全英連参加者のブログ

全英連参加者の、言葉やその他諸々についての雑感... 不定期更新です。

留意事項を読んでみる。

2014-12-12 04:00:00 | 気になる 大学研究

 大学新設するためには、おおよそ以下の手順が必要になる。

 設置法人(開設を希望し、計画を提出する社団)
  ↓ 認可申請
 文部科学省
 ~~~~~
 文部科学大臣
  ↓ 諮問
 大学設置・学校法人審議会
  ↓ 審査(可否の)答申
 文部科学大臣
 ~~~~~
 文部科学省
  ↓ 認可・不認可の通知
 設置法人

 大学新設が認可の場合でも、認可の条件ではないが「留意事項」というものが付く場合がほとんどである。設置認可申請が審査の結果「可」になり、来年開設される3大学もその例にもれない。やや厳しい言い方をすれば、『認可、開学はよいですが、以下ことがらを認可する立場としては気にしていますよ。これらをきちんとクリアしてくださいね。』『実質条件付き、仮免許みたいなものですよ。』だと読めてしまう。

 新設3大学は、現在学生募集業務・開学準備真っ最中である。暮れも正月もないだろう。3大学への留意事項を読んでみようと思う。下線部・太字は特に注目した部分であり、赤字カッコ内は感想である。*は一番最後に脚注を加えた。

+++++ +++++

湘南医療大学 保健医療学部

・完成年度前に、定年規程に定める退職年齢を超える専任教員数の割合が比較的高いことから、定年規程の趣旨を踏まえた適切な運用に努めるとともに、教員組織編成の将来構想について着実に実施すること。(看護学科)
(新設大学なので、既存大学の先生を招聘する。どうしても年齢構成は高くなる。そのこと自体はやむを得ないが、その後のことをきちんとしなさいということ。)

教員の補充を必要とされた1授業科目については、科目開講時までに確実に専任教員を配置して教員を充足すること。(リハビリテーション学科)
(2年生以降の科目ならばいいけど、まさか1年生科目ではないでしょうね。)

・大学運営の体制について、学長が多くの職を兼務することから学長を補佐する体制を整備するため副学長を置くが、その副学長を学部長が兼務することから、計画どおりの大学運営が着実に実行されるよう、学長、副学長、学部長の役割分担を改めて整理し、学内のガバナンス体制の強化に努めること。
(兼務がすべてダメとは言いませんが、どうなんでしょうか。)

・設置の趣旨・目的等が活かされるよう、設置計画を確実に履行すること。また、開設時から4年制大学にふさわしい教育研究活動を行うことはもとより、その水準を一層向上させるよう努めること。

研究推進室及び地域連携推進室について、例えば研究推進室が「授業内容及び授業方法の改善を図るための研究」を目的とするのであれば、推進室における医療従事者の役割や位置付けが不明瞭である。このため、研究推進室及び地域連携推進室については、学則第1条及び第4条の趣旨や目的を確実に達成するよう、特に医療従事者の役割や位置付けを明確にした上で具体的な業務内容を不断に検証し、両推進室の改善を図ること。
(同じことが二度出てくる。組織はあるけど中身の検討をさらにすすめなさいということなのかな。) 

・CAP制*について、学科開設時からは導入せず「今後、履修状況を見ながら検討する。」とのことだが、CAP制を開設時から導入しない積極的な理由が不明瞭である。学生に各科目を一定の質を持って学修させるためにはCAP制の導入が有用であることから、学生の履修状況や成績状況について、開学から完成年度に至るまで継続的な分析を行い、その導入について検討をすること。(看護学科)

・運動場が別地にあることから、教育に支障のないようにすることはもとより、学生の課外活動等に配慮すること。

理事長が非常勤かつ兼務が多く、理事全員が非常勤であることから、私立学校法の趣旨を踏まえ、学校法人として機動的に意思決定できる体制の整備について検討すること。
(教学部門も兼務ならば、運営部門も兼務。学校法人の理事はともかく、理事長は専任でなくてもいいのか。)

・理事及び評議員の構成がふれあいグループ関係者に偏っていることから、その構成の見直しについて検討すること。
(設立母体なので、やむを得ないが、「やや」とかではない。「偏っている」のである。)

・認可後に補助金(神奈川県)が収納予定であることから、収納後、速やかにその旨を報告すること。
(公金が入る。)

・大学の設置に伴い整備が必要な諸規程を計画通り整備すること。

 留意事項が多い。全体的に大学、法人とも管理体制への注文が目に付く。

+++++ +++++

長野保健医療大学 保健科学部

・臨床実習の成績評価については、項目の一つに出席状況とあるほか、設定された合格点に「原則」とつけるなど学修目標に照らした評価が厳格に行われるかいまだ不明であるため、改めること。
(出席状況を評価項目に入れてはいけないということなのだろう。「出席する」のは当たり前。評価以前と考えられているのだろう。これでは、成績評価が信用されないと言われているようなものだ。)

・大学として一般教養を学ばせるために必要な人文科学、社会科学、自然科学等の図書を整備するとともに、本学の設置の趣旨目的に見合う、例えば国際協力等の必要な書籍や電子ジャーナルの充実を図り、学生の利用環境の整備の充実を図ること。

完成年度前に、定年規程に定める退職年齢を超える専任教員数の割合が高いことから、定年規程の趣旨を踏まえた適切な運用に努めるとともに、教員組織編成の将来構想について着実に実施すること。
(新設大学なので、既存大学の先生を招聘する。どうしても年齢構成は高くなる。そのこと自体はやむを得ないが、その後のことをきちんとしなさいということ。たが、「比較的...」は付かない。)

・監査に対する認識や取り組みが十分でないことから、監事の監査をはじめとする監査業務の充実に取り組むこと。

・理事会及び評議員会の運営に関し、以下の事項について適切に行うこと。
 ・決算に係る理事会と評議員会の開催順序
 ・最終意思決定機関としての理事会の在り方

・理事及び評議員の選任方法に誤りがあることから、寄附行為の規定に基づき適切に行うこと。

・大学の設置に伴い整備が必要な諸規程を計画通り整備すること。

・設置の趣旨・目的等が活かされるよう、設置計画を確実に履行すること。また、開設時から4年制大学にふさわしい教育研究活動を行うことはもとより、その水準を一層向上させるよう努めること。

 評価に関するコメントが厳しい感じを受ける。

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鳥取看護大学 看護学部

・「地域密着型サービス実習」の科目名称について、「地域密着型サービス」が介護保険制度で使われている名称であり、当該名称にかかる概念が確立されていることを考えれば、それを授業科目の名称として使うことは適当でないため、学問体系に位置づけられた一般化された名称を用いるなど、科目名称を再考すること。

・「地域の保健室論」の科目名称について、「保健室」は場を表す名称であるため、それを科目の名称に入れるのは不適切であることから、学問体系として位置づけられた一般化された名称を用いるなど、科目名称を再考すること。
(大学の教育課程作成するにあたり、この科目名ではダメですよと言われている。)

教員の補充を必要とされた25授業科目については、開設時までに確実に専任教員を配置して教員を充足すること。
(授業科目の担当者がきちんと決められないというのは、おかしなことである。湘南医療大学の1授業科目だって問題なのだ。それが25というのはどういうことなのだろう。)

完成年度前に、定年規程に定める退職年齢を超える専任教員数の割合が比較的高いことから、定年規程の趣旨を踏まえた適切な運用に努めるとともに、教員組織編成の将来構想について着実に実施すること。
(新設大学なので、既存大学の先生を招聘する。どうしても年齢構成は高くなる。そのこと自体はやむを得ないが、その後のことをきちんとしなさいということ。ちゃんとしないと、上記25授業科目の配置に加えて、退職者補充の問題も出てくる。)

完成年度における法人全体の帰属収支差額がマイナスとなっていることから、収支の均衡を前提とした中長期的な財政計画の策定・実行など、経営基盤の安定確保に取り組むこと。
(次の項目の補助金が入るにもかかわらず、4年後の2018年度(平成30年度)に収支がマイナスなのだろうか。)

・認可後に補助金(鳥取県、倉吉市、鳥取中部広域連合)が収納予定であることから、収納後、速やかにその旨を報告すること。
(公金が入る。)

・設置の趣旨・目的等が活かされるよう、設置計画を確実に履行すること。また、開設時から4年制大学にふさわしい教育研究活動を行うことはもとより、その水準を一層向上させるよう努めること。

 何だか授業・講義・実習が動くのか不安に思える。

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 それぞれ厳しい注文が付いているが、実は3大学共通の留意事項がある。それは、『設置の趣旨・目的等が活かされるよう、設置計画を確実に履行すること。また、開設時から4年制大学にふさわしい教育研究活動を行うことはもとより、その水準を一層向上させるよう努めること。』である。

 「設置の趣旨・目的等が活かされるよう」とは、

 ・何のために各大学の設置が認可されたのか。
  =日本という社会で存在を認められたのか。
 ・どのような専門的職業人を世の中に送り出せるのか。

 だろう。

 湘南医療大学は看護師、理学療法士、作業療法士。長野保健医療大学は理学療法士、作業療法士。鳥取看護大学は看護師をちゃんと養成しなくてはならない。やや古くさい言い方だが、まさにこれが1丁目1番地である。それを充分認識して、認可申請の時に立てた設置計画(plan)を実行せよと求められたのだ。そのためには、「4年制大学にふさわしい教育研究活動を行う(do)こと」だと思う。「ふさわしい」は精神論やスローガンではないのだ。もちろん気持ちも大事だが、もとめられているのは、

 「設置計画」の「確実な履行(do)」のための、
  「4年制大学にふさわしい教育研究活動」の「実行(do)」

 と、いうことになると思う。「4年制大学にふさわしい教育研究活動」ができることが、設置の趣旨・目的等の達成につながる。それができないのならば、計画が間違えているか、実行能力が求められる水準でないことになる。それでは「4年制大学にふさわしくない」ことになる。それでは困る。認可はゴールではなく、スタート。だから「一層向上」させるように努力(check & act)せよ。

 留意事項を全体を通して、僕はこのようにとらえました。勉強不足で間違えているかもしれませんが、読んだものの個人の感覚では、こうなりました。
 それぞれの大学の方、地元高校進路指導部は、じ~っと見ています。

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 *CAP制(制度)
 単位の過剰登録を防ぐため、1年間あるいは1学期間に履修登録できる単位の上限を設けること。


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