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Pretenderの備忘録

日本のクラシック音楽は歪んでいる

2024-06-10 10:34:08 | 読書
12の批判的考察 森本恭正著 光文社新書2024

非常に面白かった。批判は重複があったり、レベルが合っていなかったりするものの、へえーってことが多かった。
西洋音楽の受容の歴史は勉強になったし、他の音楽(ロック、ジャズ、演歌、「三味線等邦楽」)との違いも、バロックや軍の歴史を踏まえて、非常に面白かった。
吉田秀和批判は、彼の音楽的な素養に対する批判と、彼が検閲をしていたという経歴に対する批判は分けて論じるべきであると思った。この点については、きちんと検証する研究者が出てきてほしいところだ。
音大については、それは西洋音楽をやるために、芸大や桐朋に留学する外国人がいるとも思えないので、ある意味納得。
語学が重要というのは分かるが、ロシアについてはどう考えるのだろう。あるいはほかのアジアの国々はどうなのだろうと、思った。
参考文献を示すのは、ひけらかしで愚というが、それは違うだろう。フェアに拠って立ったところを示すということで、示さないことこそ愚であろう。

さて、本書についての、現在の日本の音楽評論家諸氏はどう反応するのか非常に関心がある。

批判1 日本のクラシック音楽受容の躓き
批判2 西洋音楽と日本音楽の隔たり
批判3 邦楽のルーツ
批判4 なぜ行進は左足から始まるのか
批判5 西洋音楽と暴力
批判6 バロック音楽が変えたもの
批判7 誰もが吉田秀和を讃えている
批判8 楽譜から見落とされる音
批判9 歌の翼
批判10 音楽を運ぶ
批判11 現代日本の音楽状況
批判12 創(キズ)を造る行為
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センスの哲学

2024-05-26 14:43:00 | 読書
千葉雅也著 文藝春秋2024

非常に売れているようだ。東大や京大生協で売り上げ一位らしい。浅田彰が売り上げ一位だった頃を思い出した。
美学にも造詣が深い哲学者が、権威主義的でなく、わかりやすくセンスを論じている。そのままを受け入れ、権威主義的な意味づけから離れて楽しむということなのかな。

ウイングを日本の伝統芸能にも広げてほしいなあと思う。

権威(例えば昔はミシュランが指針として必要だったが、今では。。。)を崇めて自分がセンスがあると勘違いしている人、変に自信を失ってセンスを発揮できない人、が手に取って読むべき本か。

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資本主義の中心で、資本主義を変える

2024-05-20 08:55:12 | 読書
清水大吾著 ニューズピックス(2023)

GSでESGを担当した人間の著書。GSを人員削減で解雇され、それまで考えてきたこと、取り組んできたこと、そして主張をまとめたもの。現在は、みずほ証券にいるようだ。
三部構成。第1部、資本主義は「限界」か?では、GSというのはある意味、純粋な資本主義原理が透徹しているのだろうと思う。その問題点は、短期志向だとされる。第2部、お金の流れを根本から変える、では、政策的株式保有やガバナンスを例に、日本社会の忖度やもたれあいについて論じる。第3部、ピラニアを放り込め!では、企業社会に緊張感を持たせることの重要性を説く。

現状を理解したというよりも、まだこんな状況であったのかと、驚いた。日経平均が示してる通りとも言える。。バブルの際に、持ち合いは系列とともに指摘はされていた。資本コストの視点から米国でコーポレートガバナンスについて学んだときは、日経にもその言葉はなかった。インセンティブとしての報酬が重要だとの議論は、みんなで渡れば怖くないで業績にかかわらず水準を上げてきた日本企業の現状がその有効性をしめしている。

そんな状況の中で、斎藤公平のようなマルクス的な議論が出てきた。ヒントにはなっても解決にはならないだろう。

サンデルの議論は、資本主義の暴走が、民主主義を脅かすというのが根底にあるように感じている。日本の資本市場を知らない「リベラル」にはそうした感性は皆無のことも経験した。

ESGは逆風だが、この先も展開していくことを楽しみにしている。







GS
コーポレートガバナンス ESG 持ち合い 
報酬、人事

資本主義

一ノ矢 同士 広がる 
ベンチャーに問題


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数学の世界史

2024-05-14 23:51:59 | 読書
加藤元文著 角川書店 2024

世界史の中での数学ということで、世界の文明における数学の発達を歴史と絡めて語られる。
公式等、理解できないところはあるが、考え方が異なるということは分かる。なかなか興味深く読めた。
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1973年に生まれて

2024-05-08 21:49:00 | 読書
団塊ジュニア世代の半世紀 速水健朗著 東京書籍2023

この半世紀を、団塊ジュニアが経験した視点を入れ込みながら観ていく。カバーする領域は幅広いが、メディアという視点が一つあるだろう。
時代に対する反省という視点がこの世代にないという指摘は面白かった。
軽く読める現代史という感じ。

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