<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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兵庫県立美術館で開催中の「小磯良平と吉原良治」展へ行ってきた。
正直に告白するが、かなり地味な展覧会であった。
その証拠に始まったばかりの展覧会にも関わらず会場は空いていて、かなり自由に見ることができた。
自由というか式放題。
1つの作品に5分も10分も見入ったとしても、ほとんど文句を言う人はいない。
そういう展覧会なのであった。

そもそもこの展覧会へ行くことになったきっかけは、

「お父さん、兵庫県立美術館へ行かへん?」

と娘が誘って来たからなのであった。
娘は兵庫県立美術館の会員なので同行者1名が無料になるのだという話だった。
ところがその期限が間もなく切れるので、お父さん、一緒に行かへん?というありがたいお誘いなのであった。

「入場料無料」
なのも嬉しいが、この年になっても誘ってくれる娘が嬉しく、

「よっしゃ!」

と出かけることを決定したのであった。

結果的に無料ではなかった。
娘は学生会員で、一般会員の豪華版であればお連れ様無料なんだそうだが、学生の場合はそんな制度にはなっていないということだった。
ぶ~!なのであったが、せっかくの展覧会なのでお金を払っても見ることにしたのだった。

小磯良平と吉原良治という同時代の画家の作品を一同に集めているが、二人の接点はあまりないらしい。
ふたりとも関西を中心に活躍した画家であること以外に一緒に作品を制作したとか展覧会をコラボしたということもないらしい。
この不確実な情報というのは私が多分に不勉強なところもあるのだが、小磯はプロの画家なのに対して吉原は本業は実業家でプロとして絵画だけに集中して生活するようになるのは晩年なのであった。

この差は作品の中身にも影響を及ぼしていて、好みの問題でもあるのだが私は小磯作品には好みの作品があっても吉原作品にはどうしても好きになれる作品が少なかった。
写実的なものと抽象的なものの違いも大きい。
小磯良平は写実的で、その根幹をなすものは明らかに人並み外れたデッサン力だろう。
デッサン力が乏しい場合、写実的な世界よりも抽象的な世界に突入するのではないか、と思わず勘ぐってしまうのが吉原作品でもあった。

ともあれこの違った世界を同時に楽しみ学ぶことができるというのが本展の最も大きな魅力だと思う。
そしてゆっくりじっくりと日本洋画の名作を楽しむには実に面白い、静かな展覧会でもあった。

ちなみに県立美術館を出てから気づいたのだが、この美術館の道路を挟んで向かい側にある神戸市立渚中学校は先の平昌オリンピックの女子フィギュアスケートで活躍した坂本花織の出身校だった。
校舎に「感動をありがとう!坂本花織選手」の横断幕がかかっていたので気がついたのだ。
このように、オリンピック選手が卒業生にいるということのほうが大きな印象に残った一日でもあった。






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