マルティン・ハイデガー(1889年~1976年)の主著「存在と時間」。
ナチスへの信奉、死の哲学者等ある意味否定的にとらえられているハイデカーですが、個人的にはとても尊敬する哲学者です。
何も考えないで生きる人を「ダス・マン」と定義。
人間は必ず死ぬという前提条件をしっかりと意識し、残された人生をしっかりと生きる・・・それを彼は「現存在(ダーザイン)」と定義しました。
著作の「存在と時間」は、未完の名著。
第一部1~3編、第2部1~3編が完成型でしたが、第一部の2編で終わってしまいます。
「存在と時間」読破には何回かチャレンジしたのですが、やすらかな眠りにつくには最適な書籍でした(笑)。
しかしながら、晩年の彼の講義、配偶者の見事なフォローで死後、高い評価を受けることになります。
ナチスへの協力でフライブルク大学の総長に上り詰めるものの、戦後は追放状態・・・教え子に手を出し(?)さらにその教え子に救われる・・・というなかなかシビアでダイナミック人生を送った人物ではあります。
死は誰もが受け入れざるをえない事実。
その不安を「先駆的決意性」ととらえ、プラス発想に変えたのが彼の最大の貢献だと思います。
誰しも死を意識すれば、本気になると言われていますが、約8割の人が答を見いだせないまま、人生を終えてしまう傾向があるように思えます。
ハイデカーが探究したテーマは、残された人生を、いかに「よりよく生きるか?」。
出生と死の間を、いかに充実した日々として過ごすか?と理解しています。
ハイデカーからも多くの影響を受けたと言われるサルトルは、実存主義をさらに進化させていきます。
サルトルの主著と言われている書物、それは「存在と無」というタイトルです。