満席、津田のファンの女性らしき人で一杯、普段の能楽堂とは明らかに客層が異なる。この人達の何割かが能楽を観てくれるようになるようなデータ分析とか必要だと思うのだが。入った、良かったで喜んでは持続性がない。
最初に、今や超売れっ子の長田育恵の脚本で、道成寺の物語を津田健次郎が朗読。津田はいつものくもぐった低音ではなく、役柄に応じて声を変えるのがちょっとしっくりこなかった。
そのあと、道成寺、通常一生に一、二度くらいだが、宗家は十回目だという。今回は特別な演出ということだった。烏帽子を投げたところ、鐘が持ち上がっても足が見えない(500年前の演出らしい)は、わかったが、乱拍子が長かったのはよくわからなかった。
鼎談で、宗家は良くしゃべる。また、小さくなったと思ったら、今回の演出で絞ったということらしい。でも鐘を弾く人数は増えていた。サブカル系の話は全然着いていけない。チベットや身体の話は、ちょっと危うさを感じる。能楽は演劇として観るのではなく、肉体の技を観てほしいというコメントは、宗家としてはどうなのか。
朗読 津田健次郎(脚本 長田育恵、雅楽 三浦元則・音無史哉・纐纈拓也、豪絃 木場大輔)
能「道成寺」宝生和英 ほか
アフタートーク 津田健次郎×長田育恵×宝生和英