あた子の柿畑日記

田舎での日々の生活と趣味のレザークラフトについて

中津万象園へ

2024-12-25 00:46:00 | お出かけ
  12月最初の日曜日の朝、義妹からラインがきました。
 午後から中津万象園に行くんだけど、行きませんか?
 丸亀の?
 すぐに丸亀だと分かった私はえらい。中津万象園は丸亀藩のお殿様の庭園、大名庭園です。香川県の大名庭園は栗林公園が有名だけどこちらはあまり知られてないかも。もう30年くらい前に4,5時間時間をつぶすために行ったっきりです。丸亀城と両方行ったはずですが寒くて何もなかった記憶しかない・・・・改めて行ってみたい気持ちになりました。
 
 午後、もう1時近くになって迎えに来てくれました。香川に行ったらまずはうどんを食べなくちゃ。
 


 
 もう2時過ぎだというのに長い行列ができていました。駐車場が広いこと。トイレが広くてきれいなこと。行列を作って待つお客さん思いですよね。

 
 うどんは本当に釜揚げうどんしかありませんでした。おはぎも稲荷ずしもすでに売り切れでした。
 
 そこから中津万象園までは車で15分くらいのところでした。

 
 美術館を素通りしてお庭の方へ

 多分イロハモミジだと思いますが、まだ色づきが半分

 
 池に出ました。左は多分絵画館です。
 この池、藩主京極氏の先祖の地、近江の琵琶湖をかたどったものだそうで、近江八景になぞらえて
   帆 雁 雪 雨 鐘 青嵐 月 夕映
と銘した八つの島を配し、その島々を橋で結んでいるそうですーと、帰ってからじっくりとパンフレットや地図を見てわかりました。しまった、こういうのは先に見ておかなくては。写真も撮ったり撮らなかったり、場所も名前もはっきりしなかったり、今となっては記憶すらあいまいです。
 
 最初の橋から向こうを見ています。
 手前の白い建物は絵画館(美術館)かな?
 
 
 
 橋を渡って向こう側へ
 渡り切って来た方を振り返る

 
 立派な松 そういえば栗林公園も松が多く植えられていました。その間にぽつぽつと植えられているモミジが色鮮やかで印象的だったことを覚えています。
 
 
 この木肌! 
 


 色づき始めたモミジがとてもきれいでした。



 百本鳥居。本当に百本?



 
 数えながら奥に行くと、行きついたところにはお稲荷さん。
 


 お稲荷さんから母屋へ出る道の鳥居まで数えると100本以上でした。
 
 大傘松 樹齢600年と言われています。
 
 


 向こうの屋根は母屋らしいです。
 
 母屋。背の低い松はわざと小さく仕立ててあるのだそうです。栗林公園もそうでした。
 


 
 左に観潮楼 現存最古の煎茶席と言われているそうです。

 
 建物の隅に蔭石。 母屋の方には陽石があるそうですが見落としました。
 


 回棹廊を渡って島へ 後から確認したところこの島は「鐘」のようです。
 

 
 奥に弁財天が祀られていました。京極氏祖先の地、近江の竹生島の弁財天をお祭りしたものだそうです。



 向こうの赤い橋は?この辺から位置の記憶が怪しいのですが、地図を見ながら思い出してみると、どうも鐘の島から月の島を見たらしい。そこから青嵐の島に渡る橋かもしれません。まあ、個々の島はどうでもいいか、きれいだったという記憶さえあれば。
 
 
 
  岸辺にカモのつがいがいまして、多分飼っているのでしょう。近づいて逃げもせずに遊んでおりました。



 弁財天のところから雪の島を渡った記憶はあります。その時はこれが何で雪?と思ったのです。予備知識があればもっと丁寧に見たものを。
 雪の島に渡る侵雪橋
 
 
 向こうに絵画館の屋根
 
 ここで前から気になっていた花の立て札を見つけました。
 

 
 ハマヒサカキだそうです。ハマと名がついていますが、公園の植え込みなどに使われているのです。花がヒサカキに似ているけど葉っぱが違うので何だろうと思っていたのです。これ、決して良い匂いとは言えない匂いがします。どちらかと言えば悪臭に近い。私は森の中でこのにおいをかぐと、どこかで動物が死んでいるのかしらと思ってしまいます。

 松帆邸



 6代藩主京極高朗が好んで詩作をした場所であろうと書かれていました。そのころはここから松原越しに瀬戸の海の景観が見られたのだそうです。
 
 私たちはとっくに別々に分かれて歩いていました。携帯があるとすぐ好き勝手に歩きだすのが私のくせ。そしてお手洗いを探していたら入り口近くまで帰ってきていました。新しい建物などは庭園の入り口周辺に集まっていました。陶器館もその一つ。
 真鍋利光前館長が集めた古代ペルシアの陶器が展示されています。これらを見ると、遠い昔の品々が日本の陶器に大きな影響を与えたことがよくわかりました。
 
 今見ても新しい感じがします。




 そして弟たちと合流して、これまた入り口近くにあったうちわ館へ。
 丸亀と言えば渋団扇。柿渋で染めた丈夫な紙で作られています。地味なうちわです。あまり期待もせず入ったのですが、どうして! 中では色とりどりのうちわが展示販売されていました。子どもたちの作品も含めて、見るだけで楽しいうちわの数々。

 
 実演もしてくれました。
 竹の節のところまで包丁で細かく切り込みを入れます。




 
 機械で固定して等間隔に切っていくのですが、この技がすごい。フリーハンドなんです。
 


 手元がボケているのは、動かし方が早いから。

 これを手で捻じ曲げます。
 弟もやらせてもらいましたが全然曲がらず。相当力がいるそうです。
 


 
 ほら! うちわの骨組みが見えてきました。
 
 
 下の方に紐をくぐらせて両端を曲げた竹ひごにつなげて広げます。


 一つ出来上がるのに数分しかかかりませんでした。
 巧みな職人技に見とれているうちにいつの間にか時間が過ぎていました。大変、もう五時近くになっていました。まだ絵画館を見てないのに。入場受付に戻って閉館時間を確かめるとあと5分しかありません。でも、少しだけなら伸びてもいいですよ、とのお言葉に甘えて絵画館に飛び込みました。
 京極家に伝わる貴重な書画の数々でしたが、十分鑑賞する間はなく駆け足で見て回りました。
 
 外に出ると冬の日はずいぶん低いところにあって、車の中に差し込む夕日がまぶしいのにびっくりしました。それを言うと今度は弟がびっくりして
 そうか、そちら(東予)はこんなに低いところまで夕日が見えないんか、と言いました。
そう、うちでは夕日は山に沈むのですが、弟の住む中予では夕日は海に沈むのです。
 
 弟が香川に来たら骨付きどりを食べないと、と言いました。おいしいんだそうです。何言ってるの、鶏肉が苦手な人が二人もいるでしょうが、と義妹。なのでお土産に持ち帰ることにして丸亀市内に入りました。

 夕暮れの町は素敵な雰囲気でした。


 建物の間から一瞬丸亀城が見えました。石垣の高いかわいいお城でした。さっきの橋のある風景とお城とを見てふと思い出したことがあります。
 
 丸亀藩と言えば宮部みゆき作「狐宿の人」の舞台となった町。主人公の少女ほうがお城を望める橋だったか丘だったかとかで叫ぶ場面が印象的でした。帰ったらもう一度読んでみよう、そう思ったのにその本がなかったのです。残念。
 以下、おぼろげな記憶ですので間違いがあるかもしれません。
 
 江戸で阿呆の「呆」とさげすまれ丸亀の(小説では内海藩)の港に置き去りにされた少女が、お城で幕府の罪人加賀殿の雑用をするうちに心を閉ざした加賀殿の心を開き、字を教えてもらい、やがて「方」という名をつけてもらいます。最後に加賀殿は罪人となった理不尽を受け入れて刺客に打たれるのですが、その前にほうに新しい「宝」という名を与えます。
 毎朝、ほうは仕事に向かう途中、お城の見える場所で、亡くなった加賀殿や同じく大火のなかで死んだ女岡っ引きに向かって
「ほうは元気です。今日も一生懸命働きます。」
 と叫びます。
 ほうにとって生きる喜びとは生きることそのもの。空腹を満たせるだけの食事ができて元気で自分と誰かのために働くことができること。そのシンプルで純粋な生き方こそが宝。大人世界のたくさんの陰謀と悲劇の後の感動的な言葉でした。
 
 今度はもう一度丸亀城に登ってみたいなあ、そんなことを思いながら帰路につきました。
 
 
 

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7 コメント

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Unknown (hanano55rengesou)
2024-12-25 11:21:23
あたこさん💛
さすが、よく書けてますね。
もう、根気がなくて、こんな長文は書けません。
よく、見て学んでこないと、これだけまとめるには、大変です。
もう、覚えられないけれど、
また、旅行記楽しみにしています。、
本当に感心してしまうわ。(^o^)
返信する
れんげさん (あた子)
2024-12-26 09:53:12
おほめの言葉恐縮です。長文で読みにくいのにいつも読んでいただいてありがとうございます。
わたしも一気に書いているわけではないんですよ。一つの記事をアップするのに何日もかかります。少しずつ書きたしたり、削ったりしながらね。
時間はかかりますがブログに書くことで見知らぬ人とつながりができて、読者がいるから独りよがりの文章にならないように読み返して、間違ったことを書かないようにいろいろ調べて・・・・それが自分の脳トレになっているのかなと思います。
れんげさんの植物記事はいつも勉強になります。そして生き物コーナー、特にイモちゃんの飼育記事は楽しいです。れんげさんはれんげさんらしいブログを続けていただきたいです。これからも楽しみにしています。
れんげさんの
返信する
れんげさん (あた子)
2024-12-26 09:55:10
追伸
最後の一行は消し忘れね^-^
返信する
こんにちは (みーばあ)
2024-12-26 11:44:32
大名の庭園
栗林公園は一度行ったことが有りますが~
此処の庭園もすごく広そうですし凄いですね
昔の大名の力はどれほどだったのかと思います
素晴らしい庭園ですね
いま、これほどの庭園作れないんじゃないかと思います
うちわ、職人技ですよね
凄いです
最期の宮部みゆきの本読んだことは無いんですが
読んでみたくなりました
生きる喜び
現在元気で生きてることこそが幸せなんですね
返信する
みーばあさんへ (あた子)
2024-12-27 09:46:04
栗林公園、行かれましたか。兼六園などと比べるとコンパクトですが魅力的な庭ですよね。あちらは船で池を回ることもできるほどですがこちらはそれほど大きくはなく、徒歩で島めぐりができるようになっています。
職人技は何の職業でも素晴らしいと思いますが、うちわ作りの早業には感動しました。うちわの紙を貼るのはまた別の人のようです。
「狐の人」は上下2巻の大作ですが、一気に読みました。当時はね(^^)陰謀渦巻く武士社会は悲惨だったけどほうの生きる喜びに救われました。
今、子どもたちが置かれた状況が酷くなってきていますよね。なおさらにほうの存在が愛おしく、どの子もが喜びを感じられる世界になりますようにと願わずにはいられません。
返信する
Unknown (hanano55rengesou)
2024-12-27 10:50:17
あたこさん💛
無患子、来年は、たくさん拾ってきて、
植木鉢にて、挑戦するのが楽しみとなりました!1月半ば過ぎに、ちょつと面倒な手術を控えているので、今年はなんとなく落ち着きません。でも、なんだかあたこさんから、春を待つ楽しみをいただいた気になりました。🌝
少し早いのだけれど、今年は、本当にお世話になりました。楽しい記事をたくさん、ありがとうございました。
来年も、また宜しくお願い致します。
返信する
れんげさん (あた子)
2024-12-28 13:01:55
春を待つ楽しみーいい言葉ですね。わたしも何か見つけたいです。
れんげさんの植物記事、とても勉強になっています。案外都会の管理された公園の方が珍しい植物を見られるんですよね。こちらは木や草だらけだけど、自然任せ、経済活動優先なので意外とみられるものがかぎられているのです。
来年もよろしくお願いします。手術の成功をお祈りします。
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