<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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ここのところ急に出張が決まるケースがいくつかあって前日に東京行きのチケットを手配することが少なくなく、自分の好きな座席を確保できないでいた。
例えば飛行機で言えばB席だとか、新幹線で言ってもB席のような、せせこましいいところしか予約できず、肩身が狭く苦渋の移動を続けていたのだった。
かなり大げさだけど、両側に人がいるということはアンコンファタブルであることには違いない。

この左右どちらの隣にも人がいる、という座席は最悪である。
とりわけ新幹線の三人がけのB席で、隣のオッサンが横浜名物焼売弁当などを食べ始めると、ただごとでは済まない。
普通でも、圧迫感があり、座席の肘掛けを使っていいのか悪いのか、悩むことこのうえない。
こっちが悩んでいるのに、隣に座ったオッサンが足を広げ、肘掛けにドシンと肘を掛けられると、不愉快なことこの上ない。
そのうえ、焼売の匂いがうぁ~~~~っと漂ってきたりすると、東京大阪間は地獄と化してしまうのである。

付き合いのある某国立大学の教授と話していたら、先生は大阪名物の「某豚まん」で焼売と同様の被害の経験があるという。
中華文明の食材は尖閣諸島問題だけではなく、新幹線や飛行機のなかでも迷惑を放っているというのはどういうことだろう。
責任者に出てきていただきたい心境である。

さらに悪いことに、B席は窓も通路も遠いしで、景色は見られないし、機内サービスや車内販売は使いにくいでいいとこなしなのであった。

たまたま先週二回目の東京出張でANAの通路側の座席を確保できた。
たまたま空いていたのだ。
そこで予てから味わってみたいと思っていたANA Mychoiceの"柿の雫”なるジュースを体験しようと、関空離陸後シートベルト着用のサインが消えてすぐに客室乗務員のお姉さんに注文したのであった。

そもそも「柿」をジュースにするという感覚が面白いと私は思っている。
果物もいろいろあるけれども、身近な果物でジュースになっていない代表選手が私は「柿」だと思っている。
阪神梅田駅の生ジュースのコーナーでも、JR新木場駅のジューサーバーでも、柿のジュースは見かけたことがないのだ。
それだけにもしあれば、それは極めて珍しい存在になるのである。

昨年は同じANAのMychoiceで100%荷重の柿ジュースが販売されており
「これは珍しい」
と、すかさず購入して、
「美味い!」
と思い、さらに2本購入をカミさんと娘への土産として購入したのであった。
で、帰宅後、
「これ、柿のジュースやで!」
と意気揚々と鞄から取り出して見せた。
嫁さんと娘は、
「おみやげや~!」
とばかりに喜んだのだが、一口飲んでから
「ふーん、まあまあかな」
と感動の少ない反応を見せた。
私としては非常に悔しい思いが残っている部分でもある。
柿に対する愛情の質が違うのかも分からない。

今回は10%果汁ではあるものの、スパークリングということでどのような味なのか。
うちのカミさんには受けるのか。
娘はどうか。
などと考えながら「柿の雫」体験なのであった。

いつものように小ぶりのガラス瓶に入ったジュースは透明な柿色をしている。
栓をシュポッと開けるとシュワーと炭酸の泡が立ち上ってきた。
氷の入ったプラスチックの透明なカップに注ぐと、なかなか美しい色合いだ。



一口飲んでみると、ビネガーの香りが爽やかに口中を包み込み、一瞬置いてから柿の渋みがじわーとにじみ出てくる。
なかなか朝の一杯にマッチングした味わいなのであった。

「お味はいかがですか?」
と客室乗務員のお姉さん。
「美味いですね...なかなかいいです」

空の旅のささかな楽しみ。
土産にするのかどうかは、1本300エンなので複数本買うと結構する。
従って神宮前で買ういつものロールケーキと柿の雫、どっちにするのか私案していた私なのであった。

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