5月29日朝、職場で埼玉新聞を読んだところ、川口市が設置している市立3高校を統合し、新校1校を2018年度に開校と決定したとのことだ。
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現在ある3高校
〇川口総合高校
〇川口高校
〇県陽高校
これらを統合(廃止)し、2018年度に新校を開校することになる。
記事要約
新校の位置(場所)は、川口総合高校(同市上青木)の敷地。新校舎を建設する。
新校舎は2015年度着工、’17年度完成予定。
川口高校(同市朝日)敷地を第2グラウンドとして使用する。ここは、更地になる。
川口総合高校、川口高校校舎は、いずれも老朽化が進んでいる。’18年度に解体。
県陽高校(同市並木)も更地になるが、跡地をどう使うかは決まっていない。
川口市では’09年11月、市教育長の諮問機関「川口市立高等学校在り方審議会」を設立し、審議会は昨年年1月、『3校を新たな高校1校に再編・統合する』という答申をしていた。
去年あたりから、話題になっていた。
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埼玉新聞の他、読売のウェブサイト等で記事を読んでみると、まあ、大体聞いていた話しだった。ただ、規模がかなり大きな学校になりそうだ。
入学定員はこうなっている。
〇全日制普通科400人(40人×10クラス)
〇同・理数科80人(40人×2クラス)
1学年12クラスで480人、3学年で36クラス。計1440人。
〇定時制総合学科120人(4学年で480人)
Yomiuri Onlineでは、『現在の3校は、’17年度で生徒募集を停止し、最後に入学した学年の卒業をもって閉校とする。』とあった。市立高校のウェブサイトにも、以下のように記載があった。一部引用する。
2 新校基本計画の骨子
(3)開校年度
新校の開校は平成30年度とする。
対象校は平成29年度をもって生徒募集を停止し、当該年度入学生の卒業をもって閉校とする。新校開校年度、対象校は新校との一体感を醸成し学校の活力を維持するため、新校に移転する。
2018年、新校の母体となる学校のうち、市立高校、県陽高校の生徒は、通学先が変わることになるのかな。2018年度、現在の総合高校の正門には、新校と総合、市立、県陽高校合計4校の看板がかかることになる。
平成30年度は2018年である。この書き方だと、'17年度は募集すると、とれる。各学校の生徒数の推移はこんな感じだろうか。
生徒数は川口市立高等学校通則にある、平成24年度現在のものを準用した。
年度 | 総合高 | 市立高 | 県陽高 全日制 |
県陽高 定時制 |
新設 市立高 全日制 |
新設 市立高 定時制 |
2017 | 840 | 960 | 480 | 480 | ||
2018 | 560 | 640 | 320 | 360 | 480 | 120 |
2019 | 240 | 320 | 160 | 240 | 960 | 240 |
2020 | - - - | - - - | - - - | 120 | 1440 | 360 |
2021 | - - - | - - - | - - - | - - - | 1440 | 480 |
2017(年)は、同年に各校に在籍している(であろう)生徒数。3校の全日制課程の定員(入学定員×学年数)、定時制は4学年分である。今年はどうかというと、総合高校、市立高校、県陽高校(全日制)の1学年定員合計は2280人。埼玉新聞によれば、実際は2295人が在籍してる。県陽高校定時制は298人が在籍。こちらは定員をかなり下回っているが、新設市立高定時制は定員をそのまま維持すると記事にはあった。
3校の設置学科、定員は以下の通り。
総合高校は全日制総合学科設置校。学校全体で840人が定員。280人が入学定員。
市立高校は全日制で普通科、国際ビジネス科併置校。普通科240人、国際ビジネス科80人が入学定員。
県陽高校は全日制定時制併設校。全日制は普通科80人、定時制は普通科、商業科併設。普通科は80人、商業科は40人がそれぞれ入学定員。
新校は全日制、定時制とも単位制に移行する。
埼玉新聞によれば、新校で必要となる先生の数は80人。現在3校には150人の先生がいる。通常の定年退職では減らせない。県立学校への異動、市立中学校への異動のかたちで、何とかしなければならないことになる。ただ、1年間でいきなりそれだけの異動をする必要はない。現在ある各学校の学科構成、教育課程上の教科、科目の配置、そして3校の生徒は卒業するまで、それぞれの学校には、先生が必要である。いきなりそんなには動かせないのだ。何年かのスパンで異動することになる。
年度ごとに生徒数(定員合計)がどのようになるか見てみた。
2017年 2760人
2018年 2480人
2019年 2160人
2020年 1920人 全日制課程完成年度
2021年 1920人 定時制課程完成年度
あくまでも定員ベース。2017年、各学校に最後の1年生が入学する場合、1年ごとに全日制課程は1学年分ずつ、在校生が減っていく。その分が新設校に移行する。先生たちも全部とは言わないが、異動することになる。
生徒定員のピークは2017年、2760人。新校に移行完了が2021年である。全定あわせて定員は1920人になっている。ピークの70%である。これで150人の先生を80人にまで減らすのだから、やや、減らしすぎのようにも思える。
完成年度には全日制課程は1440人まで定員が減少する。市教委としては、川口市内の県立高校生徒募集枠が急減することがないように、県教委に要望しているようだが、これはちょっと虫がよすぎるかもしれない。でも、まあ、市内の中学生に迷惑はかけられないから、数年間はクラス数を減らす計画があったとしても、ストップをかける。少なくとも検討せざるを得ないだろう。
現在川口市内(旧鳩ヶ谷市を含む)には、県立高等学校が6校ある。カッコ内は普通科以外の設置学科。特記がない場合全日制課程である。
〇川口
〇川口北
〇川口東
〇川口青陵
〇川口工業(全日制:機械、電子、情報通信 定時制:工業技術)
〇鳩ヶ谷(園芸デザイン、情報処理)
川口市内の学校だけで、市立高校3校で確保していた募集人員を引き受けることは、そう簡単なことではなさそうだ。
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記事を読んで、実は一番おどろいたのは、理数科の設置計画である。平成24年度、県立高校で理数科を設置しているのは4校。大宮、熊谷西、松山、越谷北である。ただ、いずれも1クラスのみなのだ。ざっくりした言い方だが、専門学科の中で、理数科が一番レベルアップ、維持が難しい。市教委の望む『育てたい生徒像』にある『・・・特に自然科学分野に能力を発揮できる』生徒を募集し、確保、教育することは大変だ。乱暴な言い方であることを重々承知したうえで言えば、新設市立校の生徒集団の中で、理数系が普通科と比べて、できる生徒を集めることが絶対条件である。そして、可能であれば、県立理数科に追いつけ追い越せでなければいけないだろう。
何をもって、『能力を発揮できる』とするかは難しい。ただ、これはあくまで人生において、そういうことができるようになる人を作る、その基礎を高校が担うという意味だろう。でも、世間的には、簡単に言うと生徒がどんどん勉強して、理系の学校にどれくらい進学できるかが勝負である。この成果を得るまで、卒業まで待たなければならない。
どうせお金をかけるのならば、県立高校で外国語科を設置したころのように、理数科棟(実験棟兼HR教室)を、別棟で作ることも考えるべきかもしれない。お金をかけるのならば、そこまでやるべきだと思う。