考:読売新聞、京都新聞、中日新聞、朝日新聞、毎日新聞、滋賀県HP]
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2010.6.28 宇佐山古墳群 石棺が出土し、内部からは赤色顔料が塗られた頭蓋骨も