<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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ファミコンが発売されたその瞬間から。
普通の玩具はとっても売れにくくなってしまった。
これは大げさな言い回しではない。

「すいません、ファミコンありますか?」

という質問が毎日何十回とお客さんから繰り出されることになった。
ファミコン以外で売れそうなものはガンプラかキン消しか乳児用玩具ぐらい。
単価数百円のガンプラやキン消しが頑張ったところで、ソフトをプラスすると2万円前後もするファミコンの足元にも及ばないものがあった。

発売されてすぐにフィーバーしたのはいいが、入荷がない。
入荷されても10台、20台単位で、入荷したら即売り切れなので焼け石に水状態。
消費者はファミコンという少々金額のはる「おもちゃ」を買おうとしているので、畢竟他の高額玩具を買うことを控える。
この結果、売上は悪くなる。

ファミコンがなかなか入荷されないところへ一つの情報が飛び込んできた。
「昨日の日曜日に、梅田の阪急百貨店がファミコン1000台を20分で売りきったそうだ」
というものだった。
事の真相は定かではないし、今でも謎なのだが、あの阪急百貨店のことだから真実だったのだろう。
梅田阪急のおもちゃ売り場というと子供の頃から憧れのフロアなのであった。
そこで大量のファミコンが一瞬にして売り切れる情景が目に浮かび、
「ああ、この先どうなるんやろ」
と大学生バイトの身分である私でさえ、ある種の不安を感じたのは言うまでもなかった。

つづく


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