
ベトナム・サイゴンの朝の風景はというと、無数の自転車とバイクの群れ。
初めてベトナムへ行った時は、噂に聴いていた川の流れのようなこの二輪車の群れに度肝を抜かれてしまって、暫くの間、カメラをその群れに向けて無心にシャッターを切っていた。
交差点やロータリーでのその流れは圧巻で、
「どうしてぶつからないのか、不思議や」
と思ったりしたものであった。
ファングーラオ通りから参加した日帰りツアーのガイドさんの説明で、年間数万件の事故が起きると聞いて納得。
保険制度も無い国なので現地駐在の日本企業の人は自分で自動車の運転はすることなく、出来る限り運転手を雇って、あちこち回っているとも聞いた。
「なるほど、タイみたいにレンタカー借りて自分でドライブは無理なんや」
と納得した次第であった。
東日本大震災以降、この自転車とバイクの群れが東京でも見かけられるようになった。
数はベトナムと比べると圧倒的に少ないのだが、路肩を走るバイク、自転車の数が多くなっているのだ。

私は都バスでの移動が多く、先日も東武浅草駅前から東神田行のバスに乗り込んで江戸通りを南下中、朝のラッシュアワーということもあって自転車、バイクの群れとぶつかった。
ベトナムでもそうだったが、東京も変わらないのは、バイクや自転車といった二輪車は自動車の通行などなんら配慮して走っていないということだ。
バスがバス優先レーンを走っていてもお構いなし。
バス停に横付けしようとするバスの左側を抜けていく。
バス停からバスが発車しようとすると、今度は右側を走り抜けていく。
危なっかしいことこの上ない。
おかげでバスは徐行運転を余儀なくされて、必要以上に所要時間がかかってしまう。
至極迷惑だ。
サイゴンの街中は東京に比べると信号の付いた交差点が少ないし、どちらかというとフランス風のロータリーが圧倒的に多い構造の街なので、バイクも自転車も自動車もノンストップで走り抜ける。
しかし、先進国・日本の首都東京はどの交差点にも信号があって、システマチックに動いているのが交通システムだが、バイクはともかく自転車は例外で信号は赤だろうが、黄色だろうが青色と同じで疾駆していく。
スポーツサイクル。
ママチャリ。
折りたたみ自転車。
なんでもかんでも、多くは信号無視。
ロードレーサーよろしく、ウェアを来てスポーツタイプにまたがって走っている人たちが最もたちが悪い。
軽快に走っているから信号なんかで止まりたくないのか知れないが、スタイル良さとマナーの悪さに呆れること度々だ。
だいたいウェア着て申し訳程度の鞄を持って出勤なんて、ちょっと仕事を馬鹿にしていないか、とさえ思ってしまう。
このあたりはベトナム人の方がマナーがいいのか警察権力が強いのが原因なのかわからないが、サイゴンの二輪車ほうが信号ルールを遵守しているのではないかと感ぜられてならないのだ。
自転車通勤。
エコか交通費の節約か、震災対策か知らないが、ルールの完全無視は勘弁していただきたい、と思うのであった。
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