<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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ろくすっぱ休みのない私は久しぶりのお盆休み、家族と一緒に旅に出ようと思っていたら、嫁さんが土日しか休みがないことが判明し、色々検討した結果、和歌山へ日帰りの旅にでることになった。

快晴の一日。
私たちか家族は、少しでも日帰り旅費を安く上げるため「おにぎり」のランチと、「高速道路を使わない」ことをモットウに大阪南部にある自宅から和歌山を目指した。

目的地はとりあえず、和歌山県有田川町にある「清水温泉」。

グーグルマップで和歌山県の山の中を無作為に見ていたらダム湖に近くに「しみず温泉」とあるのを発見。
インターネットで調べてみたら日帰り温泉があるらしく、なかなか素敵なところのように感じられた。
しかも和歌山県の山の中なので渋滞の心配はまずいらない。

この季節、和歌山の海岸線を移動することは海水浴目的のラッシュ渋滞に巻き込まれ移動は困難が予想される。
ところが山の中は盲点で、山中にぽつんとある温泉を目指すことは渋滞を気にせずのんびり楽しめる旅が可能になることを意味するのだ。

大阪からは和泉山脈に半程にある犬鳴山を通過して紀の川市へ。
そこからは国道を走り貴志川を通過。
通過といっても和歌山電鐵貴志駅に立ち寄り、かねてから娘が希望していた「たま駅長」こと名物の猫が駅長を努める駅舎を見学した。

和歌山電鐵はもともと南海電鉄貴志川線だったものを「儲からないから廃止します」と断言した冷血な南海電鉄から岡山の両備グループが譲り受け営業。
南海電鉄は「儲からないからプロ野球球団を福岡に売ります」とホークスを生み出した会社だけに、ローカル線を切るのは躊躇しなかったのだろう。
ところが岡山の両備グループは違ったようで、自転車をもったまま乗り込める電車や、この「たま駅長」のように様々なブランド化を実施して営業を強化。
全国の注目を集めている鉄道会社だ。
さすが、日本のユダヤ人と言われる(漫画家いしいひさいち談)岡山県の会社はその商才を発揮し、似たいようなゴロ(OKAYAMAとWAKAYAMA)の和歌山県の鉄道会社も見事に立て直し、今日に至っている。

それにしても貴志駅はすっかり「たま」一色の駅に変貌していたのであった。
まず、駅舎が猫型。
窓が猫の目になっていて入り口が口。
まるでジブリの世界のようだ。
駅舎の中にはカフェあり、売店ありで、近畿一円から「自動車で」おずれた観光客でいっぱいなのであった。

予想通り娘は大はしゃぎで携帯ストラップや飴玉を買っていたのであった。
ちなみに中1の娘には携帯電話は持たせておらず、これからもずーと持たせるつもりはないので、一体何に使用する「携帯ストラップ」なのか今後の観察が必要だ。

で、肝心の電車は、と時刻表を見ると一時間あたり2本あり、田舎だがそれなりに便利なようだ。
次回は是非、電車で訪れてみたいと思ったのであった。

貴志川を出発して山中険しい道を走ること1時間少し、有田川のダム湖のほとりを走る国道に出た。
実はこのあたりは10年ほど前の冬に仕事で訪れたことがあり、

「自然の綺麗なとこやな」

といつの日か、ここを訪れてみたいと思ったものなのであった。
ダム湖には長い吊り橋がかかっていて、ここを訪れることも、日帰り旅行としてはちょっとしたイベントになるに違いないと思ったのだ。

吊り橋を訪れて少しまた自動車で走ると道の駅があり、そこで休養をとると、ここが棚田で有名なところであることを発見した。
しかも近くには江戸時代に開墾されたという「あらぎ島」という農林水産省の日本の棚田百選にも選ばれている場所があるというのだ。

早速自動車を「あらぎ島」めざして走らせた。
有田川が大きく蛇行し、交差点付近がちょっとした街になっているところを通り抜け、坂道を駆け登っていくと左手の眼下にその「あらぎ島」が見えた。

「おおお!」
「おおお!」
「うううう!」

絶景なのであった。

「あらぎ島」を見下ろす展望場所には駐車場がなかったが、その先200mほどのところに有田鉄道バスの停留所もある駐車場があった。

それにしても青々とした棚田の見事なこと。
しかも「島」のように湾曲した輪郭は美しく、この景色は日本の景色の代表ではないか、とさえ感じたのであった。
水田は人間が自然と調和して生んだ代表作。
とりわけ日本の水田は東南アジアの水田と比べても几帳面に区画され丁寧に育てられているその姿は、芸術品ですらある。
夏、水田があるところは涼しく、秋になるとたわわに実る稲からは美味しい主食の米が取れる。
こんな素晴らしい景色はなかなか無いのであった。

棚田に感動した私たちは予定通り「しみず温泉」に浸かって、おのぎりを食べて、高野山経由で大阪に戻ってきたのであった。

走行距離約250km。
少々運転につかれたが、夏空の下、紀州の豊かな緑の中のドライブは、なによりの気分転換になったのであった。
なお、有田川町は秋篠宮妃の紀子さんゆかりの土地であるようで、和歌山というところは将軍様は産み出すわ、宮妃も出すわ、農家の平均年収が2400万円だと聞くし、ですごいところだと思った。

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