この化石人類について初めてブログに書いたのは2005年(2005.07.06、「NHKの『古代人類ミステリー』 その2」)のことだ。僕はその時、『ホモ・フロレシエンシスの科学的評価はどれくらいで下るのだろう。できたら、僕が生きている間にお願いしたいな。』等と書いているが、時事通信社が4月17日にこんな記事を配信した。
インドネシア・フローレス島で2003年に化石が発見された小柄な新種「フローレス原人(ホモ・フローレシエンシス)」は、初期のジャワ原人が孤島に渡って体が小さくなった可能性が高いと、東京大と国立科学博物館の研究チームが17日、英王立協会紀要電子版に発表。
脳の大きさを精密に測定して分かった。
再確認
フローレス原人は7万4000年~1万7000年前に同島に生息したことが遺跡調査で判明している。
食料が少ない熱帯雨林の島で「島しょ化」と呼ばれる現象が起き、身長が約1メートルまで小さくなったと考えられている。でも... 彼ら彼女たちのご先祖様がわからなかったのだ。これには2説あり、ホモ・ハビリス説と、ホモ・エレクトス説が提唱されていた。
「ハビリス」は、脳容積から見て可能性があるとされた。「ハビリス」は「エレクトス」以前に、アフリカから来たと推定された。しかし前者がご先祖さまとすると、「フローレス原人」につながる化石が出ていなかった。このため、東アジアに存在した「ジャワ原人」・「北京原人」など、アフリカから進出してきた大柄で進歩した「エレクトス」らが候補になった。しかし彼らは脳容量が平均約990cc、身長が160cm~170cmあり、祖先にしては大き過ぎるとの見方があり、決め手を欠く状況だった。島しょ化だけでは説明がつかない。いくら環境負荷があったとしても、「縮みすぎ」と考えられたのだ。
今回の研究(東大・久保大輔特任研究員、同博物館・河野礼子研究主幹)では約2万年前のフローレス原人の成人女性頭骨化石について、X線コンピューター断層撮影(CT)で内部を精密に測定し、模型を作製。壊れた部分を粘土で修復した。その結果、頭骨内部の脳容量は426ccと、従来推定の約400ccより大きいことが分かった。
同博物館の海部陽介研究主幹コメント:
「約100万年前の初期ジャワ原人の脳容量は860cc程度で、頭骨の形もフローレス原人に近い。脳容量の差が縮まり、初期ジャワ原人が祖先の可能性が高くなった」
原人の脳サイズは426cc(誤差±3%)と、現代人(約1300cc)の3分の1程度。脳の大きさと体格の比率について、世界各地の現代人20集団のデータを解析した結果、フローレス原人の脳サイズは、病気などによるものではなく、決して不自然ではないとのことだ。
決まりかな。これである程度分かったことになるのかな。これから他の研究者・機関の検証が始まるのだろうか。