令和5年度入試リスニングについて分析する。
今年は音源を県教委公開情報をDLして実施した。分析ポイントは例年通り、前年度問題形式との比較、変更の有無、wpm*の確認である。
問題1~問題3
会話を聞き、質問に対する答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一、ヒントのイラストがついている。
問題4と問題5
それぞれ「ある場面」を説明する英文を聞き、質問に対する答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一で、英文の答えが出ている。
問題6
ALTのMs Brownのスピーチを聞いて、内容に関する三つの質問を聞き取り、問題用紙にある英文の解答から選択する。四者択一問題。
質問は印刷されていない。解答選択肢は印刷されている。
問題7
TomokiとAliceの会話を聞き、会話の内容に関する三つの質問を読み、解答する。解答は空所補充・文完成を求める形式。
質問は印刷されている。
*問題7以外はすべて〇 or Xの採点になる。
令和5年度入試も全て「二度聞き」で実施である。
使用音源
埼玉県立総合教育センターウェブサイトで公開のもの。mp3ファイルである。
計時使用機材
計時はWindows 10のWMPによる。
・・・毎年同じ作業である。
分析手順
①語数とセンテンスの数をカウント。
②何度も聞き直し、各英文の時間を計測。
③問題~問題の間のポーズを計測。
④はじめから、「以上で問題は終わりです」までの実時間を計測。
⑤前年の数値と比較。
①から④は手作業(耳作業)である。
・・・ここも昨年と同じである。
各問題とも放送問題は2回ずつ放送される。なお、問題番号(No.1)やLet’s Start.等は計測から除外している。
問題1
問題1(放送の時間の長さ,以下同じ)は15秒。
問題1は、AとBの会話である。A→Bが2回。15秒で話者2、総語数38語である。
このペースで会話が続いたとすると、15秒は1分の25%なので、38を0.25で割る。
152wpmとする。(154)
カッコ内は、令和4年度入試データである。
問題2
問題2は20秒。
問題2も、AとBの会話である。A→Bが2回。20秒で話者2、総語数46語。
このペースで会話が続いたとすると、20秒は1分の33.3%なので、46語を0.33で割る。
138wpm(161)
問題3
問題3は25秒。
問題3も、AとBの会話。A→Bの回数も同じ。25秒で話者2、総語数58語。
このペースで会話が続いたとすると、25秒は1分の41.6%なので、58を0.41で割る。
139wpm(159)
問題4
問題4と問題5の解答方法の説明(英文)があり、その後で問題が放送される。
問題4は12秒。
この問題は「ある場面」についての説明文を聞き、それについて解答を求めるものである。
12秒で話者1、総語数32語、センテンス数3。
このペースで発話が続いたとすると、12秒は1分の20.0%なので、32を0.2で割る。
160wpm(155)
問題5
問題5は13秒。
問題5も問題4と同じパターン。
13秒で話者1、総語数39語、センテンス数3。
このペースで発話が続いたとすると、13秒は1分の21.6%なので、39を0.21で割る。
180wpm(155)
問題6
問題6の解答方法は以下の通り。
Listen to Ms. Brown. She's an ALT at a junior high school. Choose the best answer for questions 1, 2 and 3
Let's start.
問題6は58秒。
ALTのブラウン先生が週末家族でコバトン公園に出かけたことを話す。先生の話しを聞き、内容についての質問に答える問題。58秒。総語数153語、センテンス数18。
このペースで会話が続いたとすると、58秒は1分の96%なので、153を0.96で割る。
158wpm(147)
問題7
Listen to the talk between Tomoki and Alice, a student from the U.S., and read the questions. Then write the answer in English for questions 1, 2 and 3.
Let's start.
問題7は65秒。
65秒で話者2、総語数181語、センテンス数23である。
このペースで二人の会話が続いたとすると、65秒は1分の108%なので、181を1.08で割る。
167wpm(155)
wpm比較
Qestions |
H31 |
R2 |
R3 |
R4 |
R5 |
増減 |
1 |
words |
43 |
48 |
47 |
36 |
38 |
▼ |
seconds |
16 |
18 |
20 |
14 |
15 |
wpm |
161 |
160 |
141 |
154 |
152 |
2 |
words |
26 |
34 |
42 |
59 |
46 |
▼ |
seconds |
10 |
12 |
19 |
22 |
20 |
wpm |
156 |
170 |
133 |
161 |
138 |
3 |
words |
46 |
38 |
35 |
61 |
58 |
▼ |
seconds |
16 |
15 |
14 |
23 |
25 |
wpm |
173 |
152 |
150 |
159 |
139 |
4 |
words |
30 |
30 |
26 |
31 |
32 |
△ |
seconds |
11 |
10 |
10 |
12 |
12 |
wpm |
164 |
180 |
156 |
155 |
160 |
5 |
words |
29 |
39 |
31 |
31 |
39 |
△ |
seconds |
10 |
14 |
12 |
12 |
13 |
wpm |
174 |
167 |
155 |
155 |
180 |
6 |
words |
185 |
195 |
136 |
159 |
153 |
△ |
sentences |
22 |
20 |
12 |
16 |
18 |
seconds |
70 |
82 |
57 |
65 |
58 |
wpm |
159 |
143 |
143 |
147 |
158 |
7 |
words |
229 |
163 |
179 |
184 |
181 |
△ |
sentences |
14 |
22 |
23 |
26 |
23 |
seconds |
85 |
64 |
77 |
71 |
65 |
wpm |
162 |
153 |
139 |
155 |
167 |
words:語数
sentences:文の数
seconds:聞き取るべき英文の放送された時間(単位:秒)
wpm:1分間でどのくらいの語数を聞き取ることになるか。
は、令和4年度との比較。△は数値が増加したもの、▼はその逆である。
【注意】
問題6と問題7は平成31年度と令和2年度でと出題形式が入れ替わっている。
・平成31年度入試まで
問題6が会話問題、問題7がスピーチの聞き取り問題。
・令和2年度入試から
問題6が話者1の聞き取り問題。問題7が会話問題。
令和5年度入試も同じである。4年連続なので、数字の変化はこの4年で見るべきだろう。
令和4年度との比較は以下の通り。
問題1から問題3が易化している。
絵などをヒントに回答出来る問題で受験生が聞き取る英文の速度をやや落としているようだ。
問題4から問題7は難化している。
聞き取るべき語数の比較は以下の通り。
R5 547 534 現1年生
R4 561 534 現2年生
R3 496 544 現3年生
中3の時、学校が実質閉まった学年。
「出題範囲の削減」があった年度。
R2 547 568 令和5年3月卒業生。
緊急事態宣言が中2の3学期に出ている。
H31 588 570
H30 568 569
左から実施年度、総語数、実施年度を含む3年間平均。
昨年のまとめで僕はこんなことを書いている。
問題形式、実施時間が大きく変わらず、聞き取るべき語数が、令和4年度入試は、令和2年度並みに増えた。 普通に考えれば、令和5年2月の入試も、同じ傾向になるだろう。 |
当たらずとも遠からずだと思う。
「令和5年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施状況」によれば、学力検査の得点の平均は以下のとおりである。(全日制の課程,受検者平均点【第9表】より
過去のデータもあわせて表を作成している。
\ |
学力検査問題 |
選択問題 |
国語 |
社会 |
数学 |
理科 |
英語 |
数学 |
英語 |
R.5 |
57.1 |
64.1 |
55.8 |
58.2 |
45.8 |
50.5 |
56.7 |
39,531 |
39,531 |
29,184 |
39,531 |
29,184 |
10,347 |
10,347 |
R.4 |
62.9 |
52.9 |
48.0 |
52.5 |
52.6 |
42.6 |
58.3 |
39,805 |
39,805 |
29,331 |
39,805 |
29,331 |
10,474 |
10,474 |
R.3 |
68.7 |
62.6 |
62.2 |
56.2 |
51.4 |
56 |
61.6 |
39,035 |
39,035 |
29,376 |
39,035 |
29,376 |
9,659 |
9,659 |
R.2 |
57.2 |
55.4 |
67.9 |
55.1 |
52.2 |
55.2 |
58.9 |
41,206 |
41,206 |
31,796 |
41,206 |
31,796 |
9,410 |
9,410 |
H.31 |
58.3 |
60.3 |
42.3 |
44.5 |
47.7 |
53.5 |
64.3 |
43,424 |
43,424 |
33,564 |
43,424 |
33,564 |
9,860 |
9,860 |
H.30 |
52.8 |
55.9 |
44 |
51.7 |
55.9 |
43.7 |
58.9 |
44,362 |
44,362 |
34,560 |
44,362 |
34,560 |
9,802 |
9,802 |
H.29 |
53.3 |
60.6 |
44.4 |
48.5 |
52 |
43.2 |
71.9 |
46,455 |
46,455 |
36,513 |
46,455 |
36,513 |
9,942 |
9,942 |
年度ごと、上段が平均点、下段が受検者数である。なお、平均点は全日制5教科受検者の得点より算出している。
平成29年度入試から、英語(と数学)は学力検査問題(いわゆる普通の問題)と学校選択問題の2種類の問題が学校単位で選択制で実施されている。平均点を見ると、後者に当初3年間(平成31年度まで)年度ごとのふらつきを感じる。作問は努力していると思うが、結果に「安定感」がない。これは受験生数を考えるとやむを得ないとも言えるが、いっそうの改善が求められることだと思う。
選択問題実施校は、県立高校としてはアカデミック・レベルの高いとされる学校である。実施科目である英数の点数と、国社理の点数の平均点の差違があまり顕著なのは、好ましいことではない。
なお、問題、正答、データ分析は、埼玉県総合教育センターウェブサイトで公開されている。
https://www.center.spec.ed.jp/(新しいウインドで開きます。)
(メニューの「入試情報・説明会案内」から)
・令和3年度~令和5年度の問題を公開中である。
今年も分析をするために、東京新聞ウェブサイトの『首都圏公立高校入試特集ページ』を参考にした。問題を見るのならば、このサイトを利用するといい。関東地方の公立高校入試問題を、PDFでアップロードしている非常によくできたサイトである。毎年使わせてもらっている。特記する。
アドレスはこちら。(新しいウインドで開きます。)
https://www.tokyo-np.co.jp/tags/exam
*このエントリにおけるwpmの出し方(考え方)については、こちらです。
2010-03-11
「wpm」