高校3年生のハダシは時代劇映画が大好きだが、所属する映画部で作るのはキラキラとした青春映画ばかり。自分の撮りたい時代劇がなかなか作れずくすぶっていたハダシの前に、武士役にぴったりの理想的な男子、凛太郎が現れる。
彼との出会いに運命を感じたハダシは、幼なじみのビート板とブルーハワイを巻き込み、個性豊かなスタッフを集めて映画制作に乗り出す。文化祭での上映を目指して順調に進めていくハダシたちだったが、実は凛太郎には未来から来たという秘密があって...... (映画.comサイト)
何かものすごく評判がいい作品。
鑑賞予定で一度も取り上げていない作品。でも、情報情報サイトで紹介記事を読み、夏の1本として見ることにした。問題は公開規模が、かなり小さいこと。自宅からだと、グランドシネマサンシャイン池袋、新宿武蔵野館(都内)、TOHOシネマズ流山おおたかの森(千葉)で、いずれも県境をまたいだ移動になる。これは時節柄控えることにした。埼玉県内は1館!シネプレックス幸手のみ。初訪問の同館で鑑賞した。
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映像研? 「映像研には手を出すな!」
主人公のハダシは映画部企画コンペでライバル花鈴に敗れる。ハダシは自分の作品を撮影したい。でも、悩みの種は主役俳優が見つからないこと。
そんな彼女にある日おかしなことが起きる。時間が一瞬とまる経験をする。その後、映画館で出会うのが主役候補凛太郎である。
主演候補を見つけたハダシは仲間を集め始める。撮影担当のビート板は天文部、ブルーハワイは剣道部。録音・照明担当も寄せ集め、主人公のライバルダディボーイもクラスメート。「ハダシ組」は撮影が進むにつれて結束し、作品完成に向かって進んでいく。
時かけ? 「時をかける少女」
割と早めに凛太郎が未来人で有ることがハダシだけではなく、作品を作る仲間たちにも知れてしまう。ものがたりの序盤、河川敷のワゴン車内でハダシ、ビート板、ブルーハワイがあつまるシーンがある。そこで筒井康隆の「時をかける少女」がでてくる。あれれと思った。
作中、凛太郎は撮影仲間以外には正体不明のままである。
幕が上がる? 「幕が上がる」
紆余曲折ドタバタがあり、ハダシの作品は花鈴の作品と2本立てで文化祭での上映がかなう。ハダシの作品、その最後は...
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ハダシ Starring 伊藤万理華
主人公のハダシ役。元乃木坂の人という予備情報以外全く持ち合わせがない。映画の舞台挨拶、伊藤さんのサイトを見ると、ああ女優さんだなあと思うのだが、スクリーンの中のハダシは小さくて地味。制服の着こなしもスカートがちょうど膝。襟元のリボンもきっちりの女の子である。撮影時24歳のはず、女優さんはすごいものだと思いました。小さな身体にふつふつと沸き上がる時代劇愛を、どうにか形にしようともがく姿は印象的。
ビート板 Starring 河合優実
撮影担当のビート板役。地味目のキャラ作り。ハダシとビート板は作品コンペでライバル関係の花鈴と対極の立ち位置。
ブルーハワイ Starring 祷キララ
アクション監督役(?)のブルーハワイ。実はリア充、キラキラコミック大好き女子である。
河合さん、祷さんとも160センチ台の身長。2人に挟まれると、猫背・がに股のハダシ役の伊藤さんが、いっそう小さく見える。
凛太郎 Starring 金子大地
未来から来た映画大好き青年。タイムトラベラーは、あまりにも有名な大林監督の「時かけ」(深町クン)の設定があるので、ハダシたちの学校に凛太郎が存在する設定が、「誰にも気にされない、見とがめられない」のだと思いながら見た。
花鈴 Starring 甲田まひる
華やかでリア充100%のようなキャラクターである。ものすごくイヤミな感じになってもおかしくないのに、そうでもない。
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ザ・青春映画だな。。。
終映後感じた。毎年複数は「学園もの,ザ・青春映画」と括れる作品を見る。ここまでキャストの予備知識のない作品もめずらしい。
高校教師である自分の潜在意識とか、職業病が、鑑賞の妨げになることもある。本作でもそれがゼロではない。でも、そんなことを越えて、本作はさわやかで、ほんわかした感想を僕に残してくれた。
悪い人がでてこない、安心して見れる作品かなと思う。(文中一部敬称略)