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Pretenderの備忘録

ヒルビリー・エレジー

2025-02-14 15:14:35 | 読書
アメリカの繁栄から取り残された白人たち J.D.ヴァンス著 光文社2017

副大統領となったヴァンス氏が脚光を浴びるきっかけとなった著。この本が出た後、弁護士をしながら活動し、上院議員となり、副大統領となった。

彼の生い立ちについては衝撃的である。ラストベルトで起きていることがよくわかった。海兵隊というのが一つのきっかけになったというのは非常に象徴的で、80年代の映画の愛と青春の旅立ちを思わせる。彼は、イラクの戦場でのPTSDはならずに済んだが、そういう悲劇もありうる。
悲劇的な状況から、海兵隊、大学、イェールロースクールと成功していく物語は感動的である。また、イェールでのエリートの社交に感じるもの、オバマへの批判等は現在のアメリカを考えるうえで非常に役に立つ。

成功した彼は、現在、どう思っているのか。サンデルによれば、エリートほど、自分の成功は自分の力であり、環境や運に感謝することは少ないという。日本で、橋下氏や石丸氏に感じる「俺がここまで来たのだから、みんなもっと努力しろよ」という一面の真理だが、セーフティーネットなしでは取りこぼしがでるような雰囲気になるのだろうか。

まだ若いので、4年後、あるいは将来、大統領候補となる可能性も高い。彼の幼児期の体験の傷ACEがその時に議論になるのだろう。

マスクと同じく、今後に注目だ。
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イーロン・マスク 上下

2025-02-07 23:12:00 | 読書
ウォルター・アイザックソン著 井口耕二訳

ウォルター・アイザックソンは、タイム編集長、CNN、そしてアスペンの代表も務めた。ジョブズの伝記で有名だろう。マスク本人をはじめ、いろいろな人がインタビューに応じている。彼の実力とブランドだろう。
私は、WSJを読まなくなって10年以上になるので、知らないことばかりだった。
上:テスラとマスクというイメージしかなかった。スペースXの方が先だったり、その前のPAYPAL、その後のオープンAIとか驚くことが多かった。シリコンバレーやGAFAの経営者たちとのつながりはある程度想定できたが、政治家との関りも面白かった。その他、南アフリカでの生い立ち、家族、パートナー等々、非常に興味深く読んだ。
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テクノ・リバタリアン

2025-01-31 09:15:34 | 読書
世界を変える唯一の思想 橘玲著 文春文庫2024

面白かった。ベイズの定理から入り、マスク、ティール、アルトマン、ブリテンの四名を軸に、思想や社会を読み解く材料が解説されている。正義を巡る図解は分かりやすい。極右と極左の親和性もきちんと触れられている。知的に刺激もあり、良い本だった。また、この本が図書館で何十人も予約しているという状況も日本は捨てたもんでもないじゃと思う。ただ、どうとらえて活かすかというのはかなり違ってくると思うが。
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神と人と言葉と 

2025-01-27 08:59:00 | 読書
評伝・立花隆 武田徹著 中央公論新社2024

キリスト教徒であり、ジャーナリスト、評論家を名乗り、大学教授である筆者による立花の評伝。親子ほどの年齢差があるが、立花を変に意識しているのを垣間見ることができる。それが原動力であると同時に、年齢差はあるにせよ、ちょっとおこがましくないか、と感じる場面がある。
生い立ちから、学生時代、文春時代、ガルガンチュア、宇宙、脳死、臨死、東大教授、彼に対する批判や武満との関係等々、面白かった。特にウィトゲンシュタインの話が面白かった。
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ゴールドマン・サックスに洗脳された私

2025-01-19 11:13:00 | 読書
カネと差別のウォール街 ジャイミー・フィオーレ・ヒギンズ著 光文社2024

原題はBully market: My story of money and misogyny at Goldman Sachsで2022年発売
ちょっと大げさなタイトルではあるが、内容はタイトル通りのものだ。かつて体に障害があり、それを克服した女性が、カネのためにGSに入り、出世の階段を上る過程で、男性の嫌がらせを散々に受け、家庭も崩壊の危機に瀕するような話。最後は、GSを辞めて専業主婦となるところで終わる。
守秘義務があるから、人間関係や顧客との関係は、ほぼ事実ではあろうが、人名や時系列等をいじっているようだ。
なんとなく、想像がつく。こういうのあるだろうなと思う。今でもあるのかなとも思う。女性ゆえの差別であるが、それ以外に米国には人種差別もあるだろう。
日本でもこうした形の女性差別はずっとあったと思う。
ここ数年で大きな変化が起きているのは間違いないが、逆行するような兆しもあり、社会がどう変化していくのか、観ていく必要があろう。
流産等、かなり、生々しい表記もあった。
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