環境問題、河川・湖沼・海洋汚染と、水生生物への影響が危惧されているが、ここはそこまで大きなお話しではない。
洗濯機には、部品名はよくわからないけど、「糸くず(?)フィルター」がついている。洗濯する。何かが溜まってくる。洗濯で増えるのだから、洗濯物から出てきた、洗濯の結果ということはわかる。水道水や洗剤からではなさそうだ。でも、洗濯物にそんなに「糸くず」ついているかというと、どうも違う。もちろん着衣のどこかがほつれ、切れて、糸くずになことはあるけど、そう頻繁なことではない。溜まるのは、糸くずではない何か。どこから来たのだろう。
経験則だが、ある程度使用したシャツなどは、へたってくる。生地が薄くなる。これが当たり前である。薄くなった分は、どこに消えたのだろう。水に溶けたのか。目に見えないサイズの 何かになるのでは。いろいろ検索していたら、こんな資料を見つけた。
「平成30年度 漂流マイクロプラスチックを含む漂流・海底ごみの分布調査及び指標等検討業務報告書(概要版)」平成31年3月(平成30年度 環境省請負業務,東京海洋大学)
以下引用する。網掛、太字、波下線は僕の注目した部分につけた。
Ⅴ.その他の取り組み(P.20)
Ⅴ-1マイクロファイバーの流出に対する洗濯機附属フィルターの効果に関する研究
1-1.目的
海洋におけるプラスチック汚染の1つとして、衣料由来のマイクロファーバーが洗濯時に流出している問題が挙げられる。日本国内で市販されている電気洗濯機には、排水フィルターや糸くずフィルターが附属されており、これらのフィルターがマイクロファイバー流出防止に効果的に働いていることが推測される。
本研究では、洗濯方式の異なる縦型とドラム式の洗濯機を用いてポリエステル布を洗濯し、洗濯機附属フィルターで採取可能なマイクロファイバー量を明らかにすることを目的とした。
1-2.<省略>
1-3.結果及び考察
縦型洗濯機でフリース4㎏を10回洗濯すると、洗濯3回目でファイバー質量が多い結果であったが、全体的に見て洗濯を繰り返すとフリース生地から排出されるファイバーは減少傾向にあることがわかった。また、洗濯機附属フィルターと排水ホースフィルターで採集されたファイバー量を比較すると、全体の8割程度が洗濯機附属フィルターで採集できることがわかった。一方、ドラム式洗濯機でフリース4㎏を10回洗濯した場合は縦型洗濯機に比べ、採集できたファイバー量は10分の1以下であり、洗濯回数による傾向がつかめなかった。洗濯機附属フィルターの形状は、縦型とドラム式で大きく異なり、このことが採集できるファイバー量に影響を与えていると考えられる。ファイバーの長さとフィルターの形状、被洗物の種類なども含め、さらに検討を進める必要がある。
糸くずフィルターは「マイクロプラスチック除去」を目的に作られたものではない。衣類に付いたくず、擦り切れたり千切れた糸くずを回収するために作られたものだろう。マイクロプラスチックが問題視される前から、ついていたと思う。
現在、天然素材を除くと、糸くずの大半は化学繊維である。糸くずフィルターで、マイクロプラスチック(マイクロファイバー)サイズの「糸くず」の排出を削減できるのは、非常にいいこと。排出ゼロは無理でも、あれば有用、削減効果があることは大事なことだ。
マイクロプラスチック(Wikipedia日本版より)
一般には、直径5㎜未満のプラスチック粒子または、プラスチック断片と定義されている。海洋研究者の一部は1㎜よりも小さい顕微鏡サイズの全てのプラスチック粒子と定義している。この定義は、現場での採取に一般に使用されるニューストンネットのメッシュサイズが333μm(0.333㎜)であることから適切でないとの議論もあり、5㎜よりも小さい粒子と定義している研究者もいる。
5㎜でもマイクロである。