スーパー大陸 ユーラシア統合の地政学
ケント・E・カルダー著
非常にエキサイティングであった。
今日の世界情勢を、ユーラシア大陸という切り口で、見せる。
中国が主人公ではあるが、ユーラシア大陸に位置づけ、欧州やロシアとの関係もユーラシア大陸という視点である。そして、そこにアメリカはどう対処するのかという問題意識がある。大きな鳥瞰図から、各国の思惑を事例として取り上げる。地図やデータも豊富に挿入されている。キンドルバーガーやギルピンの国際政治経済の知見、マッキンダー、マハンの地政学の知見が土台にある。非常に分かり易く、頭にも入ってきやすいものであった。一帯一路についても、よく理解できた。
日本についてもアメリカの大切な同盟国として触れられてはいるものの、日本はどう考えるのか、国際社会の中で経済的なプレゼンスが小さくなっていく中での選択を迫られる日は遠からず来るであろう。タイミングを逃すと、なんのインパクトもない存在になるだろう。
ユーラシア大陸ということなので、当然だが、中国は一帯一路を超えて、今回のWHOにみられたように、アフリカにも触手を伸ばしているし、国際機関もIMF・世銀以外に目を向ければ、中国支配ともいえる状況になりつつあるということは、出てこない。
こうした本を久しく読んでいなかった。非常に、懐かしい、興奮を覚えた。