期待以上の呉服屋になれるのか？

おはよ。

今朝は寒いね。

あの人もこの人も、風邪など引かず、穏やかでありますように。


さて、昨日のこと。

ご注文いただいた着物が出来上がり、その着物を受け取りに、お客様の奥様とご主人そろっておいでくださいました。

奥様がおっしゃいました。

「今日は大安で、その上、私たちの結婚記念日なのよ。
わざわざその日を選んで、取りに来たのよ。」

それを聞いて、咄嗟にあたくし、

「おめでとうございますッ！」

と申し上げたのは言うまでもありませんが、と同時に、先般の中村文昭さんの言葉「相手の期待以上のこと」を考えたのでありました。

ちょっとお待ちください・・・と申し上げ、事務所へ・・・

さて、ここが勝負だぞ・・・と心でつぶやきながら、あれこれと物色してみます。

ここでお客様の期待以上のなにかがプレゼントできないものか？

考える、考える、探す、探す・・・

が、めぼしいものが何もない。

う～む・・・

苦し紛れに冷蔵庫を開けてみますと、まだ封を切っていない「虎屋の羊羹」が１本。

あたくし、それを手にお客様の前に再び向かい合い、慇懃に、

「改めまして、ご結婚記念日、おめでとうございます」

と申し上げながら、虎屋の羊羹を差し出したのでありますね。

その後、和気藹々の中、お客様は帰っていかれました。

そんな車の後ろを見送りながら、

「結婚記念日に虎屋の羊羹は、期待以上のことであったのであろうか？・・・でも、なにかが違う・・・」

と、自問するのでありました。